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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第二十四話 コールマンパラダイス領

 一連の騒動は何とか落ち着いた。シアンとセシルも城に慣れてきて大食堂で大食い競争をしたり騎士と剣術の稽古をしたりして楽しんでいるようだ。シアンもセシルもとても可愛く城では人気者だ。


 クリスタルはホワイトダリアを開店した。今回、コールマン領から連れてきた執事のクリフを責任者として、メイドのジェシカを副責任者に据え、ホワイトダリアと海の家の統括責任者に執事のブラットを任命した。この三人の働きは見事なもので、あっという間に使用人が決まった。


 クリスタルは海辺に行き海の家を創り、その両側にコテージを創り宿泊施設にした。そして、海の家で貸出品としてレジャーセット〈パラソル・テーブル・リラックスシート・チェア〉百セット用意した。お料理は焼きそば、たこ焼き、バーガー、焼き鳥、おでん、かき氷を販売する。こちらは好みがわからなかったので様子見、飲み物は炭酸水を作る機械を創造魔法で創り出して工夫してもらうことにした。ある程度用意が出来たのでブラットを呼びに行く。

「統括責任者材料は揃いそう?」

「おでんの具でこれとこれは揃いそうにありません」

「これはね、練り物。魚はあるのよね?」

「はい、魚はあります」

「魚の骨と皮を取り除いて魔道具で砕いて滑らかにすればいいんだけど、片栗粉の代わりあるかしら? ジャガモ! これこれ、ジャガモがあるから大丈夫として豆腐は子豆あるし海水もある。作り方教えるから作ってみましょう」

「はい」

 クリスタルはブラットにレシピを渡し、材料を揃えてもらう。

 ブラットは使用人たちを集め今後の説明をするようです。

 邪魔にならないようコールマン城に帰った。




 今日はホワイトダリアに来て、ホワイトダリアに囲まれた屋上で海を見ながらスタンリーとオーウェンとセシル、クリスタルとシアンの五人で食事をしていた。クリスチャン殿下とカールトン殿下は別荘に行っている。


「お父様、お兄様やっと落ち着きましたね」

 スタンリーが、

「ホワイトダリアも順調だな!」

 オーウェンも、

「旨くいくと思っていたがここまでとは!」

 クリスタルは、

「私はセシルがもっと暴れたらどうしようかと………津波で街に被害が出ないかハラハラドキドキしていました」

 オーウェンは、

「シアンのお陰で治まってよかった」

 セシルは、

「すみませんクリスタル様心配かけました」

「セシルの気持ちもわかるわ」

「クリスタル様オーウェン様を紹介して頂きありがとうございます!」

「まぁ、セシルこちらこそありがとう!」


 スタンリーから、

「この領地のコールマン領の名前を少し変えたいのだが……」

 オーウェンが、

「シーパラダイスをつけるのは? シーパラダイスコールマン領!」

 スタンリーは、

「長いな」

「……………」

「……………」

「……………」

 クリスタルは思いついたように、

「コールマンパラダイス領なんてどうかしら?」

「「いいね!」」

 スタンリーは納得したように、

「オーウェンの提案も入っているし、いいんじゃないか?」

 オーウェンも反対する気がなさそうに、

「僕も賛成です!」

 スタンリーは、

「正式領地名は〈コールマンパラダイス領〉に決まりだ!」




 少し遅めに起きたクリスタルは昨日疲れていたのか夕食も取らず眠ってしまった。ベランダに出ると小鳥のさえずりが聞こえ、清々しい朝の光の中で海をみた。

「はぁー、ふぅー」

 と、深呼吸をしてベランダのテーブル席に腰かけた。

創造魔法『ブラックコーヒー』を、創り出し、目の前の景色をご褒美にコーヒーを飲んだ。束の間、一人時間を堪能できると思っていたが……

 ノック音がし、

「どうぞ」

 メイドのアーライとエルザが紅茶とサンドイッチを持って入ってきた。

「昨日は夕食をお食べになっておらず、朝も食堂にお見えにならなかったので、サンドイッチをお持ちしました」

「ありがとう」

「お食事が終わりましたら、お風呂に入りましょう」

「わかったわ、アーライ」


 お風呂を出るとメイドたちが身支度をしてくれる。

 今日のドレスはサルビアブルー、セレントブルー、ベビーブルー、白、ターコイスブルー、様々なブルー系を織り交ぜたシフォンの布を幾重にも重ねて縫った、とても爽やかで上品なドレスに仕上がっていた。

 キラキラ光る白銀の髪には、シアン色の髪飾りがアクセントになり、そのうえ首飾りや指輪、耳飾りもシアン色で華やかに演出して、クリスタルの美貌を際立てていた。

 今日は地元の方々をお招きして親睦パーティーを開催します。スタンリー、オーウェンもブルー系のパーティー服で揃え、セシルとシアンはシルバー系のパーティー服にした。

(さぁ、皆さんに、ご挨拶に行きましょうか!)


