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狼少年の怪異事変。  作者: 睡眠戦闘員
一章:狼男と妖狐
6/111

6.“最凶”のオオカミ少年

 



「あ」


 逃亡を図って爆走し続け、ロクはいつの間にか商店街まで来ていた。既にロクの後には鎌鼬(かまいたち)の姿は無く、上手く撒くことが出来たらしい。


 商店街は昨日とは打って変わって晴れているおかげで沢山の店が活気ある様子を見せていた。


 何故かロクはその場の人々から視線を集めていたが、ロク自身は全速力で人混みに突っ込んで来て急に立ち止まれば気にもされるかと、気にしていなかった。


『どうしたあ?』

「あの店に戻って腕輪返せばいいんだ……」


 ロクはポンと手を打ってひとりで納得した。朝からどうすればこの迷惑生命体を引き離せるかを頭を捻っていた成果が今出た。


 要するに返品である。


 不良品だったなど言えば返品くらい出来るだろう。それにあの謎店長は店にある商品は全て自作だと豪語していたし、腕輪の外し方も(これが呪いの類でなければ)わかるかもしれない。


「返品不可だったら消費者センターに訴えよう……」

『ボソボソ喋ってるから聞こえんけど、腕輪を外そうとしてんだったらもう無理だぞ』

「はぁ? 俺もうあんなの(敵っぽいの)出てきて限界だし、一刻も早く腕輪投げ捨てたいくらいなんだけど」


 イラつくロクに対抗するように腕輪が不機嫌そうに震えた。


『オレも離れたいのは共感してやるけどよ。まずあの時お前がちゃんと逃げてればこんな事には……』

「……分かったから、そろそろ解説をよこせ」


 ため息が聞こえてから、嫌々という声色でコンは話し出した。


『“妖力”、“魔力”ってわかるか?』

「妖怪の……エネルギー的な」

『まあ、そんなもんだな』


 コン曰く。


 妖力とは現世のゲームなどで言うところの『魔力』で、体力や生命力を変換したものである。これは、妖怪やモンスターだけでなくある程度の素質のある人間にも備わっているものらしい。勿論、ロクにも魔力はある。


 そのエネルギーで古来からモンスターたちは、術や化かしなどで人間を脅かしたりしてるわけだが……


 そして、このどうしても外せない腕輪は、その魔力を操る道具だという。腕輪は対になっていて、腕輪を通した者同士の魔力を強制的に共有させる機能を持っている。


 言ってしまえば、ロクの妖力はコンの魔力、コンの魔力はロクの妖力、とリンクされている状態なのだ。


「……つまり今俺の体にはお前の一部(妖力)が……」

『やめろ、それ以上言うな』


 もうひとつの機能で問題なのが、腕輪を付けた“人間”が死の危険に晒された場合──先程鎌鼬の攻撃を受けた瞬間──の防御のために、腕輪がコンの魔力を極限まで強制的に吸い取ると、それらをロクに送って肉体強化をするというものだ。ロクの体の感覚が軽いのもそのせいだったりする。


 先程からコンの姿が無いのは、力をほぼドレインされて体を保てなくなり、腕輪に身を宿して(取り憑いてる)いるからだ。


「それだけ聞くと、お前ちょっと弱いみたいだよな」

『敵国から狙われるくらいは強いから安心しろ』


 しかし、この『リンク』という物が曲者で、無理やり切る──腕輪を無理やり外す、破壊する、装着した片方が死亡する──と、そこから魔力が漏れ出すのだ。妖力は生命力を変換したものであるから、そんな物が流れ出したりしたら……


『死ぬ』

「え……えー、瀕死とかではなく」

『死ぬ』

「お前だけ」

『お前も、だ』


 しかもコンかロクのどちらでも大きな傷を負った時でも魔力はそこから流出していくらしい。下手に怪我もできない。


 つまり、現状は自力で腕輪を外せないということだ。ロクは近くにあった団子屋の軒先の長椅子にべタンと腰掛けた。


『マジだぜえ?』

「うるせぇ黙れ……」


 何となく察しはついていて危ない状況にはなるだろうと思っていたが、まさか自分の生死が関わってくるとはロクは思っていなかった。


 そこでふとロクは気づく。


「そういや力を吸い取ったってことは、お前の能力? が使えたり……」

『する。今はお前は俺の体を使ってるの同然だ。けど、あの鎌鼬が脅威じゃなくす……倒すかどうかしないとずっとこのままだぞ?』

「……それは嫌だ」


 幼い頃から人外とは関わらないポリシーのロクは、せめて一刻も早くコンとのフュージョンもどきを解きたい所だ。折角逃げ切ったが、鎌鼬を探して何とかするしか無いようだ。


 鎌鼬は力尽くにでもコンを連れ去りたいようだったし、この腕輪の鎖がある限り、コンに降りかかる面倒事の火の粉をロクがモロかぶりするループが発生する。そうなる前にまずは早々に鎌鼬を対処する必要があるのだ。


