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ファンタジーってときどき残酷すぎやしませんか

ここは、剣と魔法が存在するワクワクドキドキ、全力ファンタジーな世界。


前世で私がハマりにハマった溺愛系イチャラブ恋愛小説が舞台なのだ。


ストーリーは王道で、貧しい男爵令嬢・ククリカが貴族の子女の集まる学園に入学して、王子様に愛されて王妃になるお話だ。


この小説の魅力は、ヒロインのククリカがかわいいところにある。

ひたむきにがんばる姿は涙を誘う。めっちゃ泣ける。


お父さんが酒浸りなのに、がんばって手に職をつけて養ってあげたいって……

「私がククリカを養ってあげる!」と何度思ったことか。


ククリカは学園で俺様王子と出会い、翻弄されつつも卒業する一年後には王子に求婚されるくらい親密になっていく。




不慮の事故で命を失くした私が、この世界に転生したのだと気づいたときは感極まって踊り狂った。


そう、自分の名前を知るまでは。


私の名前は、ヴィアラ・エメリ・マーカス。

マーカス公爵家の娘で、柔らかな淡い水色の長い髪の美女。


自分でいうのも何だけれど、宝石みたいに輝く髪はツヤツヤで美しい。

瞳は銀色で宝石のスターサファイアに例えられるほど美しく、もちろんカラーコンタクトではない。


大きな目にスッと通った鼻筋、何も塗らずとも潤った赤い唇。16歳になった私は、誰もが振り返るほどの美女に成長した。


ライバルキャラならではの、容姿チートである。


CGですか?と確認したくなる美貌だけれど、小説のキャラなんだから美しいのは当然か。


ただしその運命は悲しいもので、私の役どころは悪役令嬢。

幼い頃から、この国の第一王子の婚約者で彼のことが大好きという設定だ。


今のところ、私が王子を好きじゃない事以外はだいたい小説のストーリー通りに進んでいて、王子の婚約者である私は今年、学園に入学する予定だ。


「もう絶望しかない」


思わず愚痴が口から漏れる。


小説のヴィアラは、入学してすぐに王子をヒロインに奪われてしまう。

どんなに愛しても、泣いて縋っても、王子の心は離れていくのだ。


でも原因は彼女にもある。大いにある。


いくら嫉妬に駆られたからって、ヒロインを虐めすぎた。

王子と親密になっていくヒロインを陥れるために、やったことがエグすぎる。


悪口を言って仲間はずれにするだけならかわいいものだけれど、男を雇って襲わせたり、毒を盛ったり、階段どころかバルコニーから突き落としたり、「ヒロインは見つけ次第殺せ」というスタンスなのだ。


ヴィアラ、もっと他にやりようはなかったのか……?

いくらなんでも殺人未遂はダメだろう。


結局は悪事がバレて断罪され、王子がヒロインと結ばれるハッピーエンドの裏側で、ヴィアラは国民の前に引きずり出されて処刑される。


ギロチン、だめ。

そんな残酷なエンドは要りますか?

作者に問いたい、問い詰めたい。


ってゆーか、ヴィアラってばおもいっきり当て馬。

ライバルというか模範的な悪役令嬢!

絶望に彩られたゴールが見える私は、このまま地獄行きのレールに乗るのは嫌だった。


このレールから途中下車する気満々である。


前世で読み漁った恋愛小説や異世界ラノベでは、悪役令嬢でもハッピーになれる物語もたくさんあった。


大丈夫よ。

新人の悪役令嬢でも、がんばれば幸せになれるはず!



記憶を取り戻した私は、死亡フラグ回避に尽力した。



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