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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第十六話 日本製品

 クリスタルは、創造魔法で創り出す商品を、システィーナ国で作れないか思案していた。

 創造魔法で創った台所洗剤について、

「カールトン殿下、この商品の材料鑑定してください」

『鑑定…………液体石鹼・精油・重曹』

「この国にありますか?」

「僕には分らないな」

「そうですよね」

「役に立ちたいのにゴメンね」

「そんなことないです! 聞いてくれるだけで幸せなのです。 カールトン殿下何時もありがとうございます」



 タウンハウスに戻ったクリスタルは執事長のセドリックにお父様との面会を申し込んだ。……執務室に通され見たのは………忙しそうなお父様…お疲れでは?

「お父様、失礼します」

「クリスタルお帰り。何かあったのか?」

「あの、お願いがありまして…」

「何だ?」

 穏やかな表情でクリスタルを見ている。


「商会を設立したいと思います。扱う商品は私が創り出した商品です。その商品をゆくゆく、システィーナ国の素材で作れるようにしたいと思います。

 まず、美容石鹸・美容液・美容クリーム・体専用の全身シャンプー、髪と頭皮専用のシャンプーとリンス・香水これらを全身美容一式として、台所洗剤・洗濯洗剤と柔軟剤を生活用品一式として商品にします。先ずは、これらの商品をコールマン大公領で売り出したいと思います。あの、お父様、少しお時間頂けますか?」

「宜しい」

「こちらに来てください」

 お父様を食堂の調理場に連れて行こうとすると、執事長のセドリックが止めに入った。

「クリスタル様! 大公家の皆様はそのような場所に行ってはなりません。私がご用意いたします。必要なものを仰ってください」

「必要なものは、汚れた食器と水です」

「はぁ――! 駄目です! 触れてはいけません」

「お父様どうしましょう。商品の性能を見せられません」

「セドリック控えよ! クリスタルが売り出す商品を見るだけだ」

 セドリックはスタンリーに言われても、納得いかないようです。


「セドリック! すぐ終わるから! セドリックも一緒に!」

「私が触るとしましょう」

「セドリック! クリスチャン殿下とカールトン殿下も試し洗いしましたよ!」

「クリスタル様! 何と――、不敬罪で捕まりますよ」

「セドリックたらぁー」

「セドリックわかった。クリスタル説明書はあるのか?」

「はい」

「セドリックの指揮で料理長と洗濯室のメイドに試してもらおう。良いかセドリック」

「お任せを!」


 スタンリーは、

「セドリックと料理長、メイドから高い評価を受けた。いい商品だ。陛下に献上してからコールマン領で販売しよう」

 クリスタルは非常に高い評価を受けたことに感動した。

 クリスタルは優しく微笑みながら、

「セドリック! お父様とお母様、お兄様のお部屋に全身美容一式を運んで、頼んだわよ」

「うけ承りました」

「お父様、お母様、是非感想をお聞かせください!」

(大公家で働いて居る皆にも使ってもらいたい)





 献上品を持ってお父様と王城に訪問している。

 全身美容一式と生活用品一式を別々の箱に入れ献上用に包装してリボンで飾り付けをした。陛下、王妃様、クリスチャン殿下、カールトン殿下、エリーゼ殿下に使って頂きたい!


「陛下ごきげんよう。本日はコールマン領で売り出す商品を幾つかご用意いたしました」

「堅苦しくしなくてよい。元気かね」

「はい、ありがとうございます」

「スタンリーも相変わらず若々しいの」

「陛下今からお渡しする商品のお陰です。クリスタル」

「陛下こちらの商品になります。使用方法を説明したいのですが、王妃様、クリスチャン殿下、カールトン殿下、エリーゼ殿下にもご説明させて頂けませんか?」

「うむ、一時頂くか」

「はい、では食堂から料理長と使用人、洗濯室から洗濯長と使用人を集めて頂けませんか?」

「よかろう」


 調理場に案内された。

「皆さんこんにちは。本日はコールマン領のホワイトダリアで売り出す商品を持ってきました。こちらの商品は台所洗剤です。

 説明書に書いている通りに使用してください。体に優しい洗剤になっています。

 では実演しますので見てくださいね。

 台所洗剤をスポンジ〈青〉に少量垂らし泡立てます。では、食器を洗います」

 見る見るキレイになっていく食器を見た料理長は、クリスタルと変わり料理長自身が体験している。

「簡単に落ちる! 力もいらないぞ! 王宮にも卸してくれないか?」

 クリスタルは即答で、

「良いですよ。陛下と相談しますので期待して待っていてください。スポンジは個別でも売っていますので、汚れてきたら買い換えてください。宣伝もお願いしますよ」と、ご機嫌で微笑んだ。

「次の実演に行きます。本日はありがとうございました」

 洗濯室に移動を始めると、料理長を先頭に沢山の人がついて来ていた。


「ごきげんよう。お集まり頂いてありがとうございます。商品の説明に入りますね。洗濯洗剤とスポンジ〈緑〉と柔軟剤になります。まず、この洗濯洗剤で洗ってもらいます。シミはありませんか?」

「あります」

「では、洗濯洗剤と水をスポンジにつけて、シミの部分に優しく叩く感じで…シミが消えませんか?」

「消えました!」

「擦ると生地が早く傷んでしまいます。優しく叩くことで汚れを押し出しているのです。また、この洗濯洗剤は生地を傷めることを防ぎながら汚れを落とします。

…洗い終わりましたら教えてください」


 ……………………洗濯中・洗濯中……………………


「洗い終わりました!」

「桶に洗い終えた洗濯物が浸るまで水を入れてください。

 ……………そんな感じです!

 そこに少量の柔軟済を入れてください。馴染ませるように手でかき混ぜて一・二分浸します。説明書も用意していますので安心してお使いください。そろそろ乾かしましょう! 衣服が柔らかくなり、とても良い香りのする仕上がりになります」


「できました!」

「では、生活魔法を使って乾かしましょう」

生活魔法『ドライ』

「皆さん、洗濯物に触って香りも楽しんでください」

「わぁー、いい香り! 柔らかい。すごいです!」

 品質の良さが伝わったようだ。

(付与魔法必要かと思っていたけど、日本製品は素晴らしい!!)





 ++

 サウルの息子カーターも動き出した。ギロリー王子とバーンスタイン領で会う手筈になっていた。

「久しぶりだな。カーター」

「ギロリー王子お久しぶりです」

「お前の親、改名してサウルからサロスになったぞ」

「あー、平民になったのでしたね。何をしていたのか。どうしようもありませんね」

「そんなことはないぞ。アタニル商会を作って今ではミスティーナ国では五本の指に入るほど繁盛しているからな」

「そうでしたか。学費をどうやって払っているのか疑問でしたが、安心しました」

「カーター転校するぞ。この地に学園を建てる。カーターの名義で土地は購入してある。今から行くぞ!」

「はぁ、はい」


 ……………………移動中・移動中……………………


「ここだ!」

「ここですか? えらい岩山ですね」

「明日から更地にする作業が始まる」

「明日からですか?」

「そうだ。この学園の学園長はお前だ! お前の好きなように学園を建てるといい」

 ++



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