第五話 王国主催のお披露目パーティー
クリスタルも十歳になり、明日は国王主催で洗礼を受けた子供達のお披露目パーティーです。数日後にはアラバスター学院の入学試験を間近に控えています。それにより、タウンハウスに向う日、
「クリスタル、準備はできたかな? タウンハウスに行くよ!」
オーウェンは一足先に学院に通っている為、フローレスとオーウェンはタウンハウスで暮らしている。タウンハウスを王都につくり嫡男が住むということは、コールマン大公家はもちろんのことコールマン大公家嫡男も、王家を支持しているという意思表示だ。其の為、コールマン城に帰るのは週末と長いお休みの時だけになっていた。スタンリーとクリスタルは週末ぶりの再会である。
スタンリーにエスコートされ馬車に乗った。五年ぶりの王都、少し街並みが変わって見えた。
……タウンハウスに到着して屋敷に入ると、フローレスに抱きしめられクリスタルはフローレスにゆっくり身を預けた。(温かいぬくもりを感じる)…後ろからオーウェンに肩を触れられ、振り向くと手を差し出された。オーウェンとクリスタルは手を繋いで中に入る。
「ドレスを見にいこうか!」
お母様のドレスは、お父様の髪色シルバーの生地に、刺繍を大胆に刺したドレス。装身具はお父様の瞳色ライトパープルで飾った。
お父様は、シルバーのパーティー服に、色違いのシルバーで感じよく、上品に刺繍をして、お母様の髪色ピンクを、程よいボリューム感のジョボとチーフで、アクセントにしています。お兄様もお父様と同じくシルバーのパーティー服に、色違いのシルバーで上品に若々しい刺繍をしてある。それに、程よいボリューム感のジョボとチーフをクリスタルの瞳色ライトパープルにしている。
お披露目パーティーの主役の男女は、白を基調にドレスやパーティー服を作ることになっています。クリスタルは洗礼の時とほとんど変わらないドレスを作ることにした。真っ白のシフォンを幾重にも重ねたドレスに、シフォンでダリアを作り白いドレスに花を咲かせたドレス。靴も靴先にダリアの花が咲いている。装身具は創造魔法でダイヤを創り、指輪・イヤリング・首飾り・髪留めをプラチナにのせて使った。お兄様にもダイヤのタックピンをプレゼントした。
クリスタルはお披露目パーティー当日、創造神様にお礼を伝えるために教会に行きます。運が良ければ創造神様に会えるかも・・・? 教会は人けがなく、修行中の修道士や修道女が静かにお祈りをしていた。司祭が現れ先ず以て案内して頂きました。
祭壇の前に跪き、
「創造神様、力を授けて頂きありがとうございます。コールマン領にクリスタル城を建てました。創造神様をイメージして創ったお城です。創造神様の銅像を祭壇に置きお祈りしています。お時間がありましたら遊びに来てください」
「では、遊びに行くとするか」
「えっ、えっ、え――、創造神様ぁ―?」
「クリスタル、幸せそうだな」
「はい、ありがとうございます」
「時間がない。クリスタル城に住んでも良いのか?」
「もちろんです! 創造神様のお好きなようにしてください」
「では、またなクリスタル」
創造神様にお礼の挨拶を済ませ、お披露目パーティー会場に向かいました。
(はぁ―、ビックリした。創造神様のお部屋を創らないと………明日、明日やろう)
王城に到着すると、心地よい風が頬に当たるのを感じた。
応接間に通されると紅茶とお菓子が用意されていた。和やかに過ごしているとノック音がして、案内役の男性が入ってきた。
「お披露目パーティー会場までご案内いたします」
会場に入るとパーティー会場らしく、飾りつけやお花・お料理などお披露目パーティーに相応しい会場作りになっていた。
貴族の方々に挨拶を始めるスタンリーはオーウェンとクリスタルを紹介し、大体の貴族に挨拶が終わる頃、王族の方々が入場して来ました。私たち大公家の者は一番初めに陛下と謁見します。
ミスティーナ国の国王は グレイソン・ロス・ミスティーナ
王妃は イザベル・ロス・ミスティーナ
第一王子は クリスチャン・ロス・ミスティーナ
第二王子は カールトン・ロス・ミスティーナ
第一王女は エリーゼ・ロス・ミスティーナ
エリーゼ王女はまだ幼く欠席である。
「陛下に挨拶に行くよ」
スタンリーに声を掛けられ陛下の元に向かいます。スタンリーはフローレスをエスコートして、オーウェンはクリスタルをエスコートして…
まずスタンリーが挨拶を始める。
「スタンリー・ロス・コールマン大公でございます。本日はご招待ありがとうございます。陛下もご健勝でなによりです。昨年はオーウェンがお世話になり、今年はクリスタルの洗礼が終わりました。オーウェン、クリスタル、陛下にご挨拶を……」
「オーウェン・ロス・コールマンと申します。本日はご招待ありがとうございます。拝謁を受けてくださり感謝しています」
「洗礼を受けました、クリスタル・ロス・コールマンと申します。本日はご招待ありがとうございます」
陛下は満悦そうに微笑んでいた。
「堅苦しい挨拶はなしだ。スタンリー! オーウェン、クリスタル! 本日は、王子達と楽しんでくれると嬉しいぞ!」
