友情の証4
「え、沢田くんのことですか」
「ふむ、休んでいる理由を知りたいのだが」
担当する生徒たちは魔王の殺す発言にびくついてしまい、沢田という生徒への質問には答えなくなった。
なので魔王は放課後、霊剣部のマネージャーである美亜に尋ねることにしたのだ。
「そういえば、先生のクラスでしたよね。沢田くんは」
「いじめられているという噂も耳にした。これは事実か」
「……」
美亜はすぐには答えなかった。悩むような間を置き、
「そういう噂は確かにわたしも聞いたことがあります。でも本当かどうかはわかりません」
「相手が誰なのかはわかるか」
「いえ」
そう言った美亜の視線は練習に励む陸へと向けられていた。
「本多陸がいじめたというのか」
「……あくまでも噂です。霊剣部の代表はひとりですから、本多くんのライバルはひとりだけなので、どうしてもうがった見方をされてしまうんてす」
競技大会が行われるのは夏。霊剣道で行われるのは個人戦のみ。代表者はあくまで一人だけということになる。
本多陸が代表になるため、沢田蓮をいじめて引きこもらせた、そんな噂があちこちでささやかれていた。
「それに二人はここの地元出身なので、何か過去にあるんじゃないかという噂もあるんです」
地元出身の二人がエースというのは必ずしも偶然とはいえない。
魔力の源であるマナはその土地に根付いており、そこで生まれ育った二人には環境的な有利が働いているからだ。
「噂だけで決めつけるのは危険だな。エースの二人を妬むやつの仕業という可能性もあるだろう」
「そうですね。わたしも信じているわけではありません」
それでもマネージャーとしての不安は言葉に滲み出ていた。
ここまでくると魔王としても放置するわけにもいかない。悪意のある人間が隠れているのなら、それを炙り出さなければ。




