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番外編 最悪のクリスマス

 雪が降り、北海道の平地でも積もる季節。

 国防軍、帯広駐屯地も寒さに見舞われながら、兵士達が、グラウンドに集まっていた。

「急いで、クリスティー!中隊長に怒られるわ!」

「待ってよ、有坂!」

 有坂と呼ばれた黒髪の少女が、クリスティーを急かす。

「待たないよ!あんたの方向音痴のお蔭で、訓練中に危うく凍死するところだったんだからね!」

「謝ったでしょ!それに、大好きなプリンもあげたのに!」

「あんた、私がプリン食べてる間に、私のプレートに嫌いな牛乳をこっそり置いたでしょ!?」

「だって・・・・牛乳、嫌いなんだもん・・・・」

 子供の様に、しょんぼり顔になる。

「嫌いって・・・・牛乳飲まないと、小さなお山は、大きくなりませんよ。クリス准尉?」

 有坂が、ニヤニヤとクリスティーの胸を見る。

「何処見てんのよ、バカ!」

 赤面するクリスティーを他所に、有坂、クリスティーは、隊列最後方に並ぶ。

 幸いな事に、中隊長の姿が見えない。

「遅いぞ。有坂、クリス。中隊長に見つかったら、分隊長の俺が怒られるんだぞ」

 有坂の前に並んでいる長身の男の子が、振り返らずに言う。

「悪い、悪い。クリスが、どうしても()()()に行きたいって言うからね」

「ちょっと、誰が―」

 反論しようとしたクリスティーの口を塞ぐ。

「まったく。女子はお気楽だな」

「真田君、怒らないであげてよ。クリスティーも我慢できなくて、漏れそうだったんだよね?」

 真田の隣に並んでいる、メガネかけたソバカスの女子が、真田を制止する。

(漏らさないからっ!)

 内心、叫んだが、ややこしくなるので止めた。

「お前ら、静かにしろ!中隊長が、来たぞ」

 兵舎から、男性が歩いてくる。厚手のコートに手袋。軍から、支給された薄いコートを着込んでいるクリス達とは違い、暖かそうだ。

 中背の痩せた中隊長だ。噂では、軍高官の息子で、最前線に置くわけにはいかず、新入隊員の訓練教官として着任したと言う話しだ。

「全員、気をつけ!」

 中隊長の号令で、隊列を整える。

 中隊長が隊列の中を進み、、一人一人チェックしていく。

「真田伍長、コートのボタンが取れかけているぞ」

「はッ!申し訳ありません!」

「罰として、日没前まで完全武装で行軍だ」

「イエッサーッ!」

 次に中隊長が、美麗で歩みを止める。

「赤城美麗一等兵、ヘルメットの角度が曲がっているぞ」

「申し訳ありません!」

 美麗が急いで、角度を直す。

「お前達、第一小隊は弛んでいるな。有坂准尉、上沙准尉!前に出ろ!」

 列の後方から駆け足で前に出る。

「隊員のミスは、小隊長の有坂と副隊長の上沙にある。他所の部隊では許されても、私の部隊では許されない。罰として、第一小隊は、完全武装で行軍だ。分かったかッ!」

「サーイエッサー!」

 有坂と上沙は大声で返事した。

「宜しい。中隊、解散!」

「第二小隊、解散」

「第三小隊、解散」

 各小隊長が解散の掛け声をあげ、有坂が暗い顔を隊員達に見せた。

「第一小隊、十五分で準備して・・・・解散」

 足取り重く、兵舎に向かう。

 ある者は文句を言う。またある者は項垂れる。

「ボタンくらい、チェックしろよな!」

 有坂が、真田のお尻に蹴りを入れる。

「痛ッ!しょうがないだろ!中隊長にかかったら、何でも難癖つけるんだからな」

 真田の言う通りだ。中隊長にかかったら、重箱の隅を突付かれる。

 上沙や有坂の訓練部隊は、新人訓練過程を修了した士官候補や新入隊員達だ。隊員の平均年齢は、青少年達である。多くはグラウンド・ゼロで親を亡くしたか、学費が無いために国の兵役に就く代わりに、国立学校で学費が免除される。

