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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第十五話 創造魔法の弊害


 昨日クリスチャン殿下から言われた・・・

「ステラはC校舎の行方不明の学生にお茶とクッキーを与え支配薬を蔓延させていた。魔法訓練場で浄化魔法を披露する三日前にも、C校舎で殺された学生と数人の学生、そして、殺人者とステラはお茶会をしている映像を確認できた。もう一度、監視カメラの映像を確認して、行方不明者と殺された学生の行動を調べ、犯人とどれだけ接触していたか確認しよう」


 監視カメラ映像の確認作業をしながら、

 カールトン殿下はほうじ茶を飲み一息ついて、

「殺人に行方不明者まで出たとなると……」

 クリスタルも心配そうに、

「行方不明者を探さなくてはなりませんね。一ヶ月以上も行方が分からないなんて……それにステラ達はどうなりますか?」

 クリスチャン殿下が、

「ステラにはもう少し話を聞いてから入院になるが、長い間薬の使用をしていたため長期入院になるだろう。その他の学生はすでに入院している。支配薬の効果が少ない者から順次に退院の予定だ。ステラは学院に戻る事はない。サウルに利用されたとはいえ学生に支配薬を飲ませたのだ。ステラには退院したら罪を償ってもらう。両親と妹は引越しさせ新しい仕事を用意しよう。また、サウルに利用されかねない」

「それがいいですね。学生たちは学院生活、大丈夫でしょうか?」

 学院長から、

「支配薬の影響を受けていない学生達と揉めていたが、支配薬の説明をして謝るしかない」

 クリスチャン殿下は、

「時間が解決してくれるだろう」


 Cクラスは人数が多く学生をまとめるには非常に難しいクラスだ。これからC校舎全てのCクラスを立て直していかねばならない。厳しいだろうが担任、学生たちには頑張ってもらいたい。


 楽しい学院生活に横槍が入ったのだ。







 私達四人は相変わらず王族室で其々自分の好きな事をしている。クリスチャン殿下は本を読み、オーウェンは剣の手入れ、クリスタルとカールトン殿下は、

「ペットボトルが増えて困っています」

「ペットボトルって何?」

「ほうじ茶の入れ物」

「ふにゃふにゃしているよね」

「そうね、アイテムボックスの中に沢山あるの。この国の物じゃないから捨てる訳にもいかないし、どうしようかと思って…ペットボトルで何か創れないかと考えていたの」

「……」

「スポンジにするわ!」

「スポンジ? おいしいの?」

「スポンジでもケーキのスポンジじゃなくて、台所やお風呂などの掃除用や体を洗うスポンジ。いろんな用途で使えるの」

「見てみたい!」


 アイテムボックスのペットボトル全部をスポンジにするイメージ…

創造魔法『スポンジ』青・緑・白色のスポンジがパラパラと落ちてきた。

「どうやって使うの?」

「こっちに来て」

 王族室の調理場に行き石鹼で泡立てる。スポンジで食器を洗ってみると、一瞬でキレイになった。

「どうですか? スポンジで洗うとよく落ちるでしょう。カールトン殿下」

「うんすごいよ。このスポンジ!」

「兄上、オーウェン兄さん来て見てください」


 クリスチャン殿下とオーウェンは、一旦手を止め調理場に来た。

 カールトン殿下は、

「僕がやってみるから見ていてください」

 スポンジで食器を洗うと楽に汚れが落ちた。

 クリスチャン殿下が、

「これは何だ?」

 オーウェンも、

「クリスタル僕にも教えて!」

 クリスタルは頬を膨らませ、

「皆さんがほうじ茶飲みますよね。ほうじ茶の入れ物アイテムボックスに溜まっていて、ペットボトルで何か創れないかと思っていたのです。はい、使ってみてください」(何かと組み合わせれば売れるかも…)


 クリスチャン殿下から食器を洗い、オーウェンも続いて、

「「これ良いよ!」」

「使い易くよく落ちる」

 クリスチャン殿下は、

「僕達がほうじ茶を飲むからスポンジは売りに出そう! これで解決だね」

 オーウェンまでも、

「そうしよう!」

(僕達がほうじ茶を飲むから………って…都合よくあしらわれた? 

