幸一対真白 五発の勝負
はいどうも。昨日、投稿しなかったお詫びとまたもや遅れての投稿したお詫びをまずはしたいと思います。本当は昨日お詫びの投稿したと思ってたんですが上手くできてませんでしたね……。毎度毎度、本当に申し訳ない限りです……
明日!明日こそは時間どうりに……!
速い!
それが真白との勝負が始まった時に思った事だった。
流石に楽ほどの速さじゃないがその華奢な体からは想像できないほどの俊敏性を真白は持っていた。
思えば真白は俺よりも先に楽と最初に対面している。それはつまり、楽の足にある程度は付いて行けていたと言うことなのだ。そりゃ速いか……
ぐんぐん近づいてくる真白、そして互いの射程距離に入ると急ブレーキをかけ一発ずつ撃つ。
しかし、まだ遠い、俺も真白も軽くそれを避ける。
お互い残り4発。
リロードに時間がかかるこの銃は先に弾がなくなれば勝ち目はない。それは真白も同じ。つまり勝つためには弾がなくなるまでに相手を仕留めるか、わざと弾を外させて弾数を0にするかの二択なのだ。
後者は少々リスキーだ。隙を見せるように動く必要があるからだ。旨く避ける事が出来ればいいが失敗して当たる可能性も十分高い。
それならば、撃ち合った方が相手の弾数も減らすこともできて一石二鳥なのだが、弾がなくなれば元も子もない。何にせよ慎重な立ち回りが要求される。
互いに間を探りながらジリジリと近づいていく。射程圏内ではあるが弾を無駄にしない確実に当たる距離を感じ取る。
相手と自分の実力を測り、どれだけ近づくことができるか。近づけば当てやすくなるが逆もまた同じ。一発で決まる勝負、下手に動く事ができない。
探り合いが始まっていた。
…………!!
先に動いたのは真白だった。一直線にこちらに向かって走ってくる。
向かってくる真白に標準を合わせて引き金を引くが、横に飛んで避けられる。
「獣かよ!」
避けてもなお向かってくる真白にもう一発撃つ。しかし、避けられ、さらに撃ってきた。
あまりの早さに唖然として一つも身動きが取れない俺の横を弾は通り過ぎていった。どうやら、避けた時に足を取られ標準が少しずれたらしい。
本気で強い!
甘く見ていたつもりはないが想像以上だ。足を取られている間にもう一度距離をとる。
近づけなかった。足を取られている時でさえも。プレッシャーが真白から襲ってくるのだ。
まあここまでの動きをしても楽の動きには及ばないのだが。まともに対峙したら間違いなく負ける。ゾーマに光の玉なしで挑むのと同じだ。作なしでは絶対に勝てない。ただ楽は知力が低い。やりようによっては簡単に倒すことができる。自滅することも多い。
まあ作も圧倒的な力の前に敗れることもあるのだが……
だが真白は違う。俊敏性に知力が加わったオールラウンダー。もしかすると足が取られた罠かもしれない。しかし、ふりだとすれば俺はそのふりのおかげで救われたのだが。
現状の弾数は俺が2発、真白が3発で少し不利な状態だ。
どうする……
少し距離のある所の真白を見る。顔色一つ変えない無表情だ。ちょっとは疲れた顔とかしねえのかよあいつ……
この不利な状況を打破する為には……
俺は真白に向かって一直線にダッシュする。
同じ事をしてやればいい。動きが速くて当たらないなら俺と同じように釘付けにしてやればいい。
リスクはでかいが当てれば勝ちだ。鈴音と戦った時も同じ様なことをしたが、今回は弾の速さが違う。目で見て避けられるものではない。
つまり、引き金を引くのと同時に射線を避けなければいけない。ちなみに楽は見てからでも避ける。
真白は初めてにしてそれをやってのけた。ならば俺も負けてはいられなかった。
まさか突っ込んで来るとは思ってなかったのか真白も少し驚いた様子を見せたが、しっかり俺に標準を合わせた。
こい、こい、こい、こい、こい……
「いま!」
横を弾がかすめていく。
きっと真白のように綺麗に避けたわけじゃないだろうが弾を避けることができた。
避けられた事が意外だったのか真白は動かなかった。
ここしかない……!
即座に銃を構えて撃つ……
「外した!?」
動きながら撃ったせいで上手く標準が合わせられず外してしまう。
その間に我に戻った真白が撃ってくる。寸でのところで外れる。もう引く時間はない。
残り一発で勝負を決めなければならなかった。
足も疲労が見えている。そうは長引かせることはできない。
攻めるしかなかった。
もう一度真白に突っ込む。確実に当てられる距離まで間合いを詰めなければいけない。
危険だがこれ以外にもう勝つ手立ては俺には考えられなかった。
さっきよりも間合いを狭まる。真白もギリギリまで撃ってこない。向こうも近距離の一発で仕留めるきだ。
さらに近づく。この距離なら避けられもしない、外しもしない。
互いにトリガーに指をかけて引きしぼる……
……と見せかけて俺は走った勢いで砂を蹴り上げた!
迫った水の弾は砂の壁にあたり消えてなくなった。
「もらった!」
今度こそ銃口を向けトリガーを引き絞る。
「え?」
しかし引き絞る瞬間、見えたのは足を振り上げて砂を蹴ろうとしている真白の姿だった。
読まれていた!
気づいたのは引いた後、蹴り上げてできた砂の壁によって俺の弾は真白まで届かなかった。
俺の弾はもうない。真白はまだ一発残っている。
つまり俺の負けだ……
「はあ、やられたぜ……」
見事なもんだよ。この勝負はお前の勝ちだよ……
そんなことを思っていたら真白が近づいてきた。
「バイバイ」
勝利の別れの言葉を吐いて銃口を向ける。
いい勝負だった。負けたがあまり悔しくはなかった。
真白はゆっくりと引き金を引く。
終わった……
ぷすん
「え?」
弾がでなかった。
真白も首を傾げている。
あれ?確かまだ真白は四発しか撃ってなかったはずだ。数え間違えた?それとも見落としか?
何が起こったのかサッパリわからなかった。
「え、え~と……とりあえず弾を補給しなおして再戦でもするか?」
わけがわからなかったがこのままでは終われない。仕切り直そうとすると
真白は首を振った。
「必要ない」
そういって近くの茂みまで走っていく真白
「私には……」
そういって取り出したのは
「4号がいる」
楽が持っていたはずのハイドロガン4号だった。
「…………」
ハイドロガン4号を持って真白は近づいてくる。
「今度こそ」
真白は仕切りなおす
「バイバイ幸一」
「いや、バイバイはお前だ真白」
そう言って後ろに隠し持った水丸改を真白に向けて入れ棒を軽く押す。
「あ……」
弱々しい水が真白にかかる。
「はい、俺の勝ち」
「無念……」
そう言って真白は後ろ向きに無表情で倒れた。
倒れる事にはもう突っ込まない。
こうして俺と真白の白熱の勝負は呆気なくその幕を閉じた。
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