 ロクはここまで大人しく聞くのに徹していたが、すべて理解したわけでもなくコンを完全に信用した訳でもないが、する以外には今の現状選択肢は無いのだろうなとため息をついた。


「あぁーー! ロクくん!」


 突然、商店街の喧騒をも突き抜ける明るい声が上がり、ロクは抱え込んでいた頭を跳ねあげた。


「あ……コカだ」

『彼女かぁ? マセてんなクソガキ。オレなんぞ恋人いない歴=年れ』

「死ね違う」


 ふたりがくだらない言い合いをしている内にコカはトコトコとロクの元へ歩み寄って来た。


「ロクくんここに居たんだ! 用事はどうしたの?」

「あー……まだ途中、か?」


 途中と言うか、真っ最中というか。そもそも用事自体が半分嘘だったので、ロクはバレないように適当にあしらう事にした。


 それにしても、コカが居るという事は部活の時間が終わったということだ。ロクが学校から出てからもうそんなに時間が経ったのかとロク自身驚いていた。


「ふうん? あと、それで……さ」

「あ?」

「えっと、聞き辛いんだけど……」


 物事を余計な事までハッキリと言い切るコカにしては珍しく言い淀むと、チラチラとロクの上の空間あたりを見た。


「……何だよ」

「そ……その耳、どうしたの?」

「耳ぃ?」


 どんな大事でもあったのかと身構えていたロクは、予想外の角度からの質問に一気に気が抜けてしまった。


「はぁ……耳がどうし……」


 ロクは何となしに耳を──いや、耳がある筈の場所に触れ……言葉を失った。


「……!? ……!?」


 耳が無かったのだ。


 しかし、ロクには周囲の音は確かに聞こえている。どういう事だと耳があった場所をまさぐっていた状態のままロクはカチンと固まってしまった。


「あ、そっちの耳じゃなくてほら。頭の上の方の耳!」


 コカの不穏な言葉にロクはサァッと血の気が引き、顔が引き攣るのがわかった。


 勘弁してくれと内心で嘆きながら頭頂部辺りに触れると、何かが手に当たり、軽く押すとふにゃりと柔らかく曲がった。明らかに寝癖ではない。“それ”には触れた感覚があった。


「その……猫耳? いや犬? 狼? の耳はどうしたの? ……あれ。ロクくーん?」


 そう、ロクには知らない内に(というかフュージョンもどきになった時から)狼の耳が生えていたのである。耳だけではなく爪が鋭くなったり、ロクはまだ気づいていないが下半は狼の骨格に変形し、動物特有の体毛が生え揃っていた。


 まさにロクは「狼男」になり変わっていた。


 今も尚、不自然に人の目を集め続けていたのはこの猫耳ならぬ“狼耳”のせいだったのだ。


 スッ……とロクは無言で立ち上がると腕輪のついた左腕を今まで座っていた長椅子に置いて固定し、右手を振りかぶって思い切り腕輪を殴った。


『ぎゃぁああ! 揺れる揺れる!?』

「テメェええ!俺に何しやがった!」

『はぁ!? 守ってやったのに何だよ! 今はオレの体を使ってるの同然と言ったろ!? だったら化ける前の姿が反映されても可笑しくはないだろうが!』

「知るかァ! 守るだァ? 必死に逃げる俺を嘲笑ってて何言ってんだボケエエェェ!」


 大袈裟だと思うかもしれないがロクがキレるのもしょうがないことだ。知らぬ間に人間の耳が消え、何か動物の耳が生えていたのだ。普通の者なら「なんかついた」と驚くくらいだが、それがロクだったのなら話は変わる。


 まず、ロクは自分の外見には自虐的な思考を持っていた。……実際に怖がられたりした経験からの結果だが。


 毎晩のゲーム三昧による徹夜で作り上げられた隈が元々悪かった目付きを悪化させ、寝癖の付きやすい髪は手入れをされずにハネ放題になっている。オマケにアホ毛もぶっ飛んでいる。


 そんなだらしない容姿と最悪の目付き、そして少々キレやすいところから一時期はヤクザと影で呼ばれたことがある。


 せめて目付きだけでも隠そうと前髪を伸ばしたが、顔が暗くなって逆に怖いとミツキに指摘されてからは心が折れ、どうとでも呼ぶがいいと髪もそのままに保っている。


 想像してみて欲しい。そんな奴が萌え要素とも言われる獣耳を生やしているなどただ気持ち悪いだけだ……というのがロクの思考だ。


『アイツを倒せば元に戻んだからいいだろ? 気にすんな』

「え!? なに? これ誰の声!?」


 すっかり放置されていたコカが、姿の見えないコンの声に驚く。先程の叫び声から聞こえはしていたが姿が無いので商店街の別の場所から聞こえてくるものだと思っていたようだ。


