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夏の陣 開始

この一週間、毎日投稿に挑戦してみたいと思います。

急な話ですいません……。

なので今日は1話投稿です。明日の同じ時間にまた投稿したいと思います。


 汗が滴り落ちてくる。

 この滴る汗は夏の暑さのせいだけではない。砂浜に広がる緊張感が俺に汗をかかせている。

 

 砂壁に隠れながら深呼吸をして、緊張を解く。

 壁の横から少し顔を出し相手の動きを探る。

 敵は動く気配がない……こちらから動くか?


 手元にあるハイドロガン5号を握りしめる。弾数は十分……

 琴音にアイコンタクトをする。「行くぞ」のサインを送る。

 琴音が頷く。指を三本立ててカウントダウンを始める。


 3……


 2……


 1……


「ゴー!!」


 カウントダウンが終わり掛け声と共に壁から外にでて敵の陣地に駆けだす。

 掛け声に釣られて鈴音が砂壁から顔を出し攻撃態勢を取る。……もらった!


 鈴音の銃は威力が高く射程距離が長い代わりに素早い連射は出来ず、直線的で弾道が読みやすい。

 俺と琴音が急に攻めてきたから焦りやがったな!


 鈴音は俺にだけに狙いを定めて来た。銃で牽制しながら、鈴音の単調な攻撃をすべてよけ、そして簡単に鈴音の元にまでたどり着いた。

 鈴音の頭に銃口をつきつけ


「チェックメイトだ」


 引き金を引いた瞬間

 鈴音はニヤリと笑う


「な」

「あぶない幸一!」


 気づいた時には俺は琴音に突き飛ばされていた。突き飛ばされた勢いで吹き飛び砂浜に倒れこむ。


「琴音!」


 すぐさま起き上がり琴音の方に向き直る。しかし、琴音はピクリとも動かない。


 やられちまったか……


「まんまと罠に引っかかりやがったな兄ちゃん!」

「楽!」


 罠だと?


「鈴音さんを囮にして兄ちゃんをおびき出したところを狙う。琴音さんもバカだよな~弾が切れた兄ちゃんをわざわざ助けるなんてな」


「くっ」


 確認するとハイドロガン5号には弾はもう残っていなかった。


「あきらめな兄ちゃん、兄ちゃん達が先に動いた時点で勝負は決まっていたんだよ!」


 こんなに偉そうにしているが、絶対に楽が考えた作戦じゃないだろう。こいつバカだからな。

考えたのは多分、鈴音だろう。まさか自分を劣りにしてくるなんて思ってもいなかった……まさか琴音が庇うのも計算のうちなのか?


「終わりにしよう兄ちゃん、せめてこの兄ちゃんが使っていた昔の相棒、ハイドロガン4号でとどめを刺してやるよ」


 俺と同じタイプの銃を楽はその手に持っていた。

 楽は一歩、また一歩と近づいてくる、そして射程距離に入ると


「終わりだ兄ちゃん」


 銃を俺に向け引き金にてをかけ、


 バシュッ


 と一発の銃声が砂浜に響く


「……何……で?」


 楽が信じられないという顔をして蹲っている。それもそのはずだ。

 俺の手に銃が二丁握られていたからだ。


「そ、そんなはずは……ハイドロガン1号、2号、3号は今はもうないはず……そして4号は今あたしが持っているのに……」

「簡単な話だ楽、これは……この銃は、ハイドロガン6号だ……こんな時の為に昨日用意しておいたんだよ」

「そ、そんなのずるじゃ……ねえ……か」


 そういって楽は崩れ落ちた。


「ふっ2丁使ったら反則なんてルールねえよ。お前の敗因は策に溺れて油断した事だ。その機動力を活かしていれば勝てたかもしれぶっ!?」


 ぐおー!!海水が目に染みる!?

