ここは…?
「ここは何処…?」
目を開けて数分間で不思議な感覚を沢山浴びせられる。
白板?調節人??なにそれ??
沢山練りました。たぶん自信作?…とか言いながら後で見返すと修正部分いっぱいありますよね…。
ガールズラブはすんごくやんわりとしたものです。ドゾ。
「…。」
目が覚めると、ある空間に浮いていた。
(ここは、どこ…?)
辺りを見回した。周りには何かおおきな空洞の中に入れられている(ような感じ)がする。内側は空のような青色をしていて先を見ると、白い光が絶え間なく光り続けている。その光は、何か温かいような寒いような温度を感じた。耳を澄ますと、微かに波の音が聞こえる。目を閉じてみると、目の前に砂浜が広がっているようだった。何故か聞き飽きず、その音を聞きながらじーっとしていた。
…
何分経ったんだろう…。いや、もしかして何十分?何時間?
そのくらい長く感じていた。
ピコン――――――…
!?
油断していた自分の心は、いきなり聞こえた明るい電子音によって警戒心に変えられた。
(何の音?)
聞こえたというか、体全体に響いてくる感じ。
パッと目を開けると目の前には、
『あなたはこの世界の調節人です!まずはこの世界の設定を決めて下さい。』
と、書いてあるパネルのような発光板が自分と同じように浮いている。そして、その文章の下に【進む】 と、書かれたボタンのような物がある。
(コントローラー…?なんだそれ…?ゲームか何かの事?設定?ていうか、選択肢無いし…)
書いてある全てが分からなかった。そして、無い【戻る(現実に)】を押したかった。混乱したところで多分、この事態は切り抜けられない。そう確信して右手の人差し指をゆっくりと差し出した。そしてその伸びた指は、【進む】のボタンへと伸び…何か板に触った感触がした。
ドンッ!―――――――
「へ…?」
何か背中に勢いよく当たった感じがした。すると、その反動で身体が凄い速さで進む。
「え?ちょっ何コレ!?ええ???」
突然の事に混乱し、体をジタバタさせる。さっきのパネルのようなものが手元にいっぱい出てきたが気にせず、手をジタバタ。何回か板に触った感触がするが、気にするどころじゃない。
「うわああああぁぁぁあああ!!!」
バタバタしているうちに、広大な青色のトンネルを抜けた。
「うっ…」
いきなり差した輝く光に、思わず目を瞑る。目が慣れたであろう時に、ゆっくりと目を開ける。
「わっ…」
いきなり現れた大きな海に浮かんだ大きな島に驚き、声が漏れる。しかも、その島の遥か上空に自分は浮いていた。体がふわふわと浮き、服がバタバタ揺れている。そして、目の前にはやはり見慣れないパネルが浮いていた。
「また…。なになに…?」
そこには
『改めて…初めまして!私はこの島のガイドです!詳しい説明は《第一の世界:リリーフシティ》でいたしますので、私の説明を聞いた後で早速、調節人としてこの島のバグを(その他モロモロ…)治してもらいたいと思います!でわでわ!よろしくお願いします!!』
と書いてあった。そして、その下には二度目にお目にかかる、
【進む】
と。
「…は?」
(選択肢の少なさには慣れてきた。…けど、誰だ…?いきなりガイドとか言ってきて…。何…?バグ?{んでモロモロて…。}治す…?それであなたか…。調節人とか言ってた人は…)
少し溜め息を吐きながら、指を【進む】のボタンへと伸ばし、板に触った感触がした。
(まだまだ情報が少なすぎて半信半疑だけど…)