「こいつか。まぁ、妖怪みたいなも……」


 そのワードを聞いた瞬間コカの目がギラッと輝いた。


「妖怪!?マジで!!なになに何の妖怪!?今腕輪が喋ってたよね!?てことは腕輪の付喪神とか!?飾り物の付喪神は久しぶりだよてかロクくん妖怪とかの霊感系と話すの久しぶりだよねいつもは話すまもなく除霊(物理)しちゃうのにロクくんにしては珍し」


 オカルトオタクのマシンガントークが炸裂し、急に早口で捲し立てたコカに対してか腕輪から『おおぅ……』と声が漏れていた。コカのただただ明るい一面しか知らない者はコレを見ると大体驚いて一歩引く。


 部員としてはいつもの事なので、特に驚くこともなくロクは真顔を貫いている。


「いや、狼とか言ってたぞ」

「狼か~妖怪には珍しいけど『真神』とか『大神』『送り犬』辺りかなそれとも私が知らない未知の妖怪だったりしてもし良ければお話聞かせてくださいもっと良ければ名前とサインを頂戴したいですあともしですけどぬらりひょんが知り合いにいるのならは紹介して下さい私ぬらりひょんの大ファンでしてホンッッットにサインがほし」

『……凄まじいなコイツ』

「いつもこんなんだよ」


 ビュオオオオウゥゥウ!!


「きゃ!?」

「あ、やべぇ忘れてた……」


 その時、既視感のある突風が商店街を突き抜けた。同時に店の外に出ていた品物らがいくつも風に煽られて飛んで行き、所々で悲鳴が上がる。


「ミィツゥケェタァァァアア!!」


 振り向くとやはり暫く存在を忘れられていたあの鎌鼬がいた。商店街の建物の上にからロク達を見下ろして怒声を上げている。


 肩を激しく上下させていて余程必死にロク達を探したらしい。気味悪い程に緩んでいた頬はピクピク引き攣り、心なしか着ている外套もツヤが減っている気がする。


「キミらが逃げルから上の人にスッゴイ怒らレタんだケド!」

「それ完全に逆ギレ……」


 鎌鼬は余程上の人とやらに怒られるのが嫌だったらしいく、今にも手当たり次第に持ち前の鎌で滅多切りにしてしまいそうだ。


「あれ……もしかして鎌鼬!?」

「わかるのか」

「うん! なんか……勘でわかる!」

「勘かよ」


 一発で鎌鼬の正体を見抜く恐るべしオカルトオタク本能。ロクは改めてコカの妖怪への情熱を再確認した。


『ほら、アイツまた放置されて頭に来てんぞ。さっさと戦ってやれよ。ほれ行ってこい』

「凄い! ロクくん戦えるの!? というか今何がどうなってるの!?」

「無茶言うな。今突っ込んだら秒で真っ二つだぞ!」


 一応、ロクは『備えあれば憂いなし』思考の親から戦闘の心得を叩き込まれているが、鎌鼬は教えこまれた人間相手の戦闘とは違い、遠距離から簡単に攻撃を仕掛けてくる予測不能の人外。対して武器なしの素手でロクがかなうわけがない。確実に殺される。


『術でも使えばいいだろ。火の玉でも打っときゃ当たんじゃねえの?』

「知るかァ! こっちは立派な人間なもんで、テメェらみたいなチート技は使えねぇんだよ!」

「うわ、ちょっとロクくん!?」

「マタか! 逃げるナ!」


 話が通じない腕輪相手にロクは我慢の限界に達し、絶対にこんな腕輪捨ててやると胸に誓い、コカを近くの店内に押し込むと商店街から出るために走り出した。


 今度は逃がさぬと鎌鼬も後を追って来て、容赦無く金属音を立てながらついに“風爪”で妨害を仕掛けてきた。近くの地面が自分スレスレに次々に抉れていくのを見ながら走るロクは生きた心地がしない。


