1.家庭教師
どうもこんにちは。初投稿をさせていただきます。大江翔鷹と申します。初めてなので、誤字脱字や、文章力のなさが目立つかもしれませんが、読んでくれたら嬉しいです。
不定期ですが、まったり投稿していきます。
何らかの作品の二番煎じかもしれませんが、よろしくお願いします。
無限に広がる海の上に浮かぶ大きな大陸。
大陸には国というものがつきものである。
そして、国には中心都市という、所謂、首都というものが存在する。
その首都で俺は兵士をやっている。
これは、俺に弟子ができる話である。
「はぁ〜、最近何も起きないなぁ」
国の軍隊の第三部隊に配属されてから、何年か経った。
最近は平和と言うべきか分からないが、ろくなことが起こっていない。
そのような中、第三部隊の兵舎で思いっきりだらけているのは、雪のように白い髪に水色の瞳を持ち、中性的な顔立ちの男、フユナであり、階級は中佐。
まあ俺のことだが。だがこう見えて意外と声は低い。
俺がいる部屋に、もう1人、男が入ってくる。
「おいおい、何平和ボケなんかしてるんだ。ソプロチブルが何かし始めたらどうするんだ?」
入ってきたのは、あちらも中性的な顔立ちで、赤い髪に紫の瞳をした青年、ライアである。彼は俺の同僚であり、階級は俺と同じ中佐。
そして今、ソプロチブルという単語が出ただろう。それは、俺達と敵対する反社会勢力だ。
「俺は平和ボケをしているつもりなんてない。たまには、こうしたっていいだろ」
俺はライアに反論をする。本当に何も起こらない時って、こうしたくなるだろ。ライアはすぐに口を開く。
「あの戦い以来、奴らの勢力は衰退している。だが、再び勢力が増すのは時間の問題だ。まあそれはともかく、いきなりだが、モコス大佐がお呼びだ」
「おお、そうか……それじゃあ行ってくる」
大佐がお呼びか……どうせ何かやってほしいことでもあるんだろ。
俺は椅子から立ち上がり、部屋を出ようとする。
「それじゃあ、行ってくる」
「おう、行ってらっしゃい」
ライアに言われ、そして部屋を出る。
何かこのやりとり、夫婦みたいな感じがするな。まあ気にすることもないか。長年の付き合いだし。
しばらく兵舎内を歩き、大佐がいる部屋の前につき、ドアをノックする。
「フユナです」
自分の名前を言うとすぐに返事が来る。
「入っていいぞ」
俺は早速ドアを開け、一声。
「失礼します」
と言う。
挨拶って基本だが、意外とめんどくさい。当たり前のことだ。しょうがないな。
「よく来てくれたな、フユナ中佐」
そこにいるのは、ガッチリした体格をした、年齢は少なくとも60はいってるであろう男性、モコス大佐である。
「それで、要件は何ですか」
「早速聞くのか……まあいい、いきなりだが、例の計画の実験員に、お前が任命されたぞ」
「………そうですか」
「おや? あまり浮かない顔をしているようだが……嬉しくないのか?」
「いえ、勿論嬉しいですよ。俺の妹に近づけれるのかもしれなくなるのですから」
「そうか、それならよかったよ。計画の開始日は、一年後からだ。それまでに備えておけ」
「わかりました」
ついにあの計画が始まるのか。
その計画についてはまだ言えないが、行方不明の妹に近づけるのは嬉しい。
だが、その開始日が一年後とは、なぜ、それを今言うのかとても疑問に思う。
「それで、その一年後までの間、何をすればいいのですか?」
「聞くと思ってたよ。それまでの間、お前にはある依頼を受けたまってほしい」
「依頼?」
俺は首を傾げる。一年後のために、依頼を用意したってことか? なんか都合がいい気がするな。
すると、大佐が依頼について説明し始める。
「それはな、お前に私の孫の家庭教師をやってほしいのだ」
「家庭教師? これは、またいきなり……なぜ俺にですか?」
「それはだな、私の孫が兵士志望でな。だから彼女に兵士になるための戦い方を教えてあげないといけないのだが、生憎、私は忙しくて教えにいけないのだ」
「だから、俺に頼みたいと言うわけですか」
忙しくて教えられないと? 何故俺に頼んだのだろうか? まあ俺に頼むにも何か理由があるのかもしれない。
それに、俺は家庭教師を一度もやったことがない。
もしかしたら、大佐は俺を試そうとしているのかもしれない。それならやってやろうじゃないか。
ここで兵士になる方法を話しておこう。
兵士になるには、当たり前だが軍隊に入隊する必要がある。勿論、入隊試験もある。入隊試験を受けるには、その試験を受ける資格も必要だ。