「でも、非常食に着替え、スコップにポンチョ、弾薬・背嚢、その他諸々。おまけにやたらと重いライフル。何十キロも背負わせる気なのよ」

 クリスティーが文句を言いながら準備する。

「ライフルが重いと感じるのは、単にあんたの腕力不足だよ、クリス。」

 有坂が、ライフルに弾倉を装填し肩に掛ける。

「皆と同じ訓練してるのに・・・・」

「あんたの場合、腕力も付かない割に、脂肪も付かないから、兵士としても女の子としてもねぇ」

「ちょっと、何処触ってんのよ・・・・」

 有坂がクリスティーの二の腕と胸を触る。

「腕力は、置いといて、胸は・・・・大丈夫!小さい胸が、好きな人はいるから安心して、クリ―ぐはっ!」

 有坂にヘルメットを投げつける。

「真田君、鼻血出てるわよ」

「え!?」

 美麗に指摘されて、慌てて袖で拭う。



 今年の冬は、雪が積もる量が多く、また降る日も多かった。訓練基地の周りは、除雪が余りされておらず、足取りは重かった。

「靴下がベショベショ。クリスマス前日に、大したプレゼントだよ、真田」

 隊列の先頭で、有坂が雪に足を捕らわれながらぼやく。

「本当最悪、足の感覚が薄れていくわ。唯一の救いは、お風呂と今夜のクリスマスの豪華な食事に映画が救いよね。って!?」

 クリスティーが、深雪に嵌まった足を必死に抜こうとして尻もちを着く。

「大丈夫クリス?」

 美麗が、手を差し伸べてクリスを起こす。

「ありがとう、美麗」

「クリスの映画好きは、相変わらずね。今夜の演目は?」

「今夜の映画は、ハード・コップって映画よ。クリスマス休暇の警察官が、ビルに立て籠ったテロリストを銃で撃ちまくるの」

 クリスティーの映画好きは、子供の頃からだ。父さんが、グラウンド・ゼロで亡くなって、母さんは、働き詰めで夜遅く帰ってきた。映画が親代りみたいな物で、母さんが帰るまでに映画や絵本を読んで、感想を仕事で疲れきった母さんに聞かせるのが日課だった。

「真田君の、クリスマス休暇は?」

「ん?俺は、本土の病院に入院してる妹に会いに行くかな。もっとも悪天候で飛行機が飛ぶかどうか・・・・皆どうした?」

 真田の一言で、小隊一同が凍り付く。

「あんた、妹がいたの!?」

「編成以来、初めて聞いたわよ!?」

 有坂とクリスティーが、驚いて思わずライフルを落とす。

「画面の中の妹じゃないよね?」

 さりげなく有坂が失礼な発言をする。

「は?俺だって、妹ぐらいいるよ!写真だってほら、見てみろ」

 真田が胸ポケットから写真を出して、皆が群がる。

「この有坂隊長に詳しく報告しないとは、いい度胸してるよ」

「兄妹なのに似てないじゃない?」

 次々に有る事無い事を言い始める。

「目元が真田君に似てて可愛いじゃない?」

「え・・・・」

 美麗の一言に有坂とクリスティーが固まる。

「ま~人それぞれ好みがあるからな。小さな胸が好きな人もいるし」

 ニヤニヤ顔の有坂が、クリスティーの胸を見る。

「いい加減にしろッ!」

 雪を有坂の顔面に投げつける。

「あんた、雪玉も投げるのが下手くそね。射撃も下手だしさ」

「うっさいわね。このM1ガーランドライフルの反動がデカすぎるのよ。だいたいフルオートの時代にセミオートで、しかも旧時代のライフルって、あたし達は第二次魔術大戦の兵士かってのよ」

 訓練部隊には、費用削減の一貫で合衆国から過去に供与された旧世代の火器があてがわれている。もっとも最新式のライフルは、訓練部隊にやるくらいなら最前線に送らなければならない。

「でた、クリスのM1嫌いが。あたしは、好きだけどねM1。撃ち尽くした直後のキーンって音が、堪らないのよ。弾の威力も高いし、給弾時に親指を気をつけないと危ないけどさ」

 有坂が自分のM1を頬にスリスリする。

「兎に角、M1は私には合わないから。大戦武器なら、トンプソンサブマシンガンに限るわ。しかも簡易製造モデルのトンプソンM1A1じゃなくて、シカゴギャングが使う初期モデルのトンプソンM1928A1、ドラムマガジンを装着したやつ。ギャングみたくバンバン撃つのがいいのよね」

