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魔法と剣のダリア球  作者: 澪
第一章 ダリア球で生きて行く為の礎
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第十二話 精神操作薬

 

 今日も王族室で戯れているクリスタルとカールトン殿下。

「クリスタルほうじ茶と京菓子食べたい」

創造魔法『ほうじ茶』「はいどうぞ。カールトン殿下」

創造魔法『京菓子』「京菓子になります。どう? メイドっぽかった?」

「うーん、可愛すぎてダメでしたー」

 二人で大笑いしていると、

「何か楽しそうだな」

「兄上、オーウェン兄さん! クリスタルがメイドの真似していたのですよ!」

「それは見てみたい!」

「クリスチャン殿下、オーウェン大公令息、お飲み物とお菓子はいかがでしょうか?」

「そうだなぁ、ほうじ茶と京菓子を」

「はい只今、ご用意いたします」

創造魔法『ほうじ茶』「ほうじ茶でございます」

創造魔法『京菓子』「いつもと違う京菓子をご用意いたしました」

「どうです? 私のメイドは?」

「やっぱり、可愛すぎるぞ! 誰にもするなよ!」

「はーい」

「カールトン殿下、一緒に新しい京菓子食べましょう!」

「うん!」

 可愛らしく笑った。


「あっ!」

「どうした? クリスタル」

「この間、言い忘れていました。何かありましたら浄化魔法で、精神操作薬の効果を解くことができます」

 クリスチャン殿下が立ち上がり、

「浄化魔法も使えるのか!? クリスタル! ステイタスボード見せてくれ!!」

「えっ!!! どうしましょう」

 オーウェンに顔を向けると、ゆっくりと俯いた。

 オーウェンは、

「クリスチャン殿下、カールトン殿下内密にしてください。陛下には父上が話しましたが本当はまだ話す予定ではなかったのです。王城と学院の訓練場が老朽化していたのでやむを得ず……」

 オーウェンはスタンリーから「陛下との話し合いで教会は安心してよいがクリスタルにステイタスボードを見せるのは禁止と伝えてくれ」と言われていた。

「わかったよ」

「わかった」

「ステイタスオープン! 家族以外に見せたのは初めてかな……ステイタスを見せるのは怖かったのです。だから、幼い頃友人枠で王城に行き難くて、私はひっそりクリスタル城で訓練をしていました」


 オーウェンは陛下や特に教会に見つからないように隠していたかったのだ。

「実は、教会に見つからないよう気を付けて行動していました」

 クリスタルは視線をゆっくり下げて瞼を閉じた。

 クリスチャン殿下が大きく目を開け、

「??転生者?? ……創造神に愛される者?? ……Lv.60? 魔力364000? そんな数字あるのか? わかった! わかったよ! 僕たちも予想外過ぎて驚いているよ! 何時か話してくれるだろう?」

「はい、お話しします。私には教会がどのように恐ろしい場所なのか、まだ、わかっていませんが、お父様とお兄様のご様子を見て恐ろしく思っています」 

 カールトン殿下も心配して、

「大司教は全領地の教会総責任者! 司教は五十名いて地域教会で爵位の高い領地に派遣したり、王都の教会で大司教を支える。司祭二百名はその他の地域教会に派遣、残りの司祭は王都の教会で大司教を支える。修道士・修道女五百名は、司祭になる前段階か、生涯修道士・修道女のまま大司教、司教、司祭の、手助けをする。全領地の信徒は数えきれないだろう。修道士・修道女は規則が厳しく、家族との面会や俗世間に触れることも禁止している。大司教独自の価値観で運営している為、僕から見ると排他的だよ。僕たちだって、クリスタルをそんなところに渡せない! 陛下には僕からも頼んでみるよ!」

「ありがとうございます!」 

 オーウェンが一言、

「クリスチャン殿下、カールトン殿下、頼みますよ! クリスタル、また強くなっているよ。魔力量も増えている」

「お兄様も! クリスチャン殿下、カールトン殿下もです」」

 二人は笑い合っていたが、クリスチャン殿下とカールトン殿下は何やら考えているようだ。


 クリスチャンは、今まで妹のように接していたクリスタルが、遠い存在のように感じた。

(幼い頃は隠れてクリスタル城で一人訓練していたのだな。そうか、オーウェンには無理を言った。「クリスタルを連れてこい」などと、すまぬオーウェン。守ってあげないと、こんなに愛しいクリスタルを!)