 最後の決め台詞を言っている時に誰かに顔を撃たれた。もう生きているのは俺しかいないはずなのに


「私の……勝ち」


 …………。

 海水が顔からポタポタとたれていく。


「おい……真白?今回はとりあえず見てるだけなって言ったよな?」


 真白は首を傾げる。


「どうしたんすか?幸兄ぃ?」


 俺にやられて倒れていた鈴音がいつの間にか復活して近づいてきた。


「……いや、真白も早くやりたいらしい」

「お、いいっすね真白さん、水鉄砲バトルの良さがわかったみたいっすね」


 そう、俺たちは昨日の約束した通りに海に来たにも関わらず、海で泳がず水鉄砲で対決していたのだった。

 ルールは単純、相手に一発でも弾を当てればいい。痛くない簡単なサバイバルゲームみたいなものだ。顔に当たると海水が目に沁みるが。

 雰囲気を見て欲しくて、真白抜きの2対2のチーム戦をしていたのだが、どうやら我慢できなくなったらしい……意外と子供っぽいよなこいつ……


「てか、お前その銃どこから持ってきたんだよ?」


 まだ、真白には水鉄砲を渡していなかったはずなのだが……よく見るとどこかで見たことある気がする。


「真白ちゃーん、私の(さざなみ)返してくれる?」


 同じチームだった琴音もこっちに来た

 真白は琴音の言葉に頷き素直に手に持っていた漣(水鉄砲)を琴音に返す。

 あー琴音のだったのか、どうりで見た事のある形だ。自分のがないからって人の奪うなよ……


「というか、何でお前あそこで俺を庇ったんだよ」


 さっきの試合の事だ。まあ、庇ったおかげで楽が油断して勝てた訳だが、銃がもう一つある事は知らせてなかった。いつも通り一丁しか持っていなければ確実にやられていた場面だ。


「体が勝手に動いたとしか言いようがないわね」

「なんつう男前な台詞だよ……」


 かっこついてんなあ。


「まあ、お姉なら庇うと思っての作戦っすからね、まさか負けるとは思わなかったすけど」

「そ、結果勝ったんだからいいでしょ」

「いや!あたしは認めねえぞ!」


 楽だ。


「二丁なんて聞いてねえよー無効だ無効!今のなし!」


 駄々をこねる楽。負けず嫌いというよりこれはただ子供っぽいな……


「わかった、わかった、今のはなしにしよう。真白を加えた次の試合が本番にしよう」

「ホントか!」


 嬉しそうな楽。まあ勝ったからって何か貰えるわけでもない。


「じゃあ、もう一回するか」

「5人だからバトルロイヤルっすか?」

「そうだな、半分にならないからな」


 バトルロイヤルか……己以外が全員敵であり的であるこのバトル。立ち回りを考えながら動かなければいけない。

 積極的に攻撃をしかけなかくとも最後に残れば優勝するシステム。


「今度は絶対に勝つぜ!兄ちゃんの形見のこのハイドロガン4号でな!」


 形見って……兄ちゃんまだ死んでねえよ……


「負けないっすよ、私の水丸改は無敵っす」


 え、自分の武器を紹介していく流れなのか?


「無理ね、誰も私の漣からは逃げられないわ」


 そして、さっきから何で見ているこっちが恥ずかしくなるセリフばかりなんだ。


「6号が最強……」


 真白もノリノリだった。好きなんだな……


「ハイドロガン5号、俺を勝利に導いてくれ!」


「うざいわね」

「ださいっす」

「キモいぜ兄ちゃん」

「……ふっ」


 鼻で笑ったかこいつ!?何で全員、俺の時だけそんなに辛辣なんだよ……


「じゃあ、始めましょうか。12時のサイレンがスタートの合図にしましょ、どこにでも行っていいけどあまり遠くに行くのはなしね」


「次に会うときは敵同士だからな。それじゃあ……始め!」


 一斉にそれぞれの方向に駆け出す。


 夏の浜辺の水鉄砲バトルロイヤルが開始した。

今日はここまでです。

感想、誤字脱字がありましたらよろしくお願いします。

それではまた明日!

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