「でもトンプソンは、45口径弾がバラける傾向があるからね。ま、射撃下手なクリスちゃん向きかも。下手な鉄砲数打ちゃ当たるってね」

 得意気にクリスティーを見下ろす。

「はっ。魔術適性なら有坂より私の方が上だからね。有坂のメジャーソードよりも、私のジャッチメントの方が強いしね」

「持ち主によく似て、魔力バカ食いの神器より、あたしのメジャーソードの方が、オールマイティーに戦えるし」

 雪が降りしきる中、啀み合うもといじゃれあう二人。

「二人供、いい加減しろよ」

 真田が仲裁に入るが、火に油を注ぐ。

「あんたは、引っ込んでなさいッ!」

「ごっごめんなさい」

 二人の気迫に圧されてしまう。

 見かねた美麗が、仲裁する。

「二人供。早く帰投しないと、お風呂の時間も無くなるし、クリスマスの料理が他の部隊に食べられるわよ?」

 ピタリと二人が止り、咳払いをした。

「クリスマスの料理を他の部隊に食べられるのは、許し気事態ですな。クリス准尉」

「まったく同感です。有坂准尉」

 二人が方向転換し、仲良く横一列で基地に進む。

「まったく。色気より食気とわね」

 呆れる美麗であったが、気持ちが分からないでもない。軍隊の食事は、とても食事とは言えないレベルで、クリスマス等の特別日は、ちゃんとした食事にありつけた。

 花咲く前の蕾の乙女達は、色気より食気が勝るのである。



 基地に帰投して最初にやることは、入浴である。ライフルを武器庫に保管し、お風呂のある官舎まで、急いで駆け抜けていく。

「クリス、一番風呂は、この有坂隊長が頂くよッ!」

 有坂が雪に濡れたブーツを脱ぎ捨てた瞬間に怒号が飛ぶ。

「こら、有坂!泥だらけのブーツを乱雑に脱ぐな!キチンと揃えなさい」

「すみません。安曇(あずみ)曹長」

 安曇曹長は、この基地の施設管理を任せられている。勿論、訓練部隊の女性教官も勤めあげていて、ライフル射撃が得意であり、グラウンド・ゼロ以前は、世界選手権に選ばれる程だった。

「有坂。お前は、いつまでたっても落ち着かないな。士官候補として自覚が足らないぞ。クリスや美麗を見習え」

 有坂がクリス達を見ると、さっきまで一緒に走って来たのに、歩きながら脱いだブーツを整える。

「汚いぞ、お前らッ!」

 有坂の指摘に、しれっとする。

「有坂准尉。隊長なら皆の模範にならなければいけませんよ。隊長がそんなんだと、副隊長の私が困ります」

 笑いを堪えながら、ニヤケ顔でクリスが言う。

「くっ、裏切りものめ!」

「有坂、煩いぞ!さっさと風呂に入れ!」

「すっすみません」

 安曇曹長に再び注意され、急いで脱衣所に向かう。

 基地の入浴施設は、簡易的ではありながら、一度に三十人は入浴できる。

「あんた達のせいで、あたしだけ曹長に怒られたじゃんよ」

「さて、何の事でしょうか?」

 有坂が上着を脱ぎながら、クリスティーに文句を言うが、当の本人は、意に介さずだ。

「覚えときなさい。って、美麗。また胸が大きくなったんじゃない?」

「そっそう!?有坂こそ、スタイル良いじゃない?」

「ん~筋肉ばっかし付いちゃってね」

 二人の会話を聴いて、クリスも視線を二人に向ける。

(確かに美麗、お山の標高が上がってるし!?有坂は、全体的なまとまりが良くなってる!?)

 クリスティーが自分の身体に視線を向ける。

(確かに有坂の言う通り、お山の標高が・・・・でも諦めちゃダメよ、私!成長期なんだからね。そう、成長期、成長期、成長期)

 有坂が隣で、うつ向きながら、ぶつぶつ言い放つクリスティーを見る。

「おいクリス、成長期、成長期って呪文を唱えるの止めろよ。恐いから・・・・」

「っえ!?あはは。ちょっとした、おまじないをね」

 心の声を指摘され、顔を赤くして、お風呂場に消えていく。



 お風呂から上がり、食堂に入ると豪華な食事が並べられていた。チキンにピザ、そしてケーキ。いつもの乾燥しきったパンや、ペースト状の食事とは大違いだ。

「これよ、これ。これが人間様のご飯よ。味気ないご飯とは違うわね」

 有坂が、目を輝かせながら席に着く。

「有坂、犬みたいになってるぞ」

 隣に座る前田が、注意する。

「うっさいはね。有坂隊長は、罰行軍で、とってもお腹を空かしているの!そう言えば、クリスは、クリスマス休暇はどうするの?やっぱり、お父さんに会いに行くの?一応、命日になるし」

