第9話 魔王令嬢、格上に勝利する。
技名考えるの、辛い!
さっき取得した能力"鑑定眼"で、早速牙狼帝の
に苦手な属性を知ることができた。
ちなみに、牙狼帝のステータスは以下の通り。
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ステータス
名前:なし
性別:オス
種族:牙狼帝
称号:洞窟の支配者
加護:なし
レベル:83
魔法:雷、風、土Lv7
能力:身体強化、詠唱破棄、衝撃吸収、物理攻撃強化
耐性属性:火、雷、土
弱点属性:氷、草、風
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私がさっき使った"聖魔陽炎澪撃"は火属性の
Lv8の魔法を剣に纏わせて放った物だ。
いくら毛皮が高い防御力を誇っていたにしても、ダメージが想像より全然少ないと思ったら、耐性が他より強い属性だったようだ。
逆に、先程の"吹雪"などの氷属性や草属性、風属性の魔法に弱いということだ。
そうと分かれば、魔力の使い過ぎには気を付けながら、できるだけ早く勝負を決めなければならない。
なぜなら、私が今使っている魔力超過は魔力の消費が激しいし、身体強化も負担はあまり無いが、長時間は持続させるのが難しいのだ。
先程から、牙狼帝はこちらの様子を警戒してあまり攻撃を仕掛けてこない。
ならば、こちらから攻めてやる!!!
まずは、私にとって有利で、そして敵にとって不利な舞台へと変えてやる!!
「氷昇華結晶空間」
これは、その名の通り大気中にある気体だけを
昇華させて、辺り一面を氷に変える魔法だ。
私は、人も魔物もいない極寒の地で育っていたため、氷の属性への耐性が非常に高く、1番使い慣れた属性でもある。
相手も分厚い毛皮に包まれ手いるから、寒くはないだろうが、何より狼だ。
しかも、ずっと洞窟の中にいる上、物理攻撃強化により突進してくることが多い。
これで、滑らない方がおかしい状況を作り出すことができた。
さらに加えて、
「落下極氷」
上から止むことない、あられだ。
その正体は二酸化炭素を昇華させて作り出した
ドライアイス。
敵に当たり続ければダメージを継続的に負ったり、火傷の状態異常を引き起こす、長期戦では厄介極まりない技だ。
しかし、何と私は耐性がつきすぎて、これに当たるとダメージを負うのではなく回復までする体質になってしまったのだ。
つまり、現状この舞台は私の為だけにあるような物だ。
流石にこれには、牙狼帝も戸惑っているようだ。
「なんだこれは!?
貴様、先程と全くオーラが違うが本当に何だというのだ!?
ええぃ!小賢しい。少し能力は上がったようだが、何も変わらぬわ!
さっさと我が、倒してくれる!!」
しかし、余計に怒ってしまったようで、今にも攻撃を仕掛けて来そうだ。
そして、本能的に感じているのだろう。
このままのんびりしていては、どんどん不利な状況になっていくのに。
そして、第2の戦いが始まった。
しかし、先程とは戦況が全く違う。
流石に突進してくることはなくなったが、
その分魔法による攻撃が増えて非常に面倒だ。
私は、今持てる最高の一撃を出すために、牙狼帝の魔法を結界で防いだり、壁を蹴って躱したり、氷の壁や床を砕いての目くらましなど妨害をしながら、少しずつだが魔力をねっている。
いくら身体能力が上がったとはいえ、
広範囲攻撃魔法は躱しきれないので、時々
"草巻風"や"泥土岩断崖"などの
魔法による相殺はしているが、未だ相手の攻撃が私に直撃することはない。
いや、たまに魔力をねるのに集中しすぎて、
躱しそこねることがあるのだが、これまた
超速回復ですぐに回復してしまうのだ。
流石のこれには、牙狼帝も目を白黒させて、
「貴様!!本当に何だというのだ!?
その回復力は何だ!?まだ、全力ではなかったというのか?ふざけるな!」
と、先程からめちゃくちゃ怒っている。
だんだん狙いが適当になってきているほどだ。
そして、とうとう魔力が無事にねり終わり、私がどうしようか悩んでいたら、相手の様子がいきなり変わった。
急激な魔力の高まりが感じられる。
どうやら、相手も本気でこの戦いを終わらせるつもりらしい。
……………………………しかし、もう遅い!!!