 はぁー、まぁー、いいかぁ)



 お昼休みが終わり教室に足を向ける。……家庭教師からすでに学んでいる授業は退屈でしかない。カールトン殿下とクリスタルはメモ交換をして遊んでいた。(先生、ごめんなさい)先程、話していたスポンジを何かと組み合わせて売るにしても、どのような手順を踏めばいいのか、商業の先生に相談しようという事になった。


「クリスタル商業の先生に会いに行く?」

「明日のお昼休みに行きませんか?」

「じゃあ、カフェにいかない?」

「行きたいです! カールトン殿下、私カフェは人生で初めてです!」

「大袈裟だなぁ、あっ、そうだよね、ごめん」

(クリスタル城で隠れて過ごしていたのを忘れていた。ごめんよ)


「日替わりメニューに季節メニュー? カールトン殿下この国に季節ありました?」

「何年前かな? 天候が移り変わった時期があったんだ。その名残かな? 今は季節メニューやっていないと思うよ」

「日替わりメニューからですね。

 Aセット! サラダ、スープ、肉料理、パン、デザート、珈琲か紅茶。

 Bセット! サラダ、スープ、魚料理、パン、デザート、珈琲か紅茶。

 Cセット! サラダ、スープ、サンドイッチ、デザート、珈琲か紅茶。

 他にもメニューあります。単品でも注文出来るのですね」

「僕はAセット」

「私もAセットお願いします」


 カフェは自然の要素をふんだんに取り入れ、食堂は色調の落ち着いた雰囲気で高級感を演出し、カフェとの差別化を図っている。Aセットを見ると食堂の半分の量で、サラダ、スープ、肉料理、パンはお変わり自由だ。それらがトレイに載っている。(転生前の学食と似ている。こちらの方が豪華です!)


「カールトン殿下は嫌いな食べ物ありますか?」

「僕は好き嫌いないよ。兄上はあるけどね」

「クリスチャン殿下はありそうですね」

 二人で一笑する。


「これなんのお肉でしょうか?」

「僕もよく知らないけど、食事用に育てていると陛下から聞いたよ」

「安心ですね。一度見学してみたいです!」

「育てていると言っても危険じゃないか?」

「そうですか? 魚も食事用に育てているのでしょうか?」

「クリスタルは興味が尽きないね、今度陛下に聞いてみるよ。デザート頼まない? 珈琲か紅茶どちらにする?」

「紅茶にします」

 デザートは好きな甘い菓子を選べる。

「私はフルーツのお菓子と紅茶をお願い」

「僕はチーズのお菓子と紅茶で」

 二人は美味しく頂いて満足げにカフェを出た。




 翌日、カールトン殿下と商業の先生に会いに商業科を訪ねた。

 結論から言うと、まずは、自領のコールマン大公領で店舗を出店。王都で開店するには、申請書に申請者・事業内容・販売先・仕入れ先・資金・収支計画を詳しく書き込んで、提出してから許可が下りるまで何か月もかかる。まずは、申請書を提出してから、自領で実績を重ね、店舗を見て判断して貰う方法が良いとのこと。(結構大変なのですね)

「先生ありがとうございました」

「はい、頑張って」

 カールトン殿下とクリスタルは教室に足を運んだ。







 ++

 その頃、サロスは着々とアタニル商会を発展させ、ミスティーナ国で五本の指に入るほどの商会にした。アタニル商会の資金での学園の創立を考えている。表向きは救済の学園と謳って、アラバスター学院や他国の学園不合格者・退学者・辞めた者達、犯罪者紛いの輩や犯罪者を集め学園に入学させる。

 造ろうとしている学園は、国に申請できない学園、正式な学園ではない。交流会などの催しには参加も出来ない。また、この学園を卒業した所で箔や名誉に繋がるわけでもなく、国の中枢での仕事に就ける訳でもないのだ。

 この学園では、学生たちに支配薬を飲ませ、サウルの好き勝手にできる軍隊を造ることもできる。サウルのための空恐ろしい軍隊を誕生させるための犯罪学園となるのか。

 その学園をサウルの息子に任せるつもりだ。サウルの息子は隣国で育ち、知っている者はミスティーナ国にはいないだろう。その息子はどのように生きてきたのか? 支配の学園が誕生しようとしている。



 エイブラハムがアタニル商会に訪ねて来た。

「サロス、久しぶり」

「エイブラハム殿、今日はどういったご用向きで?」

「ステラはどうしている?」

「ステラは寮に入っているので滅多に帰りません」

「そうか寮に入っているのか」

「何かありました?」

 殺人を犯したエイブラハムは、ステラに学院の様子を尋ねたいと思っていたが、

「いや、三日前に会った時は、支配薬を蔓延させていたよ。王子との婚姻もすぐだな」

「はぁ、うまく行きますか?」

「あー、うまくいくさ。引き続きステラには頑張ってもらおう」

「はぁ、」

「サロス、売り上げを馬車に入れといてくれ」

「承知しました。エイブラハム殿、学園を造る土地は見つかりましたか?」

「バーンスタイン領で探している。アタニル商会の一号店もあるし、どうだ?」

「いいですね。カーターとも、もう直ぐ会えますね」

「学園の土地をカーター名義で購入したら、ちょっと引き籠るわ」

「えっ、引き篭もる?」

「ああ、その間もしっかり稼いでくれよ。学園を造る為に! じゃ、行くわ」

 ++ 


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