「お父さんには、一人前の兵士になってないから、まだ会えない。けど、お母さんには、会いに行くかな。暫く帰ってないしね」

「そっか」

 有坂は、これ以上聞かなかった。ここに集まった人達は、あの事件から何かしらを抱えて生きているからだ。自分も例外では無い。

「もう、どうしたのみんな?食べないと冷めちゃうよ」

 慌てて、場の空気を替える。

「あ、そうね。みんな食べよ、食べよ」

 みんなそれぞれ好きな料理を取り分けていく。有坂がピザを手に取り、口に運ぶ。

「いっただきまー」

 ピザが、有坂の口に入る瞬間、食堂の扉が勢いよく開けられた。

 一同の視線が、入口に集まる。そこには、安曇曹長とMP(軍警察)が数人。

「クリスマス休暇は取消しだ。連邦軍が旭川戦線を突破し、街に迫っている。お前達も装備をまとめて即応待機だ!」

 隊員達がざわつく。連邦軍とは、旭川戦線で小康状態に陥り、最近は戦闘そのものが無いと聞いていたからだ。

「私達、訓練部隊なのに最前線に送られるのかな・・・・」

 フォークを持つ美麗の手が震えていた。その手にクリスが手を添える。

「待機命令だから、分からないわよ。皆、聞いたでしょ?官舎に戻って装備をまとめて!有坂、いつまでピザを食べてるの!」

「分かってるわよ!」

 ピザを口に押込み、水を一気に飲む。

 食堂から出た瞬間、寒さに痛みが走る。

 官舎に戻り、装備をまとめていく。

「トラックに在るだけの食料を積み込んで!テントに毛布も、在るだけ積んで!日頃の訓練の成果を見せて」

 真田と美麗が息を切らして走ってきた。

「大変だ有坂!・・・・医療品を前線に送ったばっかりで、倉庫に殆んど残ってないぞ」

 医薬品も少ない状態での、戦闘は死に直結する。

「皆、在るだけ積んでちょうだい。中隊長に補給を頼むから」

「まずいよ、有坂。武器庫の旧式の銃は、弾薬が余り残ってないし、防寒着だって足らないわよ」

「分かってるわよ。クリスは、できるだけ弾薬をかき集めて、皆に配って。最新式のライフルも数が少ないけど、配備されてるから」

「分かったわ」

 各小隊長の指示により、次々に荷物を積み込む。刺す様な冷気の痛みに堪えかねた隊員が、携行缶の燃料で焚き火を始める。

「小隊長は集まれ!行動計画を説明する」

 中隊長の号令で、小隊長が集まる。

「大隊長がクリスマス休暇で離れている為に、大隊長代理で、たまたま参謀本部から来られている、光中佐と大場中尉が指揮を執る」

「了解」

「旭川戦線を突破した連邦軍は、3方向から旭川に迫っている。中央がA集団、右がB集団、そして左がC集団だ。敵は、戦車に装甲車に歩兵の構成で、悪天候の為に、航空戦力と幸いな事に、魔術師は確認できていない。我々は、中央のA集団を迎え撃てとのことだ。何か質問は?」