終わらせてやる。お望み通り。
「ククク…………。
フハハハハハッ!!!
まさか、この我を本気にさせるとはな。
我は貴様のことを過小評価していたようだ。
しかし、もう遅いぞ?
この我を本気にさせたのだ。
この魔法で貴様は終わる。
だがな、貴様のことだ。この急激な魔力の高まりを前にして焦っていないのだ。
何か策があるのだろう?まぁ、無駄だと思うが、せいぜいやってみろ。
覚悟はできたか?では、死ぬがいい。
狂獄雷台風!!!」
来た!!!
「終わりなのは、あなたの方ですわ!!!
その技、利用させて頂きますわ!
滅びなさい。
極寒氷獄竜巻覇!!!」
私の放った"極寒氷獄竜巻覇"は、
相手の"狂獄雷台風"を全て巻き込み、
その威力と勢いをさらにあげながら、
周りの全てを削り取り、牙狼帝に向かっていく。
この技は、今私が出せる最高の魔法。
氷属性と風属性の2つを組み合わせて創り上げた、私の最強のオリジナル魔法。
もちろん、Lv9の魔法で、その竜巻は周りの物全てを巻き込み、粉砕する。
この魔法は、大抵の相手の魔法をもその暴力的な風によって取り込み、威力を上げる。
そこに、私の新たな能力"一撃必殺"も加わって、あり得ないほど高い威力になっている。
自分で創った魔法だが、かなりえげつない魔法ができあがってしまったと今更ながら思う。
そして……………………………………、
「何!!!???
我が魔法が取り込まれただと!?
来るな!!来るな!!
ギィャアァァァァァァァァァァァァァァァ!」
牙狼帝をもその竜巻内の絶対破壊空間へと
巻き込み、塵に変えた。
本当はここで終わらせる筈だったのだが、
ちょっと気合を入れすぎたらしく、そのまま
洞窟の壁を粉々に粉砕しながら突き進み、
100メートルぐらい進んだ所で、ようやく消滅した。
竜巻が直接通っていないところも、かなり削れて消失しており、そこにはもう何も存在していなかった。
(あれ?…………………………………………………………………………
私の創った魔法ですが、ちょっと怖すぎですわ‼使い道や使い方には今後細心の注意が必用そうですわね。
ですが、格上の敵を倒したことで、力が、能力がまた大きく上がっているのを感じます。
やりました!!お父様!お母様!
見ていられるかは分かりませんが、私Aランクの魔物も倒せるぐらい強くなりましたわ!!
私も驚いてはおりますが、この調子で頑張ります。どうか、見守っていて下さいませ。)
そう考えていると、ララから念話が届いた。
『お姉ちゃん‼スッゴ〜〜〜〜〜〜イ!
何!?今の技!?ぼく、全然わからないよ。
でも、良かった。ぼくたち、あの魔物に勝てたんだね。やっぱりお姉ちゃんについてきて正解だったよ。…ここまで、強いとは想わなかったけど。でも、お姉ちゃんの大勝利、ぼくもとっても嬉しいんだ!これからも宜しくね、お姉ちゃん!』
「えぇ。もちろん!
こちらこそ、宜しくね、ララ。
でもね、この勝利はあなたのおかげでもあるの。これは、私達2人の大勝利よ!」
私は、心から嬉しく思う。
こんなに激しく心が揺さぶられるのは初めてだ。
これからも、ララと旅をしたい!
そう、心に誓った。
そして、魔力超過と身体強化を解いた瞬間
その場に崩れ落ちてしまった。
魔力を使い果たしたのだ。
仕方がないだろう。
『!?…お姉……………ち…………!
……………姉…………………………ゃ…………………』
何やらララの念話が聞こえて来るが、
物凄い眠いし、視界もぼやけてきた。
ヤバイ。もう耐えられない。
だが、もう牙狼帝は間違いなく倒したのだ。
しばらくは大丈夫だろうと思い、私は静かに眠りについた。
あれ?
結界って何属性の魔法だろうと書きながら考えましたが、全然わからなかった。
細かいことは、まぁいっか。
これからも宜しくお願いします。