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二人の会話

もうそろそろ第一部が終ります。

 僕は先生を探して村を歩いた。

 彼女が側にいてくれれば心強い、そう思ったのだ。

 そして霧に入ると元いた場所に戻ることを確認している少年、残された米がどれだけの量かを調べている少女、といった人たちを眺めながら歩いていると、浜辺に通じる道で先生をみつけた。

 隣にいたカワカミと、地図をみながらなにかを話し合っているらしい。

 彼女は僕を認めると、ごく近しい者にだけわかる笑みを浮かべた。

 僕も笑顔を浮かべたが、手をひっぱられて足を止めた。

 みると、テツコが怯えるような表情を浮かべている。昨日のことがあるため、ここにいるのが怖いのだろう。

 僕は彼女の黒い髪を撫でながら、引き返すべきか悩んだ。

 路上で他愛のない話をしている人たちがいたが、大半はチョウゾウを中心にして、なぜか右手の林の側に集まっている。

 特に意味のある行動をしている風にはみえないから、人手は足りているようだ。

「ところで丸太を転がすのは難しい?」

「そうだね。道の傾斜はゆるいし転がしやすいだろうけど、微妙に曲がっている。転がしても途中で林にぶつかる。化け物の対策には使えないよ。木を斬っても、化け物がそこを通るかはわかんないし」

「やっぱり、塹壕しかないわけね」

 先生は淡々というと、近くにいた少年に指示をだした。

 少年はその言葉をきくと、仲間を集めて道に直線をひいた。

 どうやら塹壕の大まかな位地を決めているらしい。木材やのこぎりが側にあるのをみると、長さや深さを決めこの場で加工するらしい。

 それにしてもテツコをなだめてくれそうな人はおらず、僕は仕方なしに彼女に声をかけ、しどろもどろになりながら話をした。

 するとようやく落ち着いたので、僕は周囲の話に耳をすました。

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