 有坂が口を開いた。

「補給前で基地には、物資が殆ど残っていません。武器庫の銃は旧式で、弾薬も少ないです。現状の装備だと、戦車相手に豆鉄砲で戦う事になります」

「物資の件は、補給を急がせる。大隊本部からは、旭川は機甲部隊にとって交通の要所になるから、街を死守せよとの事だ。他に質問は?」

 他に口を開く者は、いなかった。実際には、初めての実戦で頭の中が真っ白だ。

「搬入が完了次第、出発する。私は、大隊本部に呼ばれる可能性があるから、本部にいる」

 中隊長の姿が見えなくなると一斉に口を開く。

「みんな静かにして。基地から役にたちそうな物は、何でも積み込んで。中隊長は、あんなんだから、覚悟を決めて。当分補給は無さそうだから・・・・」

 赤く染まった両手に、息を吹きかけて暖める。

「最悪のクリスマスになりそう」

 降りしきる雪の中で、空を仰いで小さく呟き、有坂も自分の小隊に向かった。



 旭川方面、土別地方の森。市街地から数十キロ離れた所に中隊は布陣した。

 白い靄の中、クリスティーと美麗が森の中を歩いていた。

「左翼部隊に医薬品が有るって本当なの?」

 半信半疑顔でクリスティーを見る。

「本当だって。佐川軍医なら持ってるって聞いたんだから」

 雪に足を取られながら、クリスティーが豪語した。辺り一面白い靄に覆われ、雪が音も無く降り注ぐ。

「左翼が見つからないんだけど・・・・・・クリス、道に迷った?」

「そっそんな訳ないでしょ!すぐよ、すぐ!」

 かれこれ歩いて随分と時間が過ぎだ。左翼部隊が居るならとっくに会ってるはずだ。

 靄の中に人影が見えた。

 クリスティーが手を上げ、しゃがみ込む様に合図する。

「敵なの?」

 美麗が小声で尋ねて来たが、あえて答えなかった。ライフルを人影に向ける。

「こっちに来なさい。来なければ撃つわよ」

 クリスティーの言葉に人影の動きが止まる。

「早く来い!」

 ボルトアクションライフルの給弾時の様な音がした瞬間、クリスティーが引き金を引き、乾いた銃声が森に響く。

 倒れる音がし、クリスティー達が駆け寄る。

「うそ・・・・・・子供?」

 美麗の震えた声にクリスティーも瞳孔が開く。

 目の前に倒れていたのは連邦軍の制服を着た子供だ。

 弾は肩を貫通し出血している。痛みからうめき声を上げていた。

「美麗、手当てしてあげて」

 クリスティーが肩を圧迫止血する。

「クリス、敵なんだよこの子供は!敵を助けるなんて、医薬品だって少ないのに・・・・・・」

 クリスティーが美麗の瞳を見つめる。

「美麗、あなただって撃たれたら手当てして欲しいでしょ?」

 クリスティーの言葉に美麗が医療バッグから痛み止めを脚に射つ。傷口に殺菌剤を撒き、包帯を撒く。

 背後のリュックから折り畳み式のタンカを拡げ、クリスティーに合図し子供を載せる。

「クリス、後で怒られるかもよ?」

「平気平気、捕虜を捕らえたって言えば大丈夫よ。持ち上げるわよ、1・2の3ハイ!」

 タンカを持ち上げ時、辺りの靄が晴れてきた。

 辺り一面に凍った死体が沢山ある。

 敵や味方の軍服を来た兵士達。子供が居た場所を見返すと兵士の死体の傍に缶詰めと認識票の片割れが有った。この子も食糧を探しに来たのかと頭をよぎった。

「気味が悪いよ、早く戻ろうよ」

「う、うん」

 美麗に促され、もと来た道に早足で戻る。


 連邦軍前線基地、名寄市に重武装ヘリMi-24ハインドが降り立つ。

 ハインドの扉を開けると、二人の兵士が降りてきた。

  一人は、深い銀の髪色に雪原の様な肌の色。バイカル湖の様にな淡い色の瞳をした少女。

 もう一人は凛とした艶めかしい女性だ。

「アレクサンドラ中尉とアンナ少尉、スペツナズの方達が来るなら歓迎会を準備しましたのに」

 基地指令官の言葉を少女が遮る。

「前置きは結構。僕達が党本部から聞いた話しと進捗状況が違うけど?どういう事なのかな、同士指令官?」

 少女が指令を見上げる。

「悪天候が邪魔をして中々、進軍が思うようにいかないもので・・・・・・」

「冬将軍も味方に出来ないとは・・・・・・。同士書記長と党本部には一言一句漏らさず伝えておくよ。処分は党本部から後日くるから、それまで謹慎してるといい。指揮は僕達が執るから安心してウラルの夢を見るといいよ」

