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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第二十話 元タルニア領

 数時間馬車に揺られて辺りを見渡すと、花が咲き誇り静かで美しい風景、あの花は実になりたわわに実る果物になるそうだ。今日はジェンキンス領の端まで行く予定!


 三日目の朝、騎士の人数減っていることが分かった。

 結界魔法サンクチュアリの全ての敵を弾く効果が出たようだ。

 五名ほど行方不明だ。

 スタンリーとオーウェン、クリスチャン殿下とカールトン殿下に緊張感が漂っていた。

 ジェンキンス領を通り過ぎ元タルニア領に到着したスタンリーは、行方不明の五名はどのような思惑があって大公家の騎士になっていたのか徹底的に調べる為伝令を出した。


 その頃、バリアに弾き飛ばされた騎士たちは、

「あれ、なんだ?」

「十メートルほど弾き飛ばされたな?」

「おー、いきよいよく」

「なんか遭ったか?」

「あっ、クリスタル様が「バリアを張りました」とか、言ってなかったか?」

「聞いた。うん、聞いたな」

「でも、バリアに弾き飛ばされるなんて話、聞いたことないぞ」

「そうだよなー」

「今から、戻るか?」

「飲み会が終わり、街に繰り出してから帰っていないからなぁ。怪しまれているかもな……はぁー、邪なことをを考えたからかな?」

「なんだよ」

「昨日トイレの説明受けた後、俺たち「トイレ売ると儲かるんじゃね」って、トイレ外そうとしたけど外せなかっただろ。イラついて街に繰り出したじゃないか」

「そうだった。素面に戻ると大公家の調度品を盗もうとしたのか」

 身震いを感じた。

「死刑ものだ。だが、外せなかったから大丈夫じゃないか? 俺、またあのビール飲みたい」

「ああ、俺も」

「もう一度、試してみるか?」

「「「おーー」」」


 ……………………移動中・移動中……………………


 弾き飛ばされた騎士たちは、昨日弾き飛ばされた場所にいた。

「行くぞ!」

「「「おーーー!」」」

 弾き飛ばされた騎士たちはバリアに入ろうとした瞬間、身体が宙に舞い前回よりも遠く弾き飛ばされてしまった。弾き飛ばされた騎士たちは失神したまま今日は起きることはないだろう。



 伝令を出した後は何事もなく思ったよりも馬たちが頑張ってくれたおかげで元タルニア領に着いた。元タルニア領に入るとなぜか街が騒ついていたが、サウルの屋敷に急いだ。街並みを見ると海・太陽・ヤシの木と一体になって美しい絵画のようだ。ヤシの木が心地よい夏色にして海がキラキラ輝いていた。


 クリスタルは思わず、

「わぁ――、キレイ――」

 クリスタルの瞳も海のようにキラキラと輝いていた。

 海とは誰しも幸せな顔をさせる自然の宝物だ。


 そこから進んで行くと、やはり、空気が張り詰めているように感じる。

 スタンリーが指令を出して馬車に乗った。

 クリスタルは、

「何かありましたか?」

「ざわついていたから様子見だな。とにかく、サウルの屋敷に行ってからだな」

「はい」


 ざわつきとは裏腹に、青空はどこまでも広がっていて雲一つない空を見ながら、サウルの屋敷に到着した。早速、中に入り屋敷の内部を見て回ったが、慌てて出て行った様子が窺えた。調度品など何も残っていなかった。