資格を得る方法は二つある。国が運営をする士官学校に通うか、個人で家庭教師を雇って、授業を受けるかだ。二つの方法にもメリットとデメリットはつきもの。
士官学校は、学費が安く、一日中みっちり授業を受けれる。それに友達もできる。だが、学校の入学試験の倍率がとてつもなく高く、場合によっては一千倍もいくこともしばしば。学力も必須だ。
家庭教師は、個人に色々と直接教えることができ、学校に通う必要が無い。だが授業料がかなり高く、教師の腕が問われる。
教師が無能だったら、当たり前だが教え子は、間違いなく軍の入隊試験に落ちるだろう。
無論、士官学校の教師も、家庭教師も、務めるのは現役の兵士だ。
「それで、依頼を受けてくれるか?」
「そうですね………」
結局、俺は家庭教師の依頼を受けることにした。
やったことのないことに挑戦するのはいいことだ。人生なんかやった方がいいじゃあないの。やる前に後悔しよう。いや違うな、やってから後悔しよう。
俺がやってきたのは、首都から何百キロも離れた、所謂、地方都市だ。それも森に囲まれた小さな村。ど田舎だな。ちなみに、移動手段は馬車だ。
俺はそこにある、モコス大佐の実家に住み込みで、家庭教師をやることになっている。初めての家庭教師だ。結構緊張する。
大佐の実家は別にそこまで大きいわけでもない。普通に一般的な家庭のようだな。
いきなりだが、俺は家庭教師に教えてもらうのではなく、士官学校に通って、兵士になった。どちらかと言うと、学校の教師向けだと思う。どう教えればいいのか分からない。まあ、頑張るしかないか……
とりあえず、大佐の実家の玄関をノックする。
「国軍第三部隊中佐、フユナだ。モコス大佐に命じられ、孫娘、マリナの家庭教師としてやってきた」
家の中から、娘の父親らしき人が出てくる。
「父親から聞きました。あなたがフユナ中佐ですか。私はマリナの父親です。お会いできて光栄です」
「こちらこそだ。これからよろしく頼む」
俺と娘の父親は握手をする。これから一年間、ともに過ごすと言うか、過ごさせていただくのだ。握手くらいしとかないとな。
「ほら、出てきなさい、マリナ」
父親に言われ、家の中から少女が出てくる。年齢は16歳と聞いている。
その少女は青みがかった黒髪に黒い瞳、髪型はショートである。
「こ、こんにちは。マリナです……よろしくお願いします」
少し緊張しているのだろうか。少し噛み噛みだ。
「まあ、緊張するのも無理はないだろう。これから、君の教師を担当することになった、フユナだ。戦い方に関することは全て教えるつもりだ。よろしく頼む」
こう言って、俺は彼女と挨拶を交え、家に入れてもらい、俺が使う部屋へと案内してもらう。
部屋の中は、かなり綺麗で、本棚に絵画、ベッドが設置されている。かなりいい家庭なのがわかるな。
「ご自由にお使いください。料理も勿論、出させていただきます」
「すまない。だが、こちらこそ住み込みで働く身だ。家事など色々手伝わせてほしい」
「そ、そんな……そこまでしなくても」
「これは、俺の勝手だ。完全に居候させてもらうのに、色々もてなされるのは、嫌でしょうがない」
「……わかりました。ですが、無理はしないでくださいね」
「申し訳ない」
別に住まわせてもらうから、お礼はしっかりしようと言う、綺麗事では無い。単純にやりたいだけだ。どうしようが勝手だ。
マリナの父親、まあ主人と言うべきか。主人は部屋から出て行く。俺は持ってきた教材や、武器を壁に掛け、軍服も壁にかける。
さて、彼女にどう戦い方を教えようか。
戦い方には種類がある。武器を使った戦い方、魔法を使った戦い方、能力を使った戦い方と、三種類存在する。どれも文字通りの戦い方だ。
ちなみに、俺は武器を使う時は、槍を愛用している。俺の得意な魔法の属性は氷、能力は……まあ言う必要もないか。武器の使い方と魔法のやり方はともかく、能力は生まれつき持っているものであり、教えることは不可能だ。
やるからには、厳しく、みっちり教えないとな。軍の入隊試験に絶対合格させてやる。これくらいのやる気がないと、教師なんか絶対に務まらない。
明日から頑張らないとな。って明日からって言う奴、大体なやらない奴だな。気をつけないと………何を気をつけるんだ。
兵士が教師をやる、か……教え子、つまり弟子。兵士の弟子……いや、兵士と弟子か。
この先、何が起こるかわからない。言わば、未知の領域。案外、どうなるか楽しみな自分がいる。
俺はこの先について、考えながら、ベッドに寝転がった。
今回はここまでです。なるべく1話ずつの文字数は、なるべく3000以上を目指してやっていきます。
では、次回まで、ごきげんよう。