『おい何逃げてんだ!さっき自分で言ってたろ、今はオレと同じことが出来るんだよ!』

「同じって……」


 同じこと──魔力を使用した術を使える。ロクが鎌鼬が放つ風の刃を思い出すと、腕輪から小馬鹿にしたような笑いが漏れた。


『あんなショボイやつじゃあない……いいか、妖術に必要なのはイメージだ。集中して手から火の玉を撃つ。それが出来れば後は体が勝手に動く。……な?』


 そう説明する声はやはり適当でやはり信用し難く、ロクは怪訝そうな表情をする。しかし選択の余地は無い。もうやるしか無いのだ。


 ロクは走るのを止めてクルリと方向転換し、ズザッと靴を鳴らして鎌鼬の方へ向き直った。周囲は丁度空き地になっていて人の気配がない。


 わざと距離を保ってロクをいたぶるようないやらしい攻撃をしていて、上司の怒りの恨み丸わかりの鎌鼬もそれを見て足を止めた。


「やット諦メてクレタか! 助カルなァ!!」


 皮肉混じりの声を無視して、ロクは手のひらを前へかざすように突き出すと目を瞑る。同時にスッ……と聞こえなくなっていく周囲の音。恐らくこの集中力も強化の効果なのだろう。意識と外の世界と完全に遮断されたようだ。


 ──手のひらに火の玉が発生し、それが弾けるようにして鎌鼬へ飛んでいく──


 イメージを完成させた瞬間、目の奥がチリッと熱く感じたかと思うと、気づけば口が言葉を紡いでいた。


「──“豪炎球(ごうえんきゅう)”」


 ──刹那、手のひらどころではなくロクは全身に凄まじい熱気を感じ、思わず目を剥いた。


「あっづっ!?」


 そこにはロクの身長の半分の直径はありそうな大きな火の玉……否、炎の玉が突き出した手のひらの前で蠢いていた。


「ナッ!? ……くッ、アツ、!」


 ロクの耳に鎌鼬の驚きの混じった怯む声が聞こえてきた。


 それにしてもデカ過ぎるだろう。それを作り出した本人が思わず怯んでしまうほどだった。ロクがイメージしたのは手のひらより少し大きいぐらいのはずだったが……


「グッ……もう無理!!」


 皮膚の油すら持って行かれそうな灼熱の炎に耐えられなくなったロクが後ろに仰け反ると、同時にドウッ! という衝撃波を残して炎が鎌鼬の元へ一直線に突進した。


「ちょッ!? チョット待っ……」


 激しく燃え盛りながら迫る炎に、鎌鼬はもう避けることは出来ないと諦めるか……と思いきや、素早い判断で炎に向かって手をかざした。


「ゲ、“激流”!」


 炎が命中する寸前、鎌鼬の周りの空間が歪んだかと思うと、そこから大量の水が滝のように吹き出して炎を飲み込む。


 しかし、消火が間に合わなかった部分が弾け、拳代の大きさになった無数の火の玉が鎌鼬を襲う。


「グゥ……ッ! アツィ……」


 吹き飛びそうになるのを足を踏ん張って堪えるが、既に鎌鼬の纏っていた外套は下の服が露出するほどに焦げて使い物にならなくなっていた。


「マジ、か……エクスプロージョンなみにめっちゃ燃えたな」

『……爆発魔法じゃ無いはずなんだが』


 炎の発生源であるロクは確かにその手から炎を、放った。しかし、心のどこかでは本当に出来るとは思っていなかったロクは声をこぼした。


『お前、アレはデカ過ぎだろ。ちゃんと制御すりゃ、もっとスピード出て一撃だったのによー』

「うるせぇ、こっちはガチの初心者だ」

『まあ、初めてにしては良いだろうな』


 また腕輪からケタケタと笑い声が聞こえてきて、ロクはまた殴ってやろうかと腕輪を見た。


『あ、バカッ』


 焦ったような声に頭にハテナを浮かべてふと顔を上げると、鎌鼬が体制を立て直し、既に攻撃を放った直後だった。


 気づいた時にはロクの体はくの字に折れ曲がり、後方へ吹き飛んでいた。数メートル宙を滑らされた後、そのまま背中から地面に叩きつけられ全身を打った。


「グッ……あがっ……!」


 すぐに身を起こそうとするも、全身が鈍い痛みに包まれ、腹部に走った全身とはまた別の痛みに、ロクは顔を歪ませた。


 重い腕を持ち上げて自身の腹部に触れると、生暖かくヌルヌルとして気持ちの悪い感触がした。触れた手を見れば、やはり出血した血液だった。


 ロクの体は左脇腹から横一文字に切り裂かれていた。鎌鼬の風の刃がモロに当たってしまったのである。体を吹き飛ばすほどの衝撃で、幸い内蔵まで傷が届いていないのは刃が本当になまくらだったせいなのか、それとも鎌鼬がわざと加減をしたのか。