「お、お待ち下さい!明朝には出撃できますので!国防軍の防御線は戦車が無いために必ず突破できます!」

「分かったよ、僕達も鬼じゃないからね。同士の言葉を信じる。それと同士の部隊にユーリ二等兵が居るだろう?第317偵察部隊にいるはず」

「第317・・・・・・。それがなにか?」

「僕の弟だ。無事か確めたい」

 指令官の顔が青褪める。

「第317は昨日より交信が無く、部隊の殆んどが行方不明になっております、同士」

 指令官の首に赤い鎌の刃が触れる。

「最後の所在地を言え!言わなければ、その首を書記長の手土産する!」

「土別の偵察が最後の交信場所です、森林地帯の前線偵察です同士!」

 アレクサンドラの肩をアンナが掴む。

「サーシャ、熱くなり過ぎです。行方不明なら生存の可能性だって有ります。武装ヘリのハインドなら威力偵察も兼ねて、私用でも動かせますから急ぎましょう」

「分かったよ、アンナ」

 鎌が小さくなり、ピアス様に耳に納まる。

 二人が乗り込むとハインドが回転翼が回り始め飛び立ち南の空に消えて行った。



 土別地方の森の上空をハインドが旋回飛行する。

「赤外線カメラに熱源の反応がありませんけど、どうしますか!?」

 パイロットからの言葉にサーシャの表情が暗くなってゆく。

「少し後方に開けた場所が有るから、あそこに着陸して下さい」

 見かねたアンナがパイロットに指示する。

 雪煙を立てながらハインドが着陸し、扉を開けると深い森が視界に入る。

 アンナが自衛用のAKS-74Uを二挺取り出し、サーシャに渡す。

「二人だけでは危険ですよ!」

 パイロットの忠告をアンナが優しく返す。

「心配いりませんよ。一時間して戻らなければ基地に引き返して、我々も死亡扱いしてもらって構いません」

 雪原の中を進む。雪が降っている時は、周りの世界が静かに時を進める。

 森の中は昼間だと言うのに仄暗く靄が包む。周りの木々の枝や、幹ごと折れた木が広がる。

「この辺りは砲撃の跡が有りますから、前線が近いかも知れませんよ、サーシャ」

「・・・・・・」

 無言のサーシャを背中から突き飛ばしタコツボに落とす。

「何するのよ!アンナ!!」

「すみません。心此処にあらずだったので。呆けていたら狙撃手に撃たれてしまいますよ。私は貴女の遺体を連れて本国に帰るつもりはありませんので」

「僕が撃たれる訳ないでしょ?アンナが守ってくれるし、アンナは僕が守るからね」

 タコツボに落ちながらも、屈託の無い子供の様な笑顔のサーシャ。

 ふと、アンナは昔を思い出す。まだサーシャと出会った頃。党本部による移民排除政策の強制収容所で初めて会った。赤の腕章を着けた兵士達に家族と貨物列車に乗せられた。収容所は家とは呼べないお粗末な建物で、冬の寒さで一人、また一人と死んでいく。寒さで死ねなくても栄養失調による餓死が待っている。

 幸か不幸か、私には魔術適正が分かった為に収容所内の別施設に移った。

 そこでサーシャに出会った。サーシャは孤児院から姉弟で収容所に移されたが、同じく魔術適正が分かった為に移されたらしい。

 魔術兵士になり家族がいる収容エリアを訪れると、もう誰も居なかった。遺体をまるでゴミの様にブルトーザーでかき集め、かき集めた遺体を焼却している後景。

「アンナは一人じゃないよ。僕やユーリも家族だ。僕達が、この腐った世界(国家)を変えるんだよ」

 焼却されている炎が、強い決意の様にサーシャの瞳に写る。

 この子なら、いや。サーシャ達となら変えられるかもしれない、この世界を。

「アンナ、手を貸してくれる?」

 我に帰ると眼前には、手を伸ばしているサーシャ。

「はい」

 二人の手が紡がれる。手の甲には収容所に居た証の焼印が薄っすらと残る。

 サーシャを引き揚げて先に進む。暫くするとアンナが立ち止まってしゃがみ込む。足元には足跡が有った。

「気象部からの報告だと、最後の交信日時からは曇りの報告ですから足跡を辿れるかも知れませんよ」

「僕には同じ足跡に見えるけど」

「サーシャ、よく見てください。私達と同じ靴底ですよ」

「あ、本当だ!さすがアンナ。頭いいね~」

 ため息混じりに息を吐き先に進む。

 遠くの方では砲声が聞こえる。敵か味方か分からないが銃声も散発的に響く。

 足跡を辿ると凍った死体が一面に広がっている。その近くに白い雪に赤く染まった地面が見え、サーシャが駆け寄る。

「サーシャ!?」

 思わず大声を上げてしまう。

 アンナが駆け寄るとサーシャが震えた声で呟いた。

「ユーリの認識票だよ、これ・・・・・・」

 アンナが認識票を見ると確かにユーリの名前が有る。

「この血って、ユーリのだよね?撃たれたって事・・・・・・」

 サーシャの瞳に涙が浮かぶ。

「しっかりして下さい、サーシャ!」

「死んだかも知れないんだよ!」

 咄嗟にサーシャの頬を叩く。

「しっかりしなさい、アレクサンドラ・メドジェーベェア!確かにユーリの認識票に、この血痕だってユーリの可能性があります。仮に撃たれて死んだのなら遺体が有るはずです。足跡が幾つも有りますし、我々の医薬品でない包帯の袋と痛み止めの注射器から推測すると生きている可能性があります」

 アンナが足跡の先を指差しながら言う。

「それって、捕虜になったって事?」

「恐らくわ。旭川の市内なら救護所が有ると思いますから、居るならそこでしょうね。救出は急いだ方が良いでしょう。我々と同じで、敵にとっても捕虜は貴重な情報源ですから」

 アンナが喋り終えた瞬間に銃声が鳴り響く。

「連邦の兵士が居たぞ!」

 人影からして数十人の国防軍の兵士だ。

 すぐさまサーシャ達も反撃する。

「撤退しますよ、サーシャ!」

 木の影から腰撃ち射撃で後退する。互いに後退中は援護射撃で牽制しながら後退していく。

 木々が風に揺れ初め、上空をハインドが通過していった。

 アンナが信号弾を放ち、無線機で連絡する。

(信号弾の位置から南方に向かって機銃掃射をかけて下さい。着陸場所は確保しませすので)