 パーティー会場は大公家に相応しく華やかで上品に仕上がっている。もちろん紋章にもなっているダリアはフロアごとに色を変え咲き誇っている。クリスタルが今回用意したのは、こちらにはないシャンパンとビールとワインをふんだんに用意した。(ワインは転生前に飲めなかった高級ワインを用意したが、中身はどうかわからない。飲んだことないしね!)そして、お料理は大公家自慢の料理長が腕を振るってくれた。巷で、「大公家のお料理を楽しみにしている」と噂で聞いてしまったため、料理長が張り切っているのだ。


 スタンリーがシャンパングラスを持ち、周りを見渡すと静かになった。

「スタンリー・ロス・コールマン大公である。この度、タルニア領はコールマンパラダイス領となる。前領主は爵位を剥奪され平民となったことは聞き及んでいると思う。其の為、領民はさぞかし不安であったろう。これからはコールマンパラダイス領として皆と力を合わせて領地を盛り上げようではないか。

 手始めに、海辺で食事や日光浴を楽しめる貸し出し用品店、海の景色を堪能できる宿泊施設を営業した。店舗名は海の家! もう一つは生活に欠かせない商品と美容商品、紙で創った筆記長など王都のヒット商品を用意している。店舗名はホワイトダリア! 大通りを抜けた場所にある。一度見てみるといい! 本日は楽しんでくれ! ……では、乾杯!」


「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」



 皆の挨拶合戦が始まった。

 クリスタルはその場にサンクチュアリを使わず、通常の『バリア』に付与魔法『大公家、王族に害する者は入れない』『周りの人には見えない』を付け展開した。


 順調に挨拶を交わしていると、バリアにぶつかる人がいる。

(三十代くらいの男性かしら? あれ、立ち去っていくわよ)

 スタンリーとオーウェンを見ると、スタンリーがアダムに耳打ちをして、アダムは配下達に命令を下したようだ。もう安心と思い挨拶を始めると、再びバリアにぶつかる女性がいた。アダムの配下がその女性を個室に連れて行き、事情聴取をする前にメイドに私物・身体検査をやらせた。

 再び私達は挨拶を受け続け、食事の時間になり解放されたが、バリアの外には出ないように食事を楽しんだ。

 その後も二・三人バリアにぶつかり連行されていった。さすがサウルのお膝元である。


 コース料理の食事も終わり大人たちはダンスに移行していく時間に、クリスタルとクリスチャン殿下とカールトン殿下とシアンは部屋に戻った。オーウェンは嫡男として交流を深めるようだ。


 クリスタルは不思議に思っていた。

「コールマンパラダイス城に入れたのはなぜでしょうか?」

 カールトン殿下も不思議そうに、

「サンクチュアリ張ってあるよね」

「ええ」

 クリスチャン殿下は、

「サンクチュアリの張ってある場所では何とも思っていなかったが、僕たちを見て心が変わった?」

「兄上、器用すぎますよ」

「カールトン、取り調べで分かるだろうよ。其の他にも十一人もサンクチュアリに海まで弾き飛ばされたようだ」

 と、クリスチャン殿下は大笑いしている。

 クリスタルは笑いを堪えながらも驚いて、

「えっ! 海まで、クッ」

 カールトン殿下も笑いながら、

「クリスタルの海まで弾き飛ばすバリアのお陰だね! クックックッ」

 笑いを堪える様に口に手を当てた。

「確かにそうだな。クックッ、騎士達が「お――――い」って、言いながら海まで走って行ったよ。クッ、ハハハハハッ」

 と、クリスチャン殿下も大笑いしながら手を振って部屋に入った。

 カールトン殿下とクリスタルもそれぞれの部屋に入って行った。


 クリスタルは新しいバリアを考えて眠りに付けなかった。

(バリアに入るまでは邪なことを考えていなくても、何かの拍子に良からねことを考え始めるなんて、催眠術かしら? 転生者がいるのでは? 向こうでも催眠術は自己暗示にかかりやすいよう能力を引き出すとか……でも、魔法の国の催眠術師は操れるのでは……と、思ってしまう。催眠術師はいると考えた方が良さそうだ。となると……外側だけの付与では儘ならない。バリアの中にも付与しなければならない。次こそは……)


 クリスタルはクリスタル城に転移して、創造神様の部屋を訪ねた。

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