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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第十七話 商会設立営業許可証


 スタンリーとクリスタルは王宮の応接室に居る。

 陛下を待っているのだ。

  ………………………………

 陛下が入ってきた。陛下に続いて王妃様、クリスチャン殿下、カールトン殿下、エリーゼ殿下が入ってきた。

 陛下から、

「待たせてすまんな」

 スタンリーが、

「いえ、商品の説明会をしていましたので待たせていませんよ」

「そうか」

 クリスタルが立ち上がり、

「コールマン領で販売する商品を献上に来ました。どうぞ!」


 クリスタルは一人一人に包装した商品を渡し、個別の商品をアイテムボックスから出して手のひらに載せると、

「商品の説明をします。台所洗剤とスポンジ〈青〉は、食器洗いに使いますので厨房に、洗濯洗剤とスポンジ〈緑〉・柔軟剤は洗濯室にお渡し下さればいいと思います。……皆様にご利用いただくのは、こちらの身体専用の全身シャンプーとスポンジ〈白〉です。身体の汚れを落とし潤いを与えます。……そして、髪専用のシャンプーは髪と頭皮を洗い、このリンスで髪に艶と潤いを与え柔らかくします。先程陛下と話していた商品は美容系になります。……美容石鹸で化粧や角質汚れを落とし、美容液で潤いを与え、美容クリームで潤いを逃がさないように蓋をします。使用方法を間違えなければ、父上の肌のようにシミ皺の改善が見られ肌がきめ細かくなります。

……こちらは香水です。オードトワレとパルファムの中間の香水で爽やかな香りの男性用数本、爽やかで少し甘みのある香りの女性用を数本ご用意しました。使って頂いてご感想をお聞かせください!」


 王妃とエリーゼはやはり美容系に目が輝いています。

「王妃様、エリーゼ殿下、宜しければ美容石鹸で手を洗ってみませんか?」

「母上ご一緒に」とエリーゼ殿下は洗いたくて仕方がないように王妃に言った。

 応接室にある調理場に行き手を洗った。

「美容液と美容クリームをつけてください。潤いますよ!」

「ホントね」

「母上、とても柔らかくなりました」 

「余も洗ってみるか」

「陛下性能を見せるのにいい方法があります」

「王妃様、陛下の手を洗う許可を頂けますか?」

「クリスタル、遠慮しないで」

「ありがとうございます。陛下片手だけ洗わせてください」

「うむ」

 クリスタルは陛下の左手だけを洗った。

「なんだ。これは? 見よ! 余の手を」

 左手は白くなりシミ皺の改善が見られ、右手は元のままだった。

「おぉー、右手と左手でこれ程肌の色が変わるのか。スタンリーよ、この美容商品を使っていたのだな

「そうです。陛下」

 クリスタルはもう一度、

「美容一式を使うとお父様のように、お肌のシミ皺が改善され美しい肌になりますよ」

 クリスチャン殿下も、

「これは、僕も愛用するよ!」

「僕はもちろんクリスタルを信じているから!」

「カールトン殿下、ありがとうございます!」


 スタンリーが、

「そのことで陛下、王都での営業許可をお願います」

「うむ、営業許可証は出そう。手続きに手間を要する。先にコールマン領で販売を始めよ!」

「兄上ありがとう。 あっ、陛下ありがとうございます」

「久しいな兄上か、礼物は喜んで受け取った!」

 優しい微笑みをスタンリーに向けた。


 クリスタルは、

「陛下、学院はもうすぐ長期休暇になり、タルニア領での別荘建築も控えています。別荘建築を終わらせた後、折角の機会ですのでタルニア領で店舗を開店しても宜しいでしょうか?」

「スタンリーそなたは気づいておったのか? 別荘はもちろんの事、店舗の事まで聡明じゃのう。よし、許可する!」

「兄上ありがとう」

 スタンリーは悪戯っぽく笑っていた。


 

 クリスタルは貴族用と平民用の商品を創り出した。貴族用は入れ物を豪華な感じにし、平民用は使い易い入れ物に変えた。説明書も用意して開店準備を終え、スタンリーの元に行く。今日はスタンリーとコールマン領で店舗候補を見て回る。一件、自然に囲まれた場所があった。少し大通りから離れているがクリスタルは気に入った。


「お父様ここにします」

「大通りから離れているがいいのか?」

「はい、ここがいいです!」

「わかった」

「早速、店舗創っていいですか?」

「よい」


 二階建ての長方形の店舗を創り、三分の一が平民用、三分の二が貴族用に分け、平民用と貴族用の間に通路をつくり、ベンチを置いた。貴族用は大人の隠れ家風で五感に触れるものは一つ一つ最上級の美しい空間にして、平民用は清潔感溢れる感じにした。二階は必要に応じて創るつもりだ。そして、結界魔法『サンクチュリア』を大きめに張り、雨の日も風の日も天気に関係なく屋上でガーデンパーティーが出来る様にホワイトダリアを植えた。建物の周りにスタンドランプを置きライトアップする。そのランプの周りにモミジを植え枯れないように付与した。そして、商品を展示して開店を待つのみである!