 またたく間にハインドのガトリング式機銃が火を吹く。木々を粉砕し雪煙が立ち始める。

「サーシャ、頼みますよ!」

「まかせて!!」

 サーシャが耳のイヤリングを取り、巨大な深紅の鎌に変化する。呼吸を整え鎌を振る。

「てやぁっ!!」

 一振りするだけで周りの木々が倒れていく。ハインドが急かさず強硬着陸を行い扉を開ける。

 倒れた木々とハインドの回転翼の雪煙に紛れ乗り込む。

 飛び立つ瞬間に両側の機関銃から制圧射撃を行い、北の空に飛び立つ。



 凍える寒さの中、塹壕を掘り、待ち構えた。

「お尻が凍傷になる・・・・クリスマス休暇は、愉快なサンタクロースが出そうな森で過ごせるんだから有り難いよ、まったく」

 有坂がガクガク震えながらぼやく。クリスマスのご馳走が台無しなのを、まだ恨んでいるらしい。

「文句言ってないで、前線の監視をしてよ。私は、少し眠るから」

 クリスティーが双眼鏡を有坂に押し付ける。クリスティー達の塹壕は、前線監視所で交代で監視をしている。目の前は、遮蔽物の無い雪原で反対側も森になっている。

「もうすぐ夜明けが近いよ。連邦軍の奴ら、ボルシチでも食べているのか。いい匂いがこっちまで来る。あたし達が凍った乾パンをしゃぶりながらなのによ」

 ガクガク震えた口に、凍った乾パンを運ぶ。

 クリスティーは、薄い毛布を羽織り、眠りにつく。床は無く、冷たい地面の上で熟睡は無理だ。

 ふと地面が揺れ始めた。

「有坂、貧乏ゆすりは止めてよ。眠れないから」

「ちょッ!あたしじゃないから」

「じゃあ誰よ・・・・」

 目の前の雪煙の中から、装甲車と歩兵が現れる。

「ヤバイ、敵だ!クリス起きて!」

 有坂に蹴飛ばされ、急いでライフルを構える。

 装甲車の影に隠れながら、近づいて来ている。

「まだ、撃つな!充分惹き付けてから撃て!」

 安曇曹長が塹壕を回りながら声をかけた。

 次の瞬間、ヒュッンと弾丸が空気を裂く音が耳をかすめる。

 誰かが、反撃し互いに撃ち合いが始まった。

 木々を切り裂き、曳光弾が飛び交う。

「クリス、迫撃砲に装甲車を狙わせて!」

 有坂の指示で、急いで無線機を取る。

「了解!火力支援を要請!目標、敵装甲車及び敵歩兵。HE弾(榴弾)を喰らわせて!」

 何秒間後に装甲車の周辺が爆発した。

 歩兵に何発か命中し、人が花火の様に弾ける。

 装甲車も炎が上がり、乗員が飛び出して逃げ惑う。

「撃ち方止め!弾を節約しろ!」

 曹長の号令で次第に発砲音が消える。

 敵が退却し、森の中に逃げて行った。

 負傷者の叫びが響く。直ぐ様、衛生兵が塹壕から飛び出した瞬間に砲声が鳴る。

 砲弾が木に当り、破片が飛び交う。風船が割れる様に弾け飛ぶ。

 砲撃されている時は、ひたすら塹壕の中に身を隠すしかなかった。出れば最低でも手足が吹っ飛ばされ、最悪は肉片しか残らない。

 まるで木に導火線を巻いた様に爆発していく。

 暫くすると砲声が鳴りやむ。

 衛生兵を呼ぶ叫び声が木霊する。

「みんな塹壕から出るな!また砲撃があるぞ!」

 安曇曹長の叫び声に誰も逆らわなかった。正確には、みんな震え上がって穴から出れない。

 また直ぐに砲撃が始まった。彼等は負傷兵を運び出す兵士を狙って攻撃してきてる。最低でも負傷兵の息の根を止める為に。

 クリスティーは子供の頃に見た花火を思い出した。火花が綺麗に咲き誇る。

 しかし、今回の花火は最悪の殺人花火だ。

 再び砲撃が止み、クリスティーが塹壕から顔を半分出す。

「大丈夫か!クリスティー!」

「大丈夫よ!」

 隣の塹壕からの仲間に返事すると、仲間の塹壕に一発の砲弾が地面に刺さる。

「不発弾かよ・・・・・・驚かせや―」

 一呼吸置くと砲弾が爆発し、クリスティーに肉片が飛び散る。時限信管式の砲弾だ。

 目の前にさっきまで居た人間が居なくなっていた。

 服に着いた肉片を触るとまだ温かい。

「何よこれ!?」

 思わず振り払ってしまう。

「しっかりして、クリス!負傷兵を運ぶから曹長を手伝って!」

「う、うん」

 有坂にお尻を押され、ライフルを投げられる。

 塹壕から出ると辺り一面穴だらけだ。自分の千切れた腕を探す兵士、正気を失って素手で穴を掘る兵士。

 正に地獄絵図だ。

「こっちだ!」

 安曇曹長の元に駆け寄ると真田の姿が見えた。

