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兵士と弟子  作者: 大江翔鷹
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2. 初日

 どうもこんにちは。1話を投稿してから、そこまで経っていませんが、やっていきます。


 ではどうぞ。誤字報告よろしくお願いします。

 家庭教師として、初日を迎える。

 俺は家庭教師に教わるのでは無く、士官学校を卒業して兵士になった。

 初めての家庭教師のため、意外と心に不安があったりする。

 頑張るしかないな。気合を入れよう。


 朝食を終えると、早速、家の外へ行き、授業を開始することになっている。

 授業の内容は、武器の扱い方、と言っても、剣術をやるだけだ。

 それと、魔法の扱い方だ。

 武器も魔法も、兵士になるにあたり、必要になってくる。


 食後にいきなり実技を教えるのは、体に毒だとか言われているが、兵士達にとって、それはただの甘えである。

 それはそうだ。食後休憩なんかして、その間に敵の襲撃に遭ったら、元も子もない。

 それ以前に、士官学校も家庭教師も、食後休憩は取ってはいけないと中央が定めている。

 

 中央と言うのは、国の政府、国軍省の総称である。ちなみに、この国は王政である。


 家を出てしばらくすると、かなり開けた野原に到着する。


「それでは、授業を始めるとしよう」

「はい、よろしくお願いします」


 俺の教え子のマリナから、至って普通の返事がくる。

 そのうち慣れてくるさ。

 さっさとやるとしよう。


「まずは、君の剣術の腕を確かめたい。授業用の木製の剣を持ってきた。これを使ってくれ」

「はい、わかりました」


 俺はマリナに剣を渡す。

 兵士になるにあたり、剣術は基本中の基本だ。義務付けられている。

 自分の得意武器は、まず剣術を身につけてから、扱えるようになる。


「それじゃあ、やってみろ」

「はい」


 マリナは剣を持って、剣技を始める。

 大気を切り裂くように剣を動かしていく。

 どうやら、剣術の腕はあるようだな。

 だが、


「力が足りていない。剣を振った時にもっと風を発生させるように意識した方がいい」

「はい! わかりました」


 今度は力強い返事が来る。

 授業とかになると熱が入るのだろうか。

 