そして、ポコンとどことなく可愛い音がして、目の前に4つのパネルが現れた。またそれにも驚き、どうしても慣れないパネルを見た。
「今度は説明が付いてないな…。…ん?」
多分、これらはボタンなんだろう。手前に少し突き出ている。そして自分の真横にまたピコンと音がした。見てみると
『その四つのボタンは、今からあなたが行く行き先になってますっ!どれでもいいので押してくださいっ!!』
小さく口に出して読み終えてから、溜め息と一緒に呆れの言葉を漏らした。
「はぁあ?今更説明来たと思えば…行き先?いったいどこに行けばいいんだよ…って、ん?」
見てみると、左上のボタンには巾着とその隣にコインのようなシルエットがあり、その右のボタンには看板らしきもののシルエットがあり、左下のシルエットは工具用品のような物で、右下のシルエットは竜のような格好いいシルエットが描かれてあった。
「…」
(さて…)
「どれを押そう?」
(正確には、どれが当たり(自分にとって)なんだろう?ということかな…。パッと見、違いが無いように見えるけど…)
「んー…とっ」
ため息混じりに言う。じっくりとすべてのボタンを見渡し、じっくり考えていた。
(試しに一つ押してみようか…)
「……よしっ」
ゆっくりと手を伸ばし、なんとなく目についた左上のボタンを押してみる。
「うわっ!?」
まただ。後ろからドンッ!っていきなり押され、その拍子に身体がすごいスピードで島に近づいていく。
「うわあぁあああぁぁああああぁぁぁああああ!!!あ…?」
何か変だ…。凄いスピードってことは分かる。だって景色がどんどん変わっていくから。でも、風を感じない。こんなにスピードが出ているのに、髪の毛一本たなびかない。
「ふぇ…?」
クシャ…と髪の毛を掻き上げる。体は相変わらずフワフワ浮かんでいる。
「どうゆうこと…?」
キョロキョロしてると
―――ピーーーーー!
―――ビクッ!
―――ガッ!
「いってぇぇえ!」
いきなり聞こえた音にビックリして、自分の足の爪で自分の足のふくらはぎを引っ掻いてしまった。
「血出てる…。靴下履いてるのに…」
傷口を覗くと、少し血が滲んでいた。
(んで、さっきのP音は何だ?)
そう思いながら、音が聞こえた方を見る。
「何コレ…?」
目の前には『危険です!ブレーキをかけて下さい!このままだと海に沈んでしまいます!』とパネルが…
「えええぇぇぇえええええええええええええ!?どどどどーやって!?ぶぶブレーキ!?海!?沈む!?」
突然知らされた事実にテンパる自分。
(ブレーキってどうやるんだ!?海ってどういうことだよ!?沈むのか!?あの人なら居るんじゃないのか!?)
「ちょおい!誰か!さっきのガイドさん!!居ないの!?ねえ!!」
(あんだけタイミングよくパネル浮かべられたんだから、居てくれたりしてほしかった…)
どうしていいか分からず、冷静になりいつ海が現れるかと、前をじーっと見つめていると。
「…ぉわっ!」
突然、青い海(に見える)が目の前に現れた。
自分は海の中に……
「え…?」
(入った…のか…?)
――――――――――――――――――――world1――――――――――――――――――――――――
「な……何コレ…?」
目の前には…上は青い空、目の前にはわらわらと賑わう何やら何か重たそうな飾りを付けた人々。たくさんの屋台。
「熱い…」
そして、溶けてしまうほど自分の身体に、日の光が差していた。
(…なんだ?)