 しかもよく見ると傷口からユラユラとした何か──魔力が流出している。


 致命的な傷を負うと魔力はそこから流出するという数十分前のコンの言葉をロクは思い出した。


「な……なんじゃこりゃぁ……!」

『言いたいだけだろ。なに、腹裂かれてんのに案外余裕なの? お前』


 瀕死の状態で出した声は掠れていて、地面に叩きつけられた強い衝撃のせいでうまく呼吸ができていない。


「ハァ、ハァ……ヤ、やっトくたバッタね……」

『うわ、絶対殺すマン来た。おい早く立て! お前がくたばるとオレが負けたみたいになるだろ!』


 罵倒されながら立ち上がろうとするが、出血が酷くなり、目の前が暗くなってきてうまく力が入らない。


「アハハッ、魔力ガ足りナイでショ? 大丈夫、殺しは

 シナイ。サッキ上の人カラふたりの回収が命令されタカラね……」


 鎌鼬は若干興奮で息を切らしてボロボロになりながら不気味な笑いをこぼした。その笑みには、ようやく自分の私怨(上に怒られた)を晴らせた感喜と自信が混じっている。


 コンを捕らえるために、鎌鼬はゆっくりと動けなくなったロクへ歩み寄ってくる。


 ──ここで鎌鼬が慢心せず周囲の異変に気づいていれば失敗ではなかった……否、満身創痍で済んでいたかもしれない。


 鎌鼬は気づいていなかった。コンとロク。このふたりが揃う意味を、その最悪さを。


 自然の風が静寂の満ちる空き地に吹き抜ける。木々がざわつき鳥や野良犬が逃げていく。何故か突然、不気味に空気が澄んだ(・・・)


「さァ、一緒にボスさんのトコロへ行──」


 ガシイッ!


「ヒィッ!?」


 突如、動けなくなったはずのロクの手が、死にかけたゾンビの如く鎌鼬の足に飛び掛ってがっしり掴んだ。その表情は長い前髪に隠れていて読み取ることが出来ない。


 あまりのおぞましさに鎌鼬は喉を絞り上げたような情けない声が出てしまった。


 その声を聞いてか、ロクの肩が小刻みに揺れ始める。


「クククッ、復活成功ォ……やっぱ腕輪の中は狭いんだよなあー!?」


 そう言いながらロクが顔を上げると、その黒髪が白く変色していく。ようやく見えた顔は確かにロクのそれだったが、気だるげに真顔を保っていたはずの表情は口がパックリ裂けたような笑いを貼り付け、髪ともに白くなった狼耳はピンと伸び、金色に輝く双眸は爛々と輝いて鎌鼬を見据えていた。


 それはロクのようで、まるで違う何か。


「ナ……! こ、コン!?」


 そう、今鎌鼬の目の前にいるのは、ロクに取り憑いた(・・・・・)コンなのだ。


「おお、バカマイタチでもやっぱ分かるよな? そうだ、コンさんだよ。“取り憑き”ってのは本当に便利だよなぁ!」

「馬鹿ナ! 腕輪の制限で妖術は使えないハズ……グァアッ! イ゛ダイ゛イ゛ダイ!!」


 地面に這いつくばりながら馬鹿にしてくるコンに、鎌鼬が目を剥いて驚いていると、足を掴んでいる手に更に力が入って爪を食い込ませてきた。


 苦痛の声を上げる鎌鼬を無視してコンは更に力を入れ続ける。凄まじい握力は足首の骨をいとも簡単に砕き、深く爪を食い込ませて、強引にその骨肉を抉りとった。


「ガァァア゛ア゛!! ヤメロ゛!! ハナセェェエ゛エ゛!!!」


 呂律が回らない程の絶叫をあげ、鎌鼬はコンを蹴り飛ばして振り払う。しかし、それだけでは甘かった。


 手を振り払われたコンは一瞬で立ち上がると、目に止まらぬ早さで鎌鼬の両腕に飛びついて、同様に骨を砕き肉を抉る、抉る、抉る。びちゃりと音を立てて飛び散った血が路面に落ちた。


「グガァァア゛ア゛ア゛ア゛!!!!」


 凄惨なやり口に痛みと伴って、目の前の人物の正体がおぞましい物に見え、鎌鼬の思考が数瞬の間恐怖で埋め尽くされた。


 渾身の力で鎌鼬はコンを振り払う──と、急に身体の力が一気に抜けて膝がカクンと折れた。膝を付いて全身が倒れそうになるのを堪える。


「ッゥ……!?」


 鎌鼬は、コンが今度は振り払われるままに地面を転がっていくのを見て唇を噛んだ。


 一気に形勢逆転された事実と、満身創痍の自分の哀れさに頭が混乱しそうになる。これでも鎌鼬はその世界では仕事は完璧にこなしてきた『プロ』である。そのプライドか傷つけられたことで、身を焼かれるような感覚が屈辱が鎌鼬を襲う。


