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 二つ目の『換字式暗号』は、文字を別の文字に変えておくという暗号だった。

『ざ』という文字は『こ』を意味し、『し』という字は『あ』、『き』は『を』という風に、前もって決めておくのだった。

 この暗号を使うと

『座敷』

 という単語は

『こあを』という言葉に変わってしまう。

 一見すると解読は不可能に思えるが、文字の頻度がわかれば一瞬で暗号が溶けてしまうらしい。

 頻度というのは文中に特定の字が現れる確率の高さのことで、例えば英語であればEが最も使われ、それにA、Tと続いていくらしい。

 しかし残念なことに日本語の頻度はしらなかった。仮に知識があったところで、頻度表は長文でなければ役に立ちづらいときいている。

 そのため、僕は三つ目の方法を試すことにした。

『カエサル暗号』は文字列を決まった数だけずらすというものだ。


 あいうえ


 という字を三だけ後ろにずらすと


 えおかき


 というものに変わる。

 英語だとアルファベットは二十六しかない上に、二十六ずらすと元の文章に戻ってしまう。そのため総当たり法をとっても、二十五回で文章が解読できる計算になる。

 ひらがなの場合はやや数が多いが、それでも四十八から一をひいた、四十七回もずらしてみれば必ず解読できる。

 僕はやや面倒くささを感じたが、換字式暗号に比べれば随分と簡単に解けると考え、白い紙に墨で解読後の文章を書いていった。

 驚いたことに、意味のある文章が現れるまではすぐだった。

 最初の一回目で、すんなりと答えが出たのだ。

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