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服屋のお姉さん

 おっさんの店で昼飯を食べ終えたのでおっさんの店を出て当初の目的の買い物を始める。


 買い物だと言うことでおっさんはハンバーグの代金はいいと言ってくれてさらに1万円渡してくれると言うなんとも懐の広いところを見せてくれた。なんだか優しい叔父さんを絵に書いたような行為だった。

 まあ、本当に優しくはあるのだろうが。その代わりに今度、店が忙しい時に手伝いに来て欲しいとの事だ。そのくらいはお安い御用だ。


 おっさんに鍛えられたため料理のスキルもそれなりにあるため、今回に限らず、おっさんの店を手伝うこともあるので慣れたものだ。


「とりあえず何を買いに行こうか……」


 必要な物…………あ、そうか服だった。服が一式しかない真白に服を買うつもりだったんだった。

 思い出したので服屋にむかう。喫茶店からすぐだ。


「あらー幸一君!」

「こんにちは、お姉さん」


 元気な服屋のお姉さんの店だ。ここも行きつけの店だ。田舎の行きつけの店ともなると顔も覚えられてしまう。


「あらあら、幸一君!その子彼女?わー可愛らしいわねー」


 男女と二人で歩いてたらこの商店街ではカップルらしかった。いや、ただはやし立てられているだけか……


 琴音や鈴音とこの商店街にきても同じ事を言われているからなあ


「違うって」

「あら?でも服をプレゼントしにきたんじゃないの?」


 いや、その通りなんだけど……服屋のお姉さんにまで真白の説明はしなくてもいいだろう。


「そうですけど、そういうのではないですよ」

「そうなの?今は彼女でもない子にプレゼントするのね~私の若い時は……」


 しまった!お姉さんのそんなに遠くない昔話が始まってしまった。長いんだよな……しかし、無視するのも申し訳ない。


「おい、真白」

「?」


 お姉さんに気づかれないように小声で真白を呼ぶと真白は首を傾げてこっちをみた。


「好きな服を2,3着選んでこい」


 頷くと真白は服を選び始めた。


「でねーその木が……あら、ゆっくり選んでねー……でね、幸一君その木が実は……」

「ははは……」


 お姉さんの話に適当に相槌を打ちながらも話を聞く。本当に明るく元気なお姉さんだ。


 そして五分程すると


「こーいち」

「お、もう選び終わったのか?」


 意外と早かったな。女の子は服を選ぶのに時間がかかるものだと思っていたが、琴音なんかその例だが……ついでに鈴音はめちゃくちゃ早い、ジャージで外の掃除してるくらいだからなあ……