 しかし、同時にそのプライドで何とか心を冷静に保とうとする。


 そこでようやく気づいた。自身の魔力が底をつきかけていることに。


 大きな妖術を使ったわけでもないこの状況で、この減り方は尋常ではなかった。確かに三ヶ所の失血とともに妖力も流出しているが、それにしても妖力の減るスピードが早すぎる。


 そこでユラリと立ち上がったコンを見て、鎌鼬は絶句した。深く斬られた筈の“ロク”の腹の傷口からの出血が既に止まっていたのだ。傷口までくっついて治りかけている。


 鎌鼬はようやく事態を把握した。そして、このふたり(・・・)を見くびって、まともに相手をした事を初めて後悔した。


「形勢ぎゃくてーんだな! やっぱ遠距離系使うやつは物理に滅法弱いな。あんなぎゃあぎゃあ声上げて……すぐに回復もしないし? お前、ホントにオレのこと捕まえる気だったのか?」


 高笑いをするコンに対して、鎌鼬はふつふつと湧く怒りが抑えきれなくなってくる。


「……こレ、ハ。オマエの“妖力吸収”の能力ト……コドモの有リ得なイ魔力貯蔵の才能……!」

「へえ……察したか」


 実は、ロクが腹を斬られた時確かに魔力は流出していたが、その時に動けなくなったのは実は魔力不足が原因ではなかった。


 自身は気づいていないが、ロクは一般人では有り得ないスタミナ──要は化け物といえる程の魔力を保持していた。


 魔力とは身体の大きさや年齢に比例せず、鍛錬次第で体力と同時に上がるものだが、ロクはほぼ何もしない状態で生まれつき常人の何十倍も高い魔力を持っていた。


 鎌鼬は出会った時からその事には気づいていて、ロクを排除した後でちゃっかり魔力を頂くつもりだった。


 なので、ロクが斬られた時動けなかったのは一度に大量の魔力が流出し、同時に出血した事による“目眩”の酷くなったような症状のせいだった。大量と言っても魔力全体の十分の一ほどだったが。


 しかし、斬られた直後の事だ。目眩で動けないロクの視界の端に、ロクが死ぬほど嫌いで苦手で拒絶しているものが過ぎった。途端にロクは声を上げると間もなく気絶した。


 その間にも鎌鼬はロクに刻一刻と迫ってくる。コンは狭い腕輪から脱出するチャンスとばかりに、使用出来る術を駆使して二度目の脱出を果たし、十八番の“取り憑き”を使ってロクの身体乗っ取ったのだ。


 本来は封印されている上、魔力を全てロクに受け渡した状態で腕輪の中から術を使うことは不可能だが、コンは才能だけでその常識を破った。


 鎌鼬が見抜いたコンのもうひとつの才能、“妖力吸収”の能力で、周りに漂うロクから流出した魔力を吸収。術を最大限に駆使し、封印をぶち破った。


 ここからは妖力、魔力を使い放題のロクの身体のおかげで簡単だ。


 鎌鼬が攻撃が出来ないよう腕を狙い、ダメージを与えながら、腕輪に戻ったとしてもすぐに自分を保てる分の魔力を根こそぎ奪っていったのだ。


 殆どコンが戦っている(ロクは気絶してるし)が、ロクの化け物並みの魔力の才能が無ければできない事だったと、口には出さずコンは思っている。


 もし斬られた時にロクの妖力が枯渇していたら、コンが取り憑いた時点で魔力切れになって、腕輪のリンクが切れてふたりで共倒れしていたかもしれない。


「てか、お前の魔力少なくねえか? そんなんでよく戦えたな。まあオレは充分身体は保てるくらいには潤わせて貰ったが。」

「ハァ、ハァ……コロス!!!」


 鎌鼬は息切れしながら簡単に挑発に乗り、怒声を上げて回復して動かせるようになった身体を何とか持ち上げた。


「まだ戦うのかよ。もう久しぶりに体動かして疲れたし」

「ウルサイ! 今度コソ……!」

「いや、でもオレはもう狭くても腕輪の中で休むから、お前の相手はオレじゃないぜ。じゃあな、生きてたらまた殴ってやるよ!」

「まテ!!」


 鎌鼬の制止は叶わず、突然コンの頭がガクンと力が抜けて項垂れた。数秒後、その頭がゆっくりと上がり始めると同時に、白くなっていた癖だらけの髪にインクがにじむように色が戻っていく。


「えぇぇ……やるなら最後までお前がやれよ……」


 開かれた瞳の色も元に戻っている。コンが腕輪に戻り、身体の元の主が戻ったのだ。


 気絶したロクはコンに憑かれた後、すぐに気を取り戻した。身体はコンに操られていたので金縛りのような感覚だったが、ハッキリとコンが自身の体で戸惑いなく鎌鼬へ攻撃していく様子もわかっていた。


