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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第二十六話 魔石は瞳色


 朝から皆が忙しくしている。

 ベランダから見える景色は変わらず美しい。

 お昼に到着予定と聞いていたが…

 コールマンパラダイス城の前に、第一近衛騎士団が整列していた。クリスチャン殿下が指揮を執り、別荘に移動するようだ。朝早くから数人の執事とメイドたちが、別荘に移ったとアーライから報告を受けている。クリスタルはいつも通りシアンと朝食に…朝食を食べているとスタンリー、オーウェン、カールトン殿下が食堂に来た。


 クリスタルは、

「おはようございます。お父様、お兄様、カールトン殿下、クリスチャン殿下と第一近衛騎士団のお見送りお疲れ様です」

 オーウェンも、

「カールトン殿下お疲れ」

「別荘は近いし、いつでも行けるから心配ないよ」

 スタンリーは、

「忙しくして済まないな」

 クリスタルは申し訳なさそうに、

「そんなぁ、パーティーの後始末もありましたし、私はシアンと楽しんでいたので大丈夫です」

「そうか」

 カールトン殿下は何か楽しげに、

「今日は街へ買い物に出かけて楽しまない? オーウェン兄さん、クリスタル!」

「そうだな、行こうか!」

「そうしましょう!」



 昼食前に街に繰り出した三人はセシルとシアンも誘って馬車に乗った。

 クリスタルはシアンの手を握り目についた店を手あたり次第見て回った。カールトン殿下とオーウェンは少し呆れながらも温かい目で見つめている。一軒の店で綺麗なライトパープルの魔石を見つけたクリスタルは、

「お兄様、カールトン殿下、しとど目に付けませんか?」

 オーウェンが我先にと、

「しとど目って何?」

(しとど目とは言わないのかな? 日本刀の刀装の名前だったような? そうか刀ではなく剣だからしとど目はないのか。失敗した。何とかごまかすしかないな)

 後方に控えていた殿下の護衛に向かい、

「ルーク剣かして」

「剣の頭、柄の先端に装飾の金具あるでしょう。そこの事を言うのだけど剣だと付ける所が違うようです。装飾の時に魔石を付け易くする為、穴を開けているとお父様が言っていたの。魔石をはめますか」

 カールトン殿下は、

「でもクリスタルとオーウェンは魔石はめているよね」

「お兄様と私は瞳色ですが、お父様、クリスチャン殿下、カールトン殿下、陛下、従者、護衛の方は瞳色ではありません」

「私が魔法で瞳色にすることはできますが……瞳色にした魔石をプレゼントした方良いかなと思いました」

「そうか、僕と陛下と兄上、第二近衛騎士副団長ノアはクリスタルにお願いするよ」

 オーウェンも、

「第一大公騎士団長アダム・第一大公騎士副団長アドルフ・第二大公騎士団長エイドリアン・第二大公騎士副団長アルバートはクリスタルの魔法でお願いするよ。貴族の子息は魔石を親から譲り受けている者が多いからな。クリスチャンの第一近衛騎士団長クリフォード・第一近衛騎士服団長ルーカス・第一近衛騎士団メイソンも魔法がいいと思うよ」

「まぁ、代々引き継ぐのですね。素敵ですね! カールトン殿下と今護衛をしているルークとオリバーは今やってしまいます。従者にはプレゼントにしましょう」

「はい、瞳色に創り直しますから剣を貸してください」

「恩恵が受けやすくなるね」

「はい、恩恵を沢山です」

 和やかに皆で笑い合った。


 魔石は自分の瞳色を使うことで恩恵を受けやすくなると言われている。スキルが増えたり、レベルが上がりやすくなったりする。でもほとんどの者が瞳色に近い魔石をはめているので恩恵は得られていないのではないかと言われていた。多くの者が恩恵を受けている実感がないという事だ。


 クリスタルとオーウェンは日ごろのお礼も兼ねて、従者にプレゼントするつもりで注文した。クリスタルは従者のリアム・シリル、最近剣術の訓練をしているシアン・セシルに、オーウェンは従者のヘンリー・マシュー・スタンリーの従者ローガン・ダニエルに。


 店で魔石の加工をして受け取りまで時間が空いたので、食事のできる店を探す。

(肉料理が多いなぁ、海の近くなのになぜだろう?

 ブリゾーラ? ココレテ? 狼魚? クファンシニツァ? ブラットプリン? ブラウン? どれもわからない料理名!?)

 カールトン殿下がブリゾーラ? の店を選んだ。

 店内は広々としていて六人掛けのテーブル席が三十席あった。冒険者も気楽に食事をしている。海にはモンスターがいるため、海に入る人はいないが、浜辺で日光浴を楽しんでいる人たちが、気軽な服装で入れる店つくりになっていた。