 腕にに木片が刺さっている。美麗が痛み止めを射とうするが静止する。

「これくらい大丈夫だ。取っとけ!」

 搬送用のジープが到着し後部座席に座らせる。

「クリスティーと美麗も後方に下がって、何か温かい物でも食べてこい。医薬品の補給があるかもしれないからな」

 二人も頷いた。硝煙の香りと血の匂いに気が滅入りそうだから、少しでも離れていたかった。



 前線から一番近い、市内の救護所は町の診療所を使っている。道端には遺体の山が出来上がっていた。

 救護所の玄関にクラクションを鳴らしながら車を着けると白衣を着た男女が出て来る。

「二番診察室に運んで!」

「あ、あの医薬品の備蓄って有りますか?」

 美麗の言葉に男性が首を振る。

「悪いが、分けられる医薬品は殆んど無いんだ。包帯とかなら少しは分けられるが」

 男性が医薬品棚を指差す。確かに棚の中は空に近い。

「美麗、悪いけど包帯だけでもいいから分けてもらって。運ばれた人達の中にもハサミとか持ってるかもしれないから声をかけて。ちょっと例の子に会ってくるから」

「分かった」

 例の子とは、この前捕らえた捕虜の事だ。

 彼の為に小さいが個室が用意されている。入口には見張りの兵士が一人付いている。

「彼は何か喋った?」

「いえ。食事は少しだけ食べましたが、後はあの通りです」

 ガラス越しに見ると写真を眺めている。

「彼と少し話しがしたいから開けてくれる?」

「手短にお願いしますよ。規則違反ですから」

 クリスティーが入室すると扉の鍵が締められた。

「私はクリスティー、上沙クリスティー。良かったら名前を教えてくれるかな?」

 クリスティーの言葉に反応すること無く写真を眺めたままだ。

 写真を覗きこむと、この子と同じ様に深い銀の髪をした少女が写っている。他には年齢が離れているが同じ子供達だ。

「君と同じ髪色をしている子は妹かな?」

 相変わらず無反応のままだ。

 扉の外で美麗が声をかける。

「クリス、そろそろ行くよ」

「分かったわ」

 クリスティーがドアノブに手をかけた瞬間。

「妹じゃなくて、お姉ちゃん。身長が低いの気にしてるから、妹って言われると怒るんだ」

「お姉ちゃんなんだ。私は一人っ子だから、ちょっと羨ましいな。ねぇ、写真に写っている子達は?」

「みんな孤児院の子供・・・・・・。僕もお姉ちゃんも孤児院育ちだから」

「そっか・・・・・・」

 美麗が急かす様に扉をノックする。

「ごめんね。私もう行かなくちゃ行けないから」

「分かった。僕の名前はユーリ。ユーリ・メドジェーベェア」

「また会いに来るね、ユーリ」

 ユーリは無言で頷いたが、無表情だった顔に微かに笑みがあった。

 救護所を出るとまた雪が降っていた。

「まさか、前線まで徒歩じゃないよね」

「クリスがもたもたしてるからだよ」

 土色の雪道を歩いていたら一台のジープが泥水を撥ね飛ばして過ぎ去る。

「ちょっと!謝りなさいよ!」

 クリスティーがジープに向かって叫ぶ。するとジープがバックで戻って来た。

「悪い悪い。お前ら前線に向かうのか?」

 助手席の男性が声をかけてきた。黒の軍服を着た男女だ。

「謝るのが先でしょうが!」

 クリスティーの怒鳴り声に美麗が袖を引っ張り指差す。

 よく見ると階級章が中佐と中尉のを着けている。

「上官とは知らず、すみませんでした!」

 美麗が敬礼しクリスティーも敬礼する。

「ごめんなさいね。光ちゃんが急かすから。大丈夫・・・・・・でも無さそうかしら」

 運転席の女性がクリスティー達の泥だらけ姿を見て口を押える。

「これくらい大丈夫ですから!」

 美麗の言葉に女性の表情が罰が悪そうになる。

「お詫びと言っちゃなんだけど、前線まで連れて行ってあげるから乗って」

 女性が後部座席に乗る様に促す。

 二人が顔を見合わせ、断るのも悪いと思い車に乗り込む。

「お前達、名前は?」

「赤城美麗一等兵です」

「上沙クリスティー准尉です」

「上沙准尉か・・・・・・」

 男性が女性と顔を合わせ、鼻で笑う。

「お前達ついてるな。俺達が来たら()()()()()()()()

 何の事を言ってるのか理解出来なかったが、四人を乗せた車は森の中に戻って行く。

 戦場と言う名の地獄に。

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