「はい! ありがとうございます。では、失礼いたします」
オーウェンは優雅に礼をし、クリスタルは見事なカーテシーを披露してその場を離れた。
「お兄様、緊張しました」
「クリスタルはパーティー初めてだよね。緊張するのも仕方ないよ」
安心させるようにオーウェンはクリスタルをエスコートしてくれる。
「オーウェン、クリスタル! 私とフローレスは挨拶回りに行くよ。子供たちの所に行ってみては? オーウェン、クリスタルをお願いするよ」
「はい! 父上」
子供たちが多いからかテーブル席もたくさん用意されていた。オーウェンとクリスタルは王族の方が良く見えるテーブル席に坐り周りを見ていた。爵位順に貴族の挨拶はまだまだ続きそうです。
「挨拶受けるだけでも、体力必要そうですね」
「慣れじゃないか。クリスチャン殿下は微笑みの教育を受けていたから、僕たちもマナーで学んだよね」
「そうでした。まだ、慣れなくて」
「心配しなくてもそのうち身に着くよ」
王族の方々の方向を眺めると、そろそろ、謁見が終わりそうです。オーウェンとクリスタルのテーブル席に飲み物が届きました。
陛下が立ち上がり、
「本日は洗礼のお披露目パーティーに参加ありがとう! 洗礼を終えた将来有望な子供たちは、これから学院に通い無限の可能性に花を咲かせていくことだろう。その可能性の花を、国の為に咲かせてほしい。……では、乾杯!」
「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」
装いを凝らした貴族の皆が、各々世間話や談笑を始めざわついてきた。子供たちは、料理の場にかたまって晴れやかな笑顔で楽しんでいる。
陛下と王妃はホールの真ん中に向かうと、楽団の演奏がダンス使用で奏でられ、陛下と王妃はダンスを踊り始めた。音楽に合わせてリズミカルなスッテプに優雅さが相まって周りを魅了してやまない。陛下と王妃のダンスが終わると、周囲の皆もダンスを始め、ホールは賑やかで活気に満ちた。
「クリスタル、ダンス踊ろうか?」
「そうですねぇ…クリスチャン殿下とカールトン殿下が、こちらに来ています」
「彼らと会話してからにするかな」
第一王子 クリスチャン殿下はオーウェンと同い年で十一歳
第二王子 カールトン殿下はクリスタルと同い年で十歳
「オーウェン、クリスタル! クリスタル城で訓練すると魔力量が増えたよ。カールトンも増えただろう?」
「驚いたよ。本当だったから」
「本当だっただろう。クリスタル城は創造神様の加護が溢れているように思う」
「クリスチャン殿下、カールトン殿下、お兄様仰々しいですよ」
「そうかな? 僕はオーウェン兄さんを信じるよ。それでね、クリスタル明日の勉強会一緒にしない? 兄上とオーウェン兄さんは学院があるから一人なんだ」
「いいですよ」
「クリスタルこの三人の中で誰が一番ダンス旨かった」
とクリスチャン殿下が悪戯ぽっくいった。私たちは王宮で勉強会をしていてその中にダンスも入っている。
「そうですね。洗練されたダンスを踊るクリスチャン殿下、踊りやすく優しく導いてくれるカールトン殿下、踊り慣れているお兄様です。甲乙つけがたいですね」
「クリスタルらしいな」
クリスチャン殿下、カールトン殿下も見目麗しく王族特有のオーラがあります。オーウェンとクリスタル、クリスチャン殿下とカールトン殿下もシルバーの髪にライトパープルの瞳、王族特有の色です。
「クリスタル、僕と踊っていただけますか?」
クリスチャン殿下は慣れた手つきで手を差し出した。それを見たオーウェンは少し慌てた様子で、
「クリスチャン殿下僕からですよ!」
「オーウェン兄さん、クリスチャン兄上の次は僕もよろしく! クリスタルいいかな?」
「はい、もちろんです」
「クリスタル僕と踊っていただけますか?」
オーウェンは手を差し出した。
「はい! 喜んで!」
はにかんだようなクリスタルは、とてもかわいい。オーウェンにエスコートされ、ダンスフロアに向かった。周りから、憧憬や恋慕のまなざしが注がれていた。
「はぁー、素敵」
「うん、見ているだけでいいよ」
「この世の人間か?」
「光輝いている」
熱狂的な歓声が、辺りに広がった。
クリスチャン殿下とカールトン殿下は子供たちに囲まれ身動き取れそうにない。暫くして解放されたのか………クリスタルはクリスチャン殿下、カールトン殿下とダンスを披露した。ここでも熱狂的な歓声が辺りに広がった。余りの歓声で身動きが出来なくなったオーウェンとクリスタルはクリスチャン殿下とカールトン殿下を残し王城を去った。
コールマン大公家が去った後、
(初めてご家族にお目にかかりました。王族の皆様も素敵ですが…コールマン大公家の皆様は素晴らしい美と輝きがありましたわ! 王弟殿下は幼いころから、それは、それは、見目麗しいお方で、私たちも憧れておりました。フローレス様の美しさも有名でしたし、オーウェン様とクリスタル様も、お二人の良いところばかりを授かっていました。とてもお美しいー!! はぁー、お近づきになりたいですわぁー!)
と、噂されていた。