 もう何もしなくて大丈夫だろう思い、やっちまえと観戦者気分で見守っていたが、後少しという所で自分に選手交代が回ってきてロクは非常に焦っている。


「アイツめっちゃ睨んでくるし……」

『ふぁあああ……』


 ボロボロになってるとはいえ、鎌鼬は自分を戸惑いなくボコボコにした上、疲れたという理由で自分に興味を失くしたコンに明らかな殺意を抱いて、殺す宣言までした。


 絶対にロクを倒して再びコンを引きずり出すつもりだろうが、今の魔力残量では、残り一撃が限界というほどに鎌鼬は弱っている。コンはそれをわかった上で、ロクがどう動くのか面白がって腕輪の中から観察する事にしたのだ。


「コンヲ出セ!!」

「いや俺は……おいコン」

『死んだら殺す♪』

「畜生、後で絶対捨ててやるからな!」


 嫌々ながらロクは全身で構えた。


 先程のやり取りで鎌鼬が物理攻撃が弱点なのはわかっている。鎌鼬が腕を負傷し、術を放てたとしても残り一撃程しか放つ事は出来ない今ならロクでも得意の対人格闘で鎌鼬の相手になる。


「来い、最後の止め刺してやる!」


 グルアアアアアアア!!


 鎌鼬は片足の骨肉が砕けているとは思えない素早さで獣の唸り声を上げ、鮮血を撒き散らしながらロクへ突進した。


 ロクのすぐ目の前まで肉迫し、極限まで力を振り絞った妖術を繰り出した。


「“竜風(たっぷう)”!!!」


 刹那、周囲に銀に光る竜巻が複数発生すると、一斉にロクを襲う。しかし、ロクは竜巻に巻き込まれる寸前、重さを感じさせないバク転で僅かな距離を取る。


「逃げラれルト思ウナ!」

「逃げてねぇよ」


 はためいた制服の端が竜巻に触れて切り刻まれたのを見てロクは生きた心地がしないが、それでも恐れることはせず鎌鼬を見据えた。


 距離を取ったことに憤慨する鎌鼬は気づいていない。ロクが見ているのは鎌鼬だけでなく、その直線上にある空間。距離をとったのは逃げる為ではなく、鎌鼬に迫るため(・・・・・・・)


 ロクの視界全てがスローになる。ほんの数分前は自身の命の危険のせいでスロー世界を体験することになったが、今度はロクが鎌鼬の首に鎌をかける番だ。


 複数の竜巻が先程までロクがいた場所へ突っ込んで行き、そして──交差(・・)した。


 その瞬間ロクはバク転の着地と同時に地面を蹴った。竜巻の壁に一瞬の道が現れ、ロクは鎌鼬へ一直線に肉迫した。その拍子に肩あたりが切り刻まれたが、気にする事はない。


 鎌鼬の憤怒に染まった顔が、切り札を破られた事で屈辱の感情で染まり、微かに残った体力で逃走を試みるが、すぐそこに迫ったロクに体重を掛けて足を踏まれとうとう逃げられなくなる。


「テメェこそッ……」


 ロクは拳に力を込め、肩を引いた。


「逃がすかァァッ!!」

「ッ───!!」


 ズガキョッッ!!

 ドオオオオオンッ!!


 ロクの拳は鎌鼬の顔面にメリ込み、鳴ってはいけない音を鳴らしながら鎌鼬をコンクリートの地面に叩きつけた。


「……きゅ……ガ………ガクッ」


 頭からボシュウと煙を上げて倒れ伏した鎌鼬は奇妙な呻き声をあげた後、意識を深い闇へ堕とした。


 ほんの一瞬、場に静寂が降りてきた。


「……やったか」

『プグッ……くふぁハハハ! 顔面すげぇ大変なwwwこと、に……ブファwwwwww』


 ロクがポツリと言葉を零すと、こらえ切れなくなったように腕輪から大音量で無残な鎌鼬への草を生やしまくる声が響いた。


 確かにそれはもう鎌鼬は目も当てられない滑稽な姿になり果てているが、そこまで笑えるか? とロクは引き気味に腕輪をジト目で見た。


 すると腕輪に嵌められた天然石のひとつがフッと光ったと思うと、ロクの隣でボフンと小さな爆発が起き、煙の中から人型に戻ったコンが、笑いで肩をビクビク痙攣させて苦しそうにしながら現れた。