 カールトン殿下も同じように思っていた。カールトン殿下はずっとクリスタルを見つめたままだった。


 チャイムが鳴り教室にそれぞれ向かった。

 二人の王子はクリスタルに妹から別の感情が芽生えた事にまだ気づいていない。




 明日からは週末休みに入るのでいつもより夜遅くまで選択教科を学んだ後、オーウェンとクリスタルは転移魔法で転移してコールマン城に帰ろうとしていたら、スタンリーから念話が入り、

≪オーウェン、クリスタルは王城に泊まりに来なさい。クリスチャン殿下とカールトン殿下と一緒に帰ってくるように、待っているよ≫と、言われた。

≪父上クリスチャン殿下とカールトン殿下にクリスタルのステイタスボードを見せました。二人ともクリスタルを守ることに賛成のようです≫

≪そうか。今日の食事の時に話すか。今回は王妃とエリーゼ殿下には申し訳ないが食卓は別にしてもらうか≫

≪はい、もうすぐ到着すると思います。では≫

≪わかった≫


 今日はクリスチャン殿下、カールトン殿下の馬車に乗り王城に向かっている。

私たちが王城で馬車を止める場所は王宮門のところで降り中に入って行くが今日は王宮の奥まで馬車で入れた。

今日の食事は陛下が住んでいる王宮で食事となる。私たちはパレスダリア邸に案内され、そこには日本で黒蝶と呼ばれていたダリアが咲誇っていた。陛下と宰相が出迎えてくれ豪華な食堂に案内された。

「よく来たな。オーウェン、クリスタル今日はスタンリーの兄として接してくれないか? さっ、坐ってくれ。食事にしよう」

「はい、叔父上」

「はい叔父様」

 最初に出てきたのは海老のガーリックオイル煮と野菜とチーズのトマト焼きが出てきた。

「美味しいですね」

「そうだね」

「クリスチャンとカールトンはクリスタルのステイタスボードを見たのか?」

「はい、見ました父上」

「どう感じた?」

「私では判断できません。見たこともない数字と称号があり驚きました」

「でも、僕は教会や国に縛り付けるのは反対です。クリスタルはクリスタルらしく生きて欲しい」

 と、カールトン殿下は語った。

 クリスチャン殿下も、

「僕もカールトンの意見に賛成です。陛下身内のクリスタルを苦しめることはしないですよね」


 …………少し間を開け、陛下は、

「もちろんだ。これまでの功績を見てもそんなことはしない。王城、学院の訓練場の強化・学院を守るための監視カメラ・浄化魔法・精神攻撃無効魔道具にクリスチャンとカールトンは剣に属性魔法付与してもらったのだろう?」

「そうです」「はい」

「クリスタルは創造神様に愛される者としてこの世に転生したのだ。もしかしたら創造神様の許可がないと結婚はできないかもしれない。そんなクリスタルを我々が苦しめたりすると国は滅ぶだろう」

 クリスタルは大袈裟だと感じ、

「そんなことありませんよ。陛下大袈裟過ぎます」

「それはないだろう。創造神様に何か言われなかったか?」

「えっ、あの、「クリスタル城に住んでも良いか?」と、聞かれました。まだいらしていなようですが、6F全て創造神様のお部屋として創りました」

「そうであろう。コールマン城より高くなっておったからの」

「叔父様は気付いていたのですか?」

「報告は上がっていた。それに、大公騎士の応募の時スタンリーに叱られてしまい……恥ではあるがロイヤル騎士団・第一近衛騎士団・第二騎士団から大公騎士に応募があっての。オーウェンの嫁候補に自分の身内をとか、クリスタルを間近で見たい嫁に欲しいなどそういう動機で応募していた者が沢山いて困ったものじゃ。その時スタンリーにクリスタルは創造神様に愛される者として生を受けたのです。創造神様の許可なしでは結婚はできません。そのような者は近づけないで下さいと叱られたのじゃ」