 学院では監視カメラ映像を確認して、行方不明の学生と殺された学生の行動を調べ犯人とどれだけ接触していたか確認していた。犯人は気軽に学院入り、学生たちと会話をしていた。

 ++

 エイブラハムは学生たちと、

「この学院SクラスとCクラスの待遇違い過ぎていないか?」

「そうなんですよー」

「SクラスはSクラスの校舎になっていて、僕たちは他所の校舎には入れないんです。他所の校舎に行きたければ「成績を上げろ」ですよ」

「そんなこと許されないよな」

「そうなんですけど、どうしようもないです。わかって入学したんで」

「そうか。僕の知り合いが学園をつくっているんだ。その学園は成績に関わらず平等に学べるようになっているよ。この学院が嫌になったら学園に来るといい。いつでも待っているから」

「ホントですか! 学院をやめていこうかな」

「こいこい、いい想いができるぞ」

 ++

 何を話しているのか・・・学生たちは楽しそうに会話をしていた。無理やり連れて行ったようには見えなかった。






 開店してから三ヶ月過ぎた。陛下に呼ばれたクリスタルは、ダリア商会設立証と、ホワイトダリア営業許可証を受け取りに来ていた。コールマン領でホワイトダリアは繁盛している。ライトアップした事で周りの景色に溶け込み、温かい雰囲気と評判の良い店になった。この国の夜は灯りが少ないためホワイトダリアのライトアップは有名である。クリスタルの創り出す商品は、この国にはなく店の前は長蛇の列ができていたが、スタンリーが紹介してくれた信頼できる従事者を雇用することができ安心して委任している。


 陛下が応接室に入ってきました。

「クリスタル、元気だったか?」

「はい、やりたいことがあり過ぎて駄目ですね」

「だが、楽しみにしているぞ。後で宰相がダリア商会設立証とホワイトダリア営業許可証を持ってくるだろう。それまでゆっくりしてカールトンに会うとよい」

「えっ、はい、ありがとうございます」

「クリスタル、全身美容一式〈美容石鹸・美容液・美容クリーム・香水・全身シャンプーとスポンジ〈白〉・シャンプー・リンス〉用意してくれないか?」

「はい、五人分ですか?」

「そうだ」

「すぐ用意できます。お気に入りの香水はありましたか?」

 陛下は箱を開け、

「余はこれだな。クリスチャンはこれ、カールトンはこれだな」

「王妃様とエリーゼ殿下のお気に入りはわかりますか?」

「トンプソン、王妃とエリーゼに好みを聞いて来てくれ」

「お気に入りはわかりました。では、王族の方のお気に入りの商品は売りに出しません。王族専用にします」

「悪いな」

「そんなことありません。香りを変えたくなったら行ってください」

「良いのか?」

「もちろんです。陛下が使っていたと売りに出しますから・・・エへっ」

「なんと! ハッ、ハッ、ハッ」

「叔父様、すみません」

「よい、よい、大いに利用してくれて良いぞ!」

 トンプソンが帰ってきました。

「陛下、王妃様はこちらをお好みのようで、エリーゼ殿下はこちらです」

「では、包装し直します。皆さんの好みがバラバラで良かったですね。お好みの香水を五本用意できます」

 …………………………………………

「はい、出来上がりました」

 飾り付けを終えた箱を五個陛下に渡した。

「中の商品は貴族用として販売している商品です」

 入れ物に小さいタイルを張り付けたような、タイルの模様が光を受けてキラキラ輝くので華やかな雰囲気で飽きがこない容器を見せる。

「これはまた綺麗だな。王妃とエリーゼが喜びそうだ」

「ありがとうございます。次は、王族専用をご用意します」

「うむ、楽しみにしておこう。カールトンが王宮図書館で調べ物をしている。行ってみるとよい」

「はい」

 陛下の背中が見えなくなるまで見ていた。

 クリスタルはソファーに坐り、ふと、アタニル商会はまだ学院に出入りしている事を思い出した。今、学院は落ち着いているが気は抜けない。アタニル商会を根拠も無しに切り捨てることもできない。悶々としている状態だ。



 宰相が入ってきた。

「ダリア商会設立証とホワイトダリア営業許可証持ってきました」

 宰相が商会設立証と営業許可証を見せ、革製の整理保存用具に入れ手渡してくれた。


 クリスタルは、

「ありがとうございます。ところで、宰相、元サウル伯爵について質問宜しいでしょうか?」

「良いですよ」

「あの、タルニア領の元サウル伯爵の名前で、商会設立証と営業許可証を持っていますか?」

「持っていませんね」

「サロスという者は持っていますか?」

「サロス?」

「サロスは、学院に学生を送り込み、支配薬を使って学生を操り、学院に支配薬を蔓延させました。そして私は、アタニル商会会長サロスが元サウル伯爵と思っています。平民になった貴族は改名する方もたくさんいますよね。元サウル伯爵が平民となったサロスではないかと思っているのです。」

「学院で支配薬を使って学生を操っていたのが事実であれば大変な犯罪です。元サウル伯爵はサロスであること、商会設立証と営業許可証を持っているか調べましょう。クリスチャン殿下からも指示がありましたから」

「まぁ、クリスチャン殿下からも? では、お願いしてもよろしいでしょうか?」

「良いですよ。剥奪だけでは刑として軽いでしょうなぁ。サロスの商会も調べましょう」

「はい、よろしくお願いします」

 宰相を見送り、クリスタルはカールトン殿下がいる王宮図書館に向かった。


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