光源
「あれ。なにか、光ってるぞ」
僕が指差したのは、静かに波打つ海の上に、ぽつりと存在する小島だった。
その頂上の付近でなにか明かりが、規則性を持って点滅をしていた。
短かったり長かったりと間に違いはあるが、光が弱まることも消えることもなく、点をずっと繰り返しているのだった。
「鉄かなにかが落ちているのでしょうか」
「いや、今は夜だ。月明かりもない。光が反射するようにはみえない」
松の木が一本だけ生えた、島というより岩といった表現が近い細長いそれは、頂上の近くでなにやらきらきらと光っていた。
なぜ、今日に限って反射をしているのだろう。そう思っていると、すぐ答えに気づいた。
「なるほど。あれは光源が窪みに挟まってるんだ。今まではそのお蔭で、浜辺から見えなかったんだろう。きっと、ずっとみえてたんだよ」
「角度の問題か。なるほど」
ブンジは納得したような声をだすと、ふと気づいた。
視線を折ったところ、左斜め下に僕たちがいつもいる浜辺がみえた。
「なあ、元の場所に戻りたいなら、ここから降りてあそこにいけばいいんじゃないか? そっちの方が、迷わないだろうし」
「降りるって、海ですよ」
「俺の神術は海流を操るんだ」
ブンジがそういうと、浜辺に打ち上げられていた船が海にゆっくりと戻っていき、崖のすぐ下でぐるぐると旋回を始めた。
「よし。俺が糸をだすよ。二人とも、それに捕まってくれ」
「カワカミ先生のことはいいんですか? 探す必要があるんじゃ」
「いや。こういう時は、二次災害が最も危ないってきく。まずは村に戻ることだ。そこであいつがいなければ、村の総出で山狩りをすればいい」
「みつからなかったら、どうするんですか。一人でいたら可哀そうです」
「その可能性は低い。あいつは提灯を持ってるんだから周囲の様子がわかるし、誰かに気づかれる確率も高い筈だ」
「それもそうですね」