 私達は護衛と一緒に、中に入ると海の見える個室に案内された。


 クリスタルは、

「カールトン殿下ブリゾーラ? とはどのようなお料理ですか?」

「あー地方訛りかな。豚肉をトマトで煮込んだ料理だよ。学食にもあったでしょう」

「あっ、カフェで食べたお料理ですか?」

「そう、そう、」

 オーウェンは、

「僕も久しぶりに食べたいな!」

 ブリゾーラを注文した。


「お兄様最近シアンとセシルは剣術の訓練をしているのでしょう? 魔石は買いました。剣をプレゼントしませんか?」

「そうだな。怪力だからアダマンタイトにミスリルを中央に入れて貰えば付与も出来るだろう」 

「はい」


 クリスタルは、先程冒険者を見たので、

「冒険者がいるということは、迷宮とかあるのでしょうか? お兄様」

「海の中にあると聞いた。道具屋には海の中でも呼吸が出来るポーションを売っているようだ」

「海の中ですか。シアン、セシル、知っていた?」

「セシルは知らないかも、僕は街によく遊びに来ていたから知っているよ。冒険者がよく話していたからね」

「シアン場所わかるの?」

「わかるよ」

「お兄様、私達には経験が足りません。迷宮探索してみたいです。それと武器屋に行ってシアンとセシルに合う剣が有れば購入したいです」

 オーウェンは、

「それは良いな。迷宮に僕とヘンリー、マシュー、クリスチャンとルーカス、メイソンとで行く予定にしていたけど忙しくて無理だったな」

「えっ!」

 クリスタルはオーウェンに相談されなかったことを寂しく感じた。

 などと思っているとブリゾーラ料理が運ばれてきた。

 一口食べると、

(あっ、ポークチャチャップだ! 懐かしいー、美味しいー、カフェの料理と少し違うわね)


「シアン、口が真っ赤になっているわ」

 クリスタルはハンカチをシアンに渡すが、シアンはハンカチの使い方がわからない様子。クリスタルはハンカチでシアンの口の汚れを拭いているが取れない。

生活魔法『クリン』

「綺麗になったわ」

「ありがとう!」

(ほんとカワイイ! シアンとセシルはホントに見た目が男の子か女の子わからないわ。周りの人達は女の子と思っているみたい)


「そうでした。お兄様、昨日お父様が「お兄様と殿下お二人に婚約者を選ばないといけないな」って、おしゃっていましたよ」スタンリーはクリスタルの反応を見ていただけで、本気で婚約者を探しているわけではなかった。クリスチャン殿下とカールトン殿下に婚約者が出来てもいいのかクリスタルを観察していたのだ。

 ……………………

 カールトン殿下は、

「僕は断るよ! まだ早いって」

「僕は嫡男だから、いつかは婚約者を決めるけど今ではないかな。願わくば「クリスタルの婚約者が決まってから考える」と、僕から父上には伝えるよ」

「でも、良い令嬢は学院に入ると婚約者を決めるそうですよ。お兄様」

「クリスタル、僕たちは男性だから年が離れた年下でも選べる。クリスタルの方が心配だよ!」

「行き遅れたらシアンと結婚します」

 と、軽口でごまかすように答えた。

 カールトン殿下は慌てて、

「駄目だよ!」

 オーウェンは呆れたように、

「それは無理だろうな」

 と、冗談だと分かっている表情で笑って済ませた。


 ポークチャチャップを美味しく頂いた一行は、宣伝の為、海の家でレジャーセットを借り紅茶と甘い菓子を注文して寛いだ。領民が私たちを見に集まってきたところで宣伝を終えた一行は武器屋に行くことになった。

 馬車に乗り迷宮の近くまで行かないとギルドや冒険者用の武器屋は無い様だった。馬車は少し走ったが迷宮は歩いて行ける距離だろう。

 馬車から出ると、武器屋、道具屋、装飾屋、鍛冶屋と、並んでいた。武器屋の店内は、刀・剣・鎧・盾・弓矢等々沢山の種類の武具が陳列されていた。迷宮があるだけに半端ない量だ。クリスタルが剣を買った店では見ない武具ばかりで、迷宮の武具は実用的でシンプルな武具を取り揃えていた。街中の大通りにある武器屋は芸術作品のような装飾品しか置いてなかった。

 道具屋は、回復ポーション・魔力回復ポーション・水中ポーション・アイテム・魔導書・迷宮地図・調合品・合成品・錬金術用品・素材などがあった。

 鍛冶屋は、金属が何種類もあり武器にする素材を客が選んでつくるようだ。客が武器になる素材を持ってきても、つくってくれるようだ。それに武器にする素材の買取りもしている。

 装飾屋は、装飾に使える金属や魔法に使える魔石などを陳列していた。金属や魔石の買取りもしていた。


 オーウェンは道具屋で早速、

「海の中で呼吸できる水中ポーションがあると聞いたが見せてもらえる?」

「こちらの水中ポーションでございます!」

「飲むのか?」

「はい」


 クリスタルとカールトンは鑑定してみる。

『鑑定………………水中で呼吸できる〈支配薬が入っている〉』

『鑑定………………水中で呼吸できる〈支配薬が入っている〉』

 クリスタルとカールトン殿下の鑑定は同じだった。他のポーションを鑑定してみても、〈支配薬が入っている〉とでる。すべての商品に支配薬が入っているのだ。オーウェンには水中ポーションを購入してもらいクリスタルは回復ポーション、カールトン殿下は魔力ポーションを購入した。


「お兄様、水中ポーション、他の全部のポーションに〈支配薬が入っている〉と鑑定が出ました。すぐに調べましょう!」

 念話でスタンリーに報告をして、急いでコールマンパラダイス城に戻る。



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