「ふ、ふふ……あ、やっと出れたか! ふぅ、やっとひと段落ついたな」


 笑いが落ち着いたコンは、まだ整理が追いついていないロクの頭にちらりと目をやって溜息をついた。


「ちゃんとオレの力も戻ってるみたいだし」

「力……あ、俺の耳!」


 コンの言葉でその事を思い出しガバッと頭をまさぐると、頭頂部にあった狼耳は消えていて、いつも通りの人の耳に戻っていた。その他の骨格も狼化が解け、すっかり完全な人間の姿だ。


「あぁ、愛しのmy耳!」

「……キモい」


 ロクのずれた喜びにコンはジト目を向けるが、お前も人の事を言えないとツッコミを入れる者はいなかった。


 ……いや、入れられる(・・・・・)者がいないという方が正しいか。


 ボワンッ


「うおっ」


 突然、放置されていた鎌鼬の体か煙に包まれて急速に縮むと、丸く紫がかった半透明の宝石のような拳大の塊になってしまった。


「なんじゃこりゃ」

「ん……なんだ、鎌鼬のやつ死んで無かったのか」


 コンクリートにメリ込むパンチを受けてもう既にくたばったものだとロクは思っていたが、コン曰く、ギリギリの瀕死状態だったようだ。


 コンは鎌鼬の(かたまり)(?)を拾い上げると、ロクに見せびらかすように持って見せた。


「これは妖怪の“依代”だ……妖怪を瀕死状態のまま放置しとくと身体が保てなくなってこんな感じの塊になんだ。ほぼ妖怪の魂みたいなもんで、そのまま(こん)って言ったりする」


 そう説明するとポイッとロクへ鎌鼬の魂を放って渡した。上手く受け取ってロクがその塊を覗くように見るとその中で煙のような物がユラユラと動いているのが見える。


「……これ、また鎌鼬に戻ったりは……」

「いや、こっちから魂に妖力を注がない限りその瀕死状態のままだ。勝手に戻ることはほぼ無いな」


 それを聞いてロクはホッと息をついた。もしたった今復活して鎌鼬が襲いかかってくるなど勘弁して欲しかった。


「記念に持っておけよ。最初の妖怪捕獲記念ってことで。最近現世で流行ってんだろ? 猫の妖怪とフレンドリーになるやつ」

「…………」




 - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -




 その後、ふたりは腕輪を何とかするために商店街の例の飾り屋に訪れていた。


 しかし、ロクは湧き上がる負の感情を発散するように店のカウンターに腕を叩きつけていた。


「ふ、フハハ……俺にこんな不良品を掴ませておきながら逃げるとはいい度胸……」


 そこまで遡ることもなく約数十秒前。『closed』の札が掛かるドアを問答無用で蹴破ったロクは言葉を失った。


 驚く事に、店内の商品の並んだ棚も、壁やカウンターに設置されていたロウソクすら跡形も無く消え去り、飾り屋は完璧なもぬけの殻となっていた。


「予感はしてたんだよな……俺の思うように事が進むわけないんだよな……どうせあの店長も人外なんだろ……」


 机に突っ伏して嘆くロクを哀れだと思いながら、コンは空っぽの店内をキョロキョロと物色する。


「何だよこのボロ屋は?」

「腕輪を貰った店だよ……返品狙って来てみりゃ、店長どころか商品すらねぇ……」

「貰った? 腕輪はこの店にあったのか?」

「そうだよ……なんだ、知らなかったのか」

「あぁ、お前の家出一度外に出るまでは腕輪の中からじゃうっすら周りの気配がわかるくらいだったからな」


 一度目の封印破りまでコンは自分の居場所が分かっていなかったらしい。


「あ、おいこれ」


 コンは埃だらけの店内を歩き回り、カウンターの裏に回った時、何かを見つけてロクに見るよう促した。


「なんだ……よ」


 そこにはぺたりとテープで貼り付けられた一枚の紙が。紙には手書きと思われる字でこう書いてあった。


『アホ毛とクマがある猫好きな少年へ


 多分この店に戻ってくると思うからこれを残します


 腕輪を返したい気持ちはよ〜く分かるけど、その子は我慢して腕輪をお願いします☆


 キミならなんとかなるわ!!


 追伸

 しばらく遠くへ出張するので、私を探しても無駄です。

 ぜひぜひ強くなってくださ〜い! じゃあ頑張って♪


 てんちょ~より 』


「死ねやァアアアッ!!!」


 鎌鼬並に憤慨したロクは手紙をビリビリに破いて床に叩きつけた。


「確信犯か! 畜生、コイツがいるってわかってて何も言わなかったなアイツ!」

「お前猫好きなの? その外見で?」


 こうして“最凶”の運を持った少年、ロクの腕輪を返してコンと離れられるという期待は呆気なく破られてしまったのだった。





読んで下さり有難うございます。

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