第7話 魔王令嬢、真剣勝負を始める。
更新遅れてごめんなさい。
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〜牙狼帝視点〜
…我は今怒っている。
我のような強者が人間に見つかると、
様々な討伐部隊が組まれ倒しに来られるのが面倒だから、せっかく洞窟の奥。
見つかりにくい場所を拠点に縄張りを作ったというのに、その我の縄張りに侵入しおる者がいた。ここ、何十年も誰にも見つからず生活していたというのに、あろうことか気配を探れば我の寝床に居座り始めた。
クックックッ!
この我の寝床でそんなことをするやつが、まだいたとは。面白い!!!
我はこれを我への挑戦と受けた!
いいだろう、我が直々に戦ってくれようぞ。
そして、後悔しながら死ぬがいい。
我が縄張りに踏み込んだ、自分の愚かさを悔やみながら…。
なんだこれは?
気配の場所は、だいたい分かるのにハッキリとは分からん。
それにここ周辺を覆う魔力の結界。
ふむ、見た所認識阻害の魔法と魔力を感知する結界か………。
フハハハハ!この我に、少しだが効果がある魔法とはな。本当に面白いやつよ。
だが、なおさら消さねばなるまい。
我が安息の地に勝手に魔法を使ったのだ。
こ奴らは、果たして何を考えていたのやら、
到底理解できん。
まぁ、今から殺すのだ。
別に、どうでもいいか。
だが、ただ殺すだけではつまらん。
相手に絶望を植え付けないと、面白くない。
ふんっ!仕方ない。
我の寝床に居られるのは尺に触るが、
しばらくはこの我の寝床と洞窟をつなぐ出口の前で待って手やるとしよう。
さぁ、早くその姿を我に見せるのだ!!
おっ!
魔力がでかい方に動きがあったようだ。
しかしなんだ、こちらまでこぬのか。
本人は隠れているつもりなのだろうが、
相手が悪かったな。我にはバレバレよ。
「灯火」
遠くでそんな声が聞こえた。
すると急に我の周りが明るくなった。
なるほど、まずは敵の正体を見定めるということか。確かに、この状況では良い判断だろう。
ただし、相手が我ではなければな。
「……………………嘘……………………でしょ。」
ほら、絶望に染まった顔をしているわ!
しかし、それでもこちらに剣を向けてくるその姿勢。度胸だけはあるようだな。
だが、不思議な少女だ。
見た目は人間と変わらないのに、嫌、半分は人間と同じなのに。
魔力の質が違う。魔族や魔物とも少し違うし、
一体何者なのだ。
この少女も可愛そうな者だ。
まだ若そうだし、ここにさえ来なければもっと長生きできただろうに。
その度胸に敬意を払おう。
さぁ、かかってくるがいい!!!
「愚かな娘よ!!!
我が縄張りにさえ、入らなければ長生きできただろうに。しかし、今さら後悔したところでもう遅いぞ?侵入者は滅ぼすのみ。
さぁ、戦いを始めよう!」
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〜マリアンヌ視点〜
「愚かな娘よ!!!
我が縄張りにさえ、入らなければ長生きできただろうに。しかし、今さら後悔したところでもう遅いぞ?侵入者は滅ぼすのみ。
さぁ、戦いを始めよう!」
牙狼帝が、私に向かってこう言ってきた。
流石に、これには私もびっくりだ。
いくら高位の魔物とはいえ、狼の魔物が
物凄い流暢に人の言葉を喋っているのだ。
言葉から、知性が高いことも分かる。
ハハッ。強い上に知性も高いとなると、
倒すのは余計に厄介だ。
なぜなら、力任せに攻撃してくるだけじゃないからだ。どこまで、私の攻撃が通用するのか全然分からない。ハァ〜。
「風速脚」
風魔法で、私自身のスピードを上げ、敵を見る。
弱い魔法や斬撃が効かないのは、一目で分かる。
ならば、今私が放てる最大の攻撃を最初から打ち込むしかない。
そうして私は、跳躍の魔法で上に跳び剣を上段に構えた。そして、
「聖魔陽炎澪撃!!」
聖属性と魔属性の両方の性質を持つ、
炎を剣に纏わせ、牙狼帝目掛けて切り裂いた。
攻撃は無事に当たり、私は内心
(やった!!この攻撃なら倒せたはず!!)
そう信じて疑わなかった。
私の、斬撃は切り落とすまではいかないものの、その大きな体を確かに切り裂き、
切り裂いた所から、この攻撃の追加効果の爆発を起こした。
私は素早く、後ろに下がり、2次被害を受けないように結界を構築しながら、その様子を見守った。
そして、その爆発による煙がだんだん拡散し、前方が確認できる程度には視界が回復したとき、私の目前にいたのは……………………、確かに傷を負ってはいるものの、あり得ないほど高い回復力により凄いスピードで傷を回復して先程と殆ど変わらない姿勢でこちらを見ている牙狼帝の姿をだった。
そして牙狼帝はというと、
「我に、ここまでの傷を負わせた相手は久しぶりよ。お主、なかなかやるようだな。
先程の攻撃、我以外の殆どの魔物なら抵抗もできずに死ぬだろう。それは、誇っていいぞ。
しかし、今回は相手が悪かったな。
我にはこの通り、高い治癒能力がある。
もっと威力のある攻撃で、即死させねば我は倒せんぞ?では、次はこちらから行かせてもらう。」
冷静に分析できる程、ピンピンしていた。
勝てる気が全くしない。
それが、正直な感想だ。しかし、魔王令嬢として育てられた誇りが私にはある。
諦めることだけは、私のプライドが絶対に許さない。ギリギリまで粘ってやる。
そして、本当の戦いが始まろうとしていた。
意外と、話が進まなかった。