 まあ、そんな鈴音でも十分は掛かっていたと思うのだが、普通の人間と比べるのはおかしいのかもしれない。


 そう思って選んだ服を見ると


「…………え?」


 ここで、ものすごい前衛的なセンスとかだったら笑えただろうが、しかし、真白が選んだ服は何だか少し恐怖を覚えるほどだった。なぜなら


選んだ服が全て今着ているような白のワンピースだったからだ。


「え?本当にこれでいいのか?」

「いい」


 即答だった。


「こんな服もあるぞ?」

「いい」


 そこにあった可愛らしいTシャツを見せても即答だった。


「えっと……」

「いい」

「はい……」


 有無を言わせなかった。


「試着は?」

「終わった」

「早いな!」


 まあ同じ服だろうから一つ着ればいいだけか……


「あらー?もう決まっちゃたの?もっと幸一君と話したかったんだけど……」

「また今度きますよ。じゃあこれお会計お願いします」

「そう、楽しみにしてるわ。えーと、あらー?」

「どうしました?」

「このワンピース普通のワンピースじゃなくて水着だわ。間違えたのかしら?」

「え?水着ですか……」


 驚いて真白の方を見る。いつも通り無表情だ。

 …………。


「普通のワンピースに替えてもらっていいですか?」

「あらあら、やっぱり間違えたのね?よかったわ気づけて!」


 ちょっと待っててねと言って服を取りにいった。


 真白を見ると、いつも通り無表情だった。

 …………。


「はーい、お待たせじゃあ、合計で……」


 お姉さんは電卓を使って計算し始めた。


 真白をみない、多分、いつも通り無表情のはず

 ……………。


「ごめんお姉さん!やっぱろこの水着もください!」


 思わず買ってしまう。気のせいか真白から謎のプレッシャーを感じたからだ。


「あらそう?いいわね二人で海でもいくの?熱いわね!ヒューヒュウー!」

「だからそんなんじゃないですって……」


 はやし立て方が古い……ヒューヒュウーって……


「照れなくてもいいのに、じゃあお合計で……」


 お姉さんは金額を提示した。






 ……結論から言おう。

 お金が足りていなかった。

 水着が思ったよりも高かったのだ。比較的に安く服を売っている店だったがどうやら水着は例外だったらしい。


 おっさんからもらった一万円を出せばギリギリ足りるが他のものが買うことが出来なくなる。

 仕方がないので払えないから返品しようと思った時


「もしかしてたりない?」


 とお姉さんが小声で話してきた。真白に聞かれないようにだろうか。


「いいわよ。せっかくの彼女のプレゼントだもんねえ~今回は特別にその水着サービスするわ」

「いや、彼女じゃないですって、それに悪いからいいですよ」

「いいの、いいの、幸一君いつも私の話聞いてくれてるし、またお店に来てくれるならそれでいいわ」


 最後にお姉さんはウィンクして勝手に水着を袋に入れてしまった。

 ……今度からちゃんと話を聞いてあげよう。そう強く誓った。


「ありがとうございますお姉さん!また来ますね!」

「ん、またきてね~」


 優しい笑顔で手を振るお姉さんにお辞儀をして店をでる。店を出るとき真白もお姉さんに手を振り返していた。


しばらく店を出てしばらく歩いていると


「こーいち」


 真白から話し掛けてきた


「ん?どうした?」

「……ごめん」


 謝った……。さっきのことだろうか?……お姉さんバレてました!


「何の事だ?水着は俺が勝手に買っただけだろ?お前は悪くないよ」

「…………」


 真白は黙ったままだ。


 んー


「なあ、真白、明日海に行こう」


 俺の言葉に顔を上げる真白


「真白と一緒に海に行きたいと思ってたんだよ。だから、真白の水着をかったんだ。どう?真白さえよかったら一緒に行ってくれるか?」


 真白はコクコクと数回頷く。


「そうか。ありがと。じゃあ、せっかくだから、楽とか琴音と鈴音も呼んでみるか」


 真白はコクコクと頷く。同意のようだ。無口の割に人懐っこい奴だ。


 楽はちょうど部活が休みだったはずだ。誘えば喜んで来るだろう。

 琴音と鈴音は祭の準備で忙しいかもしれないが、まあ連絡を入れておくか。


「じゃあ、明日は皆で海だ!」


「おー」


 喜びの声が聞こえた。すごいフラットな声だったが。


 真白の返事のバリエーションが意外とたくさんあることに少し驚く。

 照れたり怒ったり落ち込んだり喜んだり、無表情でも真白は無感情ではなかった。少しずつだが何となく真白の感情が見えてきている気がした。


 他にも必要な買い物をしている時、真白は無表情でも今まで一番の嬉しそうにしているように見えた。


 その夜、買い物から帰り楽に海の話をすると「行く行く絶対に行くぜ!」と大騒ぎしていた。

 さらに、楽と真白が風呂に入っている間に琴音と鈴音もOKだと連絡がきた。


 これで全員が揃ったと思ったら何故かおっさんから定休日だから俺も行っていいかと連絡が入った。

 

 何で知ってんだよ……というか、おっさんが子供連中に混じろうとすんなよ……怖いから嫌だと言おうと思ったが、今日の事もあるし、バーべキューをしてくれるというので仕方がないから了承した。


 明日は賑やかな一日になりそうな気がした。


今週はここまでです!遅れて申し訳ないです。

本当に次からは気をつけます。

感想、誤字脱字がありましたらお願いします。

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