やけに人の視線を感じる。
熱さと視線から逃れる為に、建物の屋根に入ろうとやけに自分から避けられていく人混みをかき分けて進むと、カウンターに立っていた一人の女の人が自分の顔を見るや否や顔をパァーっと明るくさせて、
「あなたですね!!…えーっと……と、とにかく来てください!!」
と、来い来いと手を招きながら、大声で話しかけてきた。少し動揺して後ろを向き、前に顔を向けてから《自分?》と言う顔をして、人差し指で自分を指差した。女の人はうんうんと招く手を速める。
「何ですか?」
そう言いながら女の人の元へ向かう。真ん前まで来ると、女の人は「あ…えーっと…」と、少し話しづらそうにしている。
「と、とにかく!コチラへっ!」
女の人はやっと出た一言と同時に、いきなりガタっと立ち上がり、左手を奥に指す。
「はい…」
とりあえず、言われるがままにカウンターを越え、奥へと進む。
パチリと瞬きをする。
すると、目の前の景色が一瞬にして変わっていた。
「……」
呆然と立ち尽くす自分。目の前は、いかにも事務室という場所だった。事務に使う机、事務に使う椅子、事務に使うスタンドライト、ノートパソコン。全てがサラリーマンが使っているような物が一つだけ。ポツンと部屋のど真ん中にあった。
後ろにある扉から慌てているような足音がする。反射的に振り向き、後ずさる。
!?
衝突音と共に何かが崩れていく音、女の人の悲鳴が一度に聞こえた。
(きっとあの女の人だ、助けに行かないと!)
ガチャッ――
「大丈夫でs」
「きゃあっ!」
ドンッ!―――
・・・
「いっててて…大丈夫ですか…?」
「あ、はい…大丈夫で…」
女の人は自分の上に覆いかぶさるような体勢だった。
「~~~~~っ!!」
女の人は、恥ずかし過ぎて動けないようだった。こっちまで熱さが伝わってきそうな、真っ赤な顔をしながら。
「え…えーっと…どいてください…」
「ふぇっ!?あ、ああああ!!す、すいませんっ!すぐどきますっ!!」
女の人は自分の一言で我に返り、すぐどいてくれた。
「ご…ごめんなさい…さっきは…」
「いいですよ。女同士なんだから気にしないで下さい。それより、お話があるんじゃ?」
「ああ!はい!!そうでしたねっ!で、ではそこの椅子に座ってください!」
女の人はあたふたと扉の向こう側の廊下からパイプ椅子を取り出し、部屋にある机の前にドンッと置いた。そしてそこに座り、「どうぞお掛け下さいっ!!」ともう一つの椅子を指さした。
「は、はい」
さっきまでのあたふたはどこへ行ったのか、その声はワクワクが止まらないようだった。
「それでですね…あなたがあの中にいたときにたくさん話しかけてきた(?)板みたいなやつあったでしょ?それ私だったんですっ!」
「は、はぁ…」
(そんなの分かってましたよ…話し方的に…)
自慢げに胸を張る女の人に、あはは…と苦笑いすることしかできない。
「それで、どうして自分はこの暑いところにいるのですか?」
一旦落ち着いた後に本題を切り出す。
「それはですね、…あっ、まず!お名前言ってください!」
「えっ、あ、ああ…はい。私の名前は神川 流香です」
「え…」
「…え?」
私が素直に聴かれた質問に答えると、ガイドさんは少し困ったような顔をした。
「それって、現実名ですか…?」
「あっはい…何か?」
「…えーとっ…この世界は、あなたがいた現実からするとゲームの世界になっていてですね。現実名は付けれないんですよ…」
「げ、ゲーム…?」
自分の問いかけに頷く女の人。
「この世界が…ゲーム…?」
「…はい…」
あまりに信じがたい事に、窓から見える賑わっている人たちを眺める。どっからどう見ても現実にしか見えない…(身に着けているのはコスプレにしか見えないし…)。
「で…でも、」
「…ええ、あなたから見ればこの世界は現実に見えるでしょうね。でもみんなこれを隠してるんですよ?」
ガイドさんはゆっくりと頭の髪飾りだったゴムを外した。すると、
「!!?」
ガイドさんの目の前にあの時の板のようなものが出てきて、そのボタンを何回か押した。すると、その板は消え、ガイドさんの頭の上に青い板で【level 1 guide】と出てきた。
