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第2話 とても長い時間
2047年-6月5日 SHIAN_SIDE
たった一日しか経過していないのに、慰霊碑が作られた。
某市の公園の中央に置かれている。双子の紫音の名前も掘られている。
紫杏は信じない、どこかで紫音が生きている事を信じる。
両親は慰霊碑に手を合わせている。両親も生きている事を信じていると言っていたが、泣きながら手を合わせ、片隅にもう"紫音"は居ないのだと思っている。
あの黒いドームが現れなければ、紫音はどうしていたのだろうか
2047年-6月6日
平日、紫杏は学校を休んだ。あんな事があって気軽に学校に行く気持ちは持ち合わせていない。
父は出勤、母は寝込んでいる。
あんな事があれば、誰だって気が滅入るに決まっている。
紫杏は再び、あの黒いドームを見に行った。
しかし、いつも見れていた距離で見れなくなっていた。
キープという文字が付いたテープが貼られている。
立ち入り禁止区域に指定されていた。紫音を見つける手がかりが欲しいと願っていた。
すると紫杏は何かに気づく。
何か、近づいて来る…。