「まぁ、お父様まで大袈裟過ぎますよ」

「その、不埒な考えが許せなくて……つい」

「ご心配ありがとうございます。お父様、私は幸せです」

「そうか。そうか」

「はい、お父様お母様お兄様、叔父様叔母様クリスチャン殿下カールトン殿下に見守られ感謝しています。ダリア球に来て本当によかった。これからもよろしくお願いします。……ですが皆様に何かあった時は私も応戦します」

「まあ、その、…………創造神様から許可は取・る・よ・う・に・ね」と、叔父様が答えた。

「……面白かったよ。兄上! ハハハハハ」 

 みんなで大笑いしてしまった。

 その後は和やかに食事を楽しみ大公一家はパレスダリア邸に泊まった。




 朝起こされたクリスタルはアーライとエルザがいることに驚いた。

「アーライ、エルザ来てくれたの?」

「はい、昨日からいました」

「えっ、そうなの? どこにいたの?」

「王妃様の指示でクリスタル様のドレスを選んでおりました」

「私のドレス?」

「はい、王妃様からのプレゼントです」

「まぁ、ほんとですか? どうしましょう」

「王妃様はお礼と申していました」

「お礼だなんて、王妃様にお会いできますか?」

「朝食の席でお会いできますよ」

 王妃様の趣味の良さが解るドレスが届いた。

 キラキラと輝いているのは宝石かな? その宝石が肌色のドレスに散りばめられて光が当たるとキラキラと輝いていた。

「アーライ、エルザこれから騎士選考試験に参加するのよ。派手じゃない? もう少し地味なドレスはないの? 制服で行こうかしら?」


 念話でスタンリーに聞く、

≪お父様今いいですか?≫

≪いいよ≫

≪騎士選考試験に制服で行っていいですか?≫

≪王妃がドレスをプレゼントしたと言っていたぞ≫

≪騎士選考試験に着ていくには派手ではないでしょうか?≫

≪朝食の席に着てきなさい。余りにも派手ならば他のドレスを用意してもらうから≫

≪あー、はい≫

「このドレスを着て朝食に行くわ」

「はい、ご用意します」


 朝食の席に坐ると王妃様が、

「うん、よく似合っているわ!」

「あの、騎士選考試験ですよね」

「そうよ。それを着て行って! クリスタルに近寄りがたい印象を与えるの」

「そうなのですね」

「クリスタル似合っているよ! それで参加しなさい」

 と、スタンリーが声をかけた。

「はい」

 こんな派手な格好で晩餐会でもあるまいに。


 数々の試験を突破してきた騎士と魔法使いが集まっている。

(騎士だけではなかったのね。そういえば剣と魔法とか言っていたわね)

 ロイヤル騎士団長ジャクソンが、

「魔法騎士・騎士・魔法に分かれてくれ! 勝ち抜き戦をする前に大公騎士団長と面接をしてもらう」

 剣自慢の身体の大きな者や剣など扱えそうにない者、姿形で魔法の才能がありそうに見える者など、個性豊かな才能ある者が集まっている。クリスタルは参加騎士の鑑定を始める。それをスタンリーに渡して勝ち抜き戦の前に大公騎士団長アダムに面談をしてもらい才能を教え勝ち抜き戦で生かすよう助言してもらう。続いて魔法騎士、魔法剣騎士を鑑定して渡す。

面談が終わるまで、時間をつぶすことになった。お父様とお兄様は忙しそうなのでパレスダリア邸に戻り部屋で寛ぐことにした。

 ………………………………

 ………………………………

(私がいなくても騎士選考試験はできるしね)

 クリスタルはいつの間にか眠りについた。

 ………………………………

 ………………………………

 クリスタルを迎えに来たオーウェンだったが、

≪父上、クリスタルは眠っていますので、そっとしておいていいでしょうか?≫

≪鑑定やり過ぎて疲れたのだろう。そっと寝かしておこう≫

≪直ぐ、向かいます≫




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