 剣術は結構体力を消耗する。ずっとやっていたら、マリナの体力が尽きるだろう。


「それじゃあ、剣術のお手本となればいいのだが……見ててくれ」

「わかりました」


 俺はもう一つ持ってきた剣を手に持つ。

 まずは、剣を片手で持って、上下に振ってみる。

 ビュウンッ

 すると、剣を振った先に風が発生し、直線上で大気を切り裂くように、通って行く。

 今度は、様々な方向に向けて、剣を振り、剣技を見せていく。

 剣を降る度に、風が発生し、その風は強く、近くで俺の剣技を見ているマリナの髪を揺らす。


 このくらいでいいだろう。

 俺は剣技をやめる。


「このくらいの力はつけて欲しい。まあ、これだとわかりづらいかな。少し見ててくれ」

「は、はい」


 俺は剣をその場に置き、草原にポツンと立っている、一本の木の前に立つ。

 そして片方の拳を握りしめ、力を込めて、思いっきり木を殴りつける。

 ボォンッ

 鈍い音が鳴り、木の拳が当たった部分にヒビが入る。

 ドォン

 次第にヒビが入った所から、気は徐々に千切れて行き、そのまま木が倒れる。


 後ろを見ると、マリナがものすごく驚いたような顔でこちらを見ていた。


「木を素手で倒せるくらいの力が欲しいということだ。と言っても、これができるのは多くはないけどな」

「それは、フユナ先生みたいな、上の階級の人達ができることでしょう……」


 マリナに冷静なツッコミを入れられる。

 確かに、高い階級の奴は、大抵木を素手で倒せるくらいの力を持っている。

 兵士は男女関係なくなれるし、お互いに強さの差は無いはずだ。階級による強さの差はあるけどな。


「次は、君の魔法の腕を確かめる。今度は先にお手本を見せる」

「わかりました」


 魔法と言っても、別に杖とか詠唱とかは必要ない。

 出そうと思えば出せる。ただそれだけ。


 俺は手を構え、近くにあるもう一本の木を目掛けて、得意な氷属性を撃つ。

 俺の手から大量の氷が発生し、氷が木に向かって行く。

 氷が木に当たると、一瞬でその木は真っ白に凍る。

 これでも加減はしている。加減をしていなかったら、氷は木を凍らせるどころか、その木を貫いてしまう。

 魔法を使うときに、加減をしっかりつけないと意味がない。

 加減をしなければ、すぐに体力が尽きるし、逆にし過ぎると、効果が発揮されない。


「ほら、やってみろ。自分の得意属性で構わない」

「は、はい」


 マリナは目を瞑って、魔法を撃とうとする。

 すごい必死感が伝わってくる。

 これじゃあだめだ。


「必死で撃とうとしたらだめだ。一旦力を抜いてから撃ってみるんだ。深呼吸をしてみろ」

「あ……はい」


 マリナは一旦深呼吸をし、もう一回目を瞑る。

 すると、彼女の手から、稲妻のようなものが発生し、次第に雷ができ、上空に向けて雷が発射され、そのまま大気を貫いていった。

 彼女の得意属性は雷のようだ。

 それと、やればできるじゃないか。


「い、いけたの……ですか?」

「勿論だ。君は剣術より、魔法の方が得意のようだ。先に魔法を完璧にしてから、剣術の練習をしていこう」


*****


 魔法には属性がある。

 火、水、雷、土、風、氷、光、闇と主流の八つの属性。他にも回復魔法や何十もの属性の魔法が存在する。

 どうでもいいかもしれないが、俺の得意属性は氷、苦手属性は火。

 兵士になるためには、八つの属性を撃てるようにしないといけないため、どの属性も撃てないと言うわけではない。


「次は、水属性魔法を撃ってみろ」

「わかりました……撃ってみます」


 色々な属性の魔法を撃っていき、少しずつ魔法の扱いを上手くしていく。

 そういえば、水属性にはいい思い出がない……。

 理由を話すとしよう。


 いきなりだが、軍の入隊試験では、 筆記試験と実技試験が行われる。

 筆記試験は兵士に関する歴史や戦い方、魔法についてなどを暗記していれば、よほどのことが無い限り合格できる。

 実技試験だが……ここからが問題だ。この試験を生半可な気持ちで受けたら、死を覚悟した方がいい。

 内容は至ってシンプル。用意された試験会場で、制限時間12時間のサバイバル。

 武器や魔法、プラス能力で、受験者達と戦い会い、立ち上がることが不可能になるくらいの致命傷な怪我を負った者が脱落。完全な殺し合いだ。

 最後まで生き残ったものだけが合格。

 勿論、点数もある。試験官を楽しませる戦い方をすればするほど、点が高くなり、筆記試験の点数と合わせて、一定の点数を超えれば合格。

 ちなみに、能力は生まれつき持っているものであり、持っていない者もいる。

 無能力者に能力を使っても、それはただの不公平のため、点数は入らない。


 俺も実際、試験の時に死を覚悟する程の戦いを経験した。

 試験中に、自分の片手に毒矢が刺さり、試験会場にある岩場の影に隠れ、必死に回復魔法で毒を取り除こうとしていたら、水魔法を使って、大津波を発生させる奴が現れた。

 津波は会場中を飲み込み、大量の脱落者を出した。てか普通に死人が出てたような……。

 俺は力を振り絞って、氷魔法で津波を凍らせ、なんとか生き残った。

 あの時は本当に死ぬかと思った。


 やるからには、俺はマリナに殺人級の威力の魔法を撃てるようにさせるつもりだ。

 じゃあないと、絶対に実技試験で落ちてしまう。

 まあ裏を読めば、兵士は場合によって、人を躊躇なく殺すことになる職業だ。

 サバイバルをする目的は、精神力を鍛えることもあるのかもしれない。


 兵士の仕事内容は、大国の城を守るとか、そう単純じゃない。

 戦争へ行き、敵達を殺していくのが、本来の兵士だ。

 本当に人を殺すことが嫌な人に、兵士になる資格なんてあるはずがない。


「よし、次は回復魔法を教えるぞ」

「は、はい!」


 そんな感じで、初日は魔法を教えていた。

 俺はいち早く、彼女に水魔法を上達させようとした。

 マリナも大津波を撃てるようになってくれたらなぁ、と思う今日この頃。

 ん? これって新手の八つ当たりってか?


*****


 授業が終わり、俺は夕食を終え、今は入浴中。

 

「はぁ〜……気持ちがいいなぁ」


 この家の浴場は、湯船が広く、足を思いっきり伸ばせる。

 と言っても、第三部隊の兵舎の大浴場よりは狭い。


 今日を振り返ると、意外と家庭教師は順調に務まるのかもしれない。

 俺は今まで、同僚のライアがいたおかげでここまで来れたと思っている。

 ライアは同僚と言ったが、彼とは幼馴染でもある。完全に相棒だな。

 士官学校も入隊試験も共にし、今に至る。


 家庭教師をやるに当たり、ライア無しで何かに挑戦するのは不安でしかなかった。

 兵士になってから、彼とは兵舎の寝室は同室、入浴も一緒だった。

 出張で泊まることになって、宿泊先のベッドが一つだけだった時は、迷うことなく同じベッドで寝ることができた。

 これこそ最高の相棒なんじゃないか?


 それはともかく、実は、マリナの祖父であり、俺の上司のモコス大佐にある約束的な何かを要求された。

 彼女は引っ込み思案なところがあるから、そこも改善するようにと言われている。

 別にそれは性格であって、直す必要性があるのかと疑問に思ったが、兵士は色々と交流が多いため、渋々引き受けた。

 だから、俺は武器と魔法の腕を上げさせる他に、彼女としっかりコミュニケーションをとり、彼女と話している時、ライアと話しているのかと錯覚するくらいに、引っ込み思案を改善してあげよう。

 あれ? 完全に論点がずれてる気が……。


 まあやるとすれば、授業の一環として、村の人達と話す時や、もし事情があって隣町に行くことになった時に、彼女を同行させて、コミュニケーションをとらせようか。

 これだけでも、結構人と話す力がつく。


 そうと決まれば、俺は浴場から出て、体を拭いて、寝巻きに着替える。

 風呂上がりの水分補給をし、歯を磨く。

 歯ブラシは、家の方に用意してもらっている。もてなされるのは好きではないが、用意されたのなら、しっかり使うつもりだ。

 磨き終えたら、寝室に入り、机に紙を置き、そこに、明日からの授業メニューを書き込む。

 内容は、準備運動、剣術の練習、魔法の練習などの予定時間などを書きこむだけだ。

 メニューを書き終え、俺はベッドに寝転がり、そのまま眠りにつく。

 さ、不安もあるが、明日も楽しみだ。

はい、ここまでです。

実は私、BLと百合、両方好きです。それだけです。


それでは次回もまた。ごきげんよう。

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