 これならすぐに建て直しても構わないだろう。

「お父様、家宅捜索で調度品などは競売にかけられたのでしょうか?」

「競売にかける程、調度品や装飾品は残っていなかったそうだ」

「そうでしたか。建て直しても良いでしょうか?」

「そうだな。中は空っぽだし構わない。頼んだよ」

「はい、コールマン城と同じでいいのですか?」

「それでよい!」

 サウルの屋敷が消えてなくなり、サウルの屋敷も素材として再利用しながら…

創造魔法『コールマン城』 

 クリスタルは、

「お父様、後はお願いします」

 スタンリーはすぐさま、執事やメイド達に号令を出し城の中に入っていった。

 クリスタルはここにも、

結界魔法『サンクチュアリ』を展開した。


 外が騒然とする。

 何事かとクリスタルは振り返った。

 お父様、オーウェン、クリスチャン殿下、カールトン殿下も現れて何か話している。

 クリスタルはそこに行っていいのか判断できず佇んでいた。


 カールトン殿下がクリスタルのところに来て、

「海竜のレイン・クロインが海に出たそうだ!」

「海竜? どのような竜なのですか?」

「一回の食事にクジナ十頭は食べ、姿も変えられるそうだ」

「姿が変えられる? 人間にも変われるのでしょうか?」

「どうだろう?」

「怖いですね」

「今、討伐隊を出すか話し合っている。街に被害は出ていないから……どうしたものか」

「そうですか……皆様は忙しそうなので…私は別荘建築をしてきます。カールトン殿下別荘の場所わかりますか?」

「リアムに地図渡しておくよ」

「はい、私は打ち合わせ通りの別荘を建築してきますね!」

「わかった。頼むね」

「カールトン殿下も気を付けてください!」

 クリスタルはカールトン殿下と別れて、部屋に戻った。

 窓から見える海は落ち着いて見えるのに、

 レイン・クロインが……………



 扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞ」

 従者のリアムが入ってきた。

「今から行きますか?」

 と、地図を見せながら話した。

「行きます。リアム、ヨロシク」

「もう一人護衛を…シリル入ってきなさい」

「…シリルと申します。クリスタル様よろしくお願いいたします」

「お久しぶりですねシリル。頑張っていたものね」

「クリスタル様、ありがとうございます」

「では、リアム、シリル、よろしく!」

 クリスタルは馬車に乗り従者のリアムとシリルは御者を買って出た。

 別荘に向かう道筋で海の景色は変わらないが建物がリゾート風になってきた。

(カワイイ! サントリーニ島見たい! なるほど美観を壊さない配慮だったわけね!)

 陛下のご要望の建物は、可愛らしい別荘建築の提案だったため困惑していたが、周りに配慮した建築物だと思った。


 別荘は眼下に広大な海のパノラマが展開するように、アクリルガラスを使って外壁は白を基調に、屋上には芝生とダリアの花々、お決まりのガーデンパーティーも出来る様にする。

(花火大会があると綺麗だろうなぁ――、花火大会ないよなぁ――、たぶん……絶対)

「クリスタル様つきました」

 リアムが手を差し出しクリスタルはリアムの手に、

 クリスタルの手をのせ馬車を降りた。

「クリスタル様、こちらからここまでの家屋は壊してかまいません」

「わかりました。これくらい広いと何でも創れそうです」

 見る見る家屋がなくなってアイテムボックスの中に消えていく。

 その家屋を素材にして使うイメージで…

創造魔法『別荘』

 下から出来上がっていく。


 クリスタルは、

「別荘の建築完成! バリア張りますね」

結界魔法『サンクチュアリ』

「これで害する者は入れません!」

「「オォ――!」」リアムとシリルが声を出した。


「リアム、シリル街歩きしない? すこしでいいの」

 リアムとシリルが顔を見合わせ、快く頷きリアムが、

「そうですね! 少しだけなら問題ないでしょう」

「ホント! いきましょう」

 大通りに出ると海沿いの店が見えてきた。サントリーニ島の写真のように爽やかで青い海の洋上にいるような気分で買い物が出来るなんて最高! 食事処の店舗は店先を屋台のようにして食べ歩きも出来る様に食べやすくしていた。店舗の中では通常の食事が出来るようだ。


 私達は、フルーツドリンクを購入しようと店先に並んでいる。

「クリスタル様、どのドリンクにします?」

「私はライトパープルのドリンク!」

「パープルドラゴンですね」

 と、シリルが答えながら、

「僕はパープルアップルにします」

 リアムは、

「パープルマンゴにします」

 クリスタルは全部飲みたくなって、

「私は三つともお願いします」

 リアムとシリルは素っ頓狂な声で、

「「三つも飲むのですか?」」

「おみやげにしようかと…」

 クリスタルはごまかした。

 リアムは、

「お腹壊さないか心配しましたよ」

 クリスタルは頬を少し膨らませ、拗ねた感じが可愛かった。



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