「レ…ベル1…ガイド…」
「見えますよね?この世界では皆これを[個人板]といっていて、この世界の住人はみんな持っています。ほら、あなたにも」
「え?」
上を向くとガイドさんとは違う白色の【level ∞ Controller】と書いてあった。
「…本当だ……どうして外に居た時、他の人達の個人板が見えないんですか?」
個人板から視線を逸らし、窓から外を眺めながら言う。
「ああ、それは皆隠してるんですよ」
「それまたどうして?」
「…突然の対戦を逃れる為です」
「突然の対戦?」
「はい。この世界の人々は、この世界(world1)に居る誰とでも対戦を仕掛ける事が出来ます。それも、仕掛けれた側は拒否権が無く、強制的に対戦がはじまります。それが…」
「自分より高いレベルの人に対戦を仕掛けられたら逃げれないから、皆さん個人板を伏せていると…」
右手を顎に添えながらガイドさんの話から推測した事を、あえて被せて言ってみる。
「お察しが良い、その通りです」
ガイドさんは落ち着いたように小さく息を吐いた後、こちらをまっすぐに見つめた。
「皆負けるのいやですもんね。…それなら、自分も伏せておかないと…」
「…そうですね…」
一瞬暗い顔をして少し考えてガイドさんは頷いた。
「たとえあなたが『白板』で『調節人』だとしても…隠しておかないと…」
「は…はくばん?調節人??」
「あ、…失礼しました…」
頭の上に?を浮かべるように頭を傾ける。ガイドさんはこちらの状態に気付いてペコリと頭を下げた。
「『白板』は、白い個人板っていうそのまんまの意味で、あなたの様な個人板の色をしている事を言います。レベルが∞の人のことで、どれだけのベテランでもなれない事です。『調節人』は先程お伝えしたように、この世界の『不具合』を文字通り調節して治せる人の事です。ちなみに、どんな不測の事態にも冷静に対処できるよう何をやっても全てこなせるわけですが…」
「…ですが?」
ガイドさんの説明では自分では理解できない単語などが溢れてきたが、今聞くと説明が長くなりそうなので後で聞くことにした。
「一つだけ守って貰わないといけないことがあるんです」
「何ですか?」
「私意外にあなたが調節人だということを他の誰かに言うのを、極力避けてほしいんです」
「…どうして?」
「この世界の住民の中には、調節人になることを追い続ける人達もいます。そんな人たちに会って、しかも個人板で調節人であることを教えてしまったらその人達の恨みを買い、悪い噂やあなたの個人情報まで仕入れて他の人達に広まってしまう可能性があるんです。そうなると、バグが憑りついた人まで離れてしまい、あなたの仕事が成立せず、最終的には『消滅』の可能性も…あります」
「……は?」
先程の説明よりも沢山の理解不能な単語が飛び交い、自分の頭にかこーんかこーんと当たり続ける。
「ご…ごめんなさい、意味が全く分からないのですが…」
「あれ?言ってませんでしたっけ?」
「…聞いてないような…」
「そうでしたか、すいません。…まず何処から説明したらいいものか」
うーんと浅く俯いて唸るガイドさんに自分から質問した。
「と…とりあえず、一つ目…どうしてどんなベテランにでもなれない白板(?)に自分はなっているんですか?」
そこから…と呆れが顔に出ているガイドさん。ごめんなさいという罪悪感とだってしかたないじゃん!!という激怒が心の中で葛藤している中、ガイドさんは説明を始めた。
「えーっと…って、あれ?この世界に入る前に入国審査受けましたよね?」
「あ、はい。なんか見た目ヤンキーみたいな人に紙差し出されて署名させられました」
そういえばあった。結構中身の濃いような時間だったのになぜ忘れてたのだろう。自分は頭の中でその時の事を思い出した。
どうも。お久しぶりです。
今まで書いてきた中で一番の楽しさだったかもしれませんね。ファンタジー。憧れます。
次回は流香ちゃんの回想シーンです。じかいもどうぞよろしくぅぅノシ