冒険者業務斡旋組合
4話です。
もうすぐでユニークPVが100件越えそうです。
感謝感謝
2015/02/15 改稿版を投稿しました。
2015/11/22 改行がおかしくなっていたので修正しました。
4話 - 冒険者業務斡旋組合
扉をくぐったらそこは『カオス』でした。
奥の方はまだいい。
綺麗に並べられた受付カウンターに、そこそこ美人の受付嬢が揃って仕事の受付やら報酬の受け渡しなんかの業務をしている。
真ん中あたりのスペースは商談スペースなのか、受付のカウンターと同じように小綺麗に並べられ、冒険者と依頼人らしい人が打ち合わせをしているのがわかる。
横を見ると、受付のカウンターから真ん中あたりまでの壁一面に依頼票と思われる紙が貼り付けられている掲示板があり、そこを見て何かをメモしている冒険者なんかもいる。
それぞれのエリアは横にひかれた通路によって区切られているんだが。。。
手前のエリア。
てめぇはダメだ。
ご飯を食べたりお酒を飲んだりするエリアなのはわかる。
だがそのテーブルはすでに乱雑に置かれて、椅子に座って食べ物を汚らしく食べ、酒を飲んで大声や大きな声での笑い声をあげている
冒険者達はちょっとしたことで隣の席の冒険者と喧嘩になっている。
そんな冒険者の脇を通り抜け、受付カウンターへ向かおうとすると、一瞬でギルド内が静かになりギルド中の視線が俺らに集まった。
そんな見んといて。
照れるがな。
瞬は比較的空いてる少し肉付きのよい女性のところを選び声をかけている。
わかってるじゃないか。
やはり異世界初の受付は女性であるべきだ。
「すみません、ここはギルドでいいんですよね?加入手続きをしたいんですが詳細を教えてもらえますか?」
「いらっしゃいませ。はい。ギルドで合ってますよ。加入手続きですね。ではあちらのテーブルで承ります」
といい受付嬢は壁沿いの空いている受付けカウンターに移動を勧めてくる。
うん。いい尻と腰だ。
「失礼しました。加入手続きは時間がかかるからあちらでやると他の人の処理に支障が出るんです。後は余計なトラブルの未然の防止ですね」
「いえいえ。お気遣いなく。それで加入について説明をお願いできますか?」
瞬は今日はずっとよそ行きだなぁ。
「はい。では簡単に説明をさせていただきます。当ギルド、正式名称は冒険者業務斡旋組合という名前の組織で、所属している方を冒険者と呼ばせていただいております。」
正式名称なげぇ。
「 その冒険者の方々へさまざまな依頼の斡旋をすることを主目的とした組織です。 依頼は街の住人から商人や店舗主、騎士団や貴族、王族から依頼が来ることもあります。そのため、当ギルドでは冒険者の方々の身分を証明するかわりにギルドへ依頼されたものを対応していただくといったことをしていただいております。」
なんてことを言いながらさりげなく服装なんかのチェックをされているな。
いやん。
「礼儀や服装などが最低条件を満たしていないと貴族や王族クラスの依頼は受けられないこともありますけどね。お二人は大丈夫だと思います。 ギルドの加入への条件ですが、
1.15歳以上であること。
2.犯罪歴がないこと。
3.ギルドからの緊急依頼があった場合強制的に受けていただくことに承諾していただけること。
となります。 また身分証としてギルドカードを発行しますのでそちらの手数料が銀貨3枚必要となります。」
おうふ。
やっぱりお金が必要ですか。
「もしお金が足りない。というのであれば仮加入でお金を貯めてから本登録。といった形も取れます。むしろそういった方がほとんどですからご安心ください。 ただその場合仮証は身分証として使えませんし、依頼も制限がかかり採取か討伐系の物しか受けられません。」
なるほど?
町中での依頼とかはどうしても対人になるからね。
問題起こしたりしてもお金を払ってない人の後ろ盾になる気はない、と。
「なるほど。わかりました。仮証しか発行できない冒険者が街中で依頼でも受けて問題を起こしたら大変ですからね。討伐依頼を受けるかどうかは別としてまずは仮証の登録作業をお願いしてもよいでしょうか?」
瞬くん、それは今俺が言った。
心の中で。
「理解していただけて光栄です。では仮証の発行手続きに移ります。こちらの用紙に記載できるところを記入してください。代筆が必要ならこちらで記入しますので」
受付嬢は机の下から登録用紙を2枚出す。
その用紙には名前、年齢、性別、戦闘方法、得意技術と4項目が書かれている。
それぞれ名前、性別を書き、戦闘方法に『前衛』、得意技術に『刀術』と書く。
チケットを持っているおかげか書こうとした文字の形がこちらの言語で紙にうっすらと映し出されていたのでそれをなぞる様にペンを走らせる。
便利だわー。
書き終えた用紙をひとしきり確認すると受付嬢さんは机の下から木札を2枚取り出し用紙に記載された名前を書き込んでいく。
「シュン・アサイ様とカムイ・タカナシ様ですね。ではこちらが仮証となります。無くした場合は別途費用が発生しますのでご注意ください」
「はい。ありがとうございます」
「本来ならこのまま依頼を受けていかれますか?と聞きたいところなのですがもう外は暗いので依頼を受けるのは明日以降にしてくださいね。」
おおう、もうそんな時間なのか。
宿はどうしたもんか。
お金ないからどこかで野宿か、森の中の家まで戻るかねぇ。
「おう、嬢ちゃん。ここはおこさまがくるようなところじゃねぇぞ?怖いおじちゃんたちにいいことされたくなきゃとっとと帰るんだな!」
はい、出ました。よくある展開-。
大声で笑いながら近寄ってくる冒険者。
身長は2mくらいかな。背中には刃にかぶせ物をした片刃の大斧うぃ担いでいる。
顔もひげ面で山賊とか盗賊と言われても信じてしまうような風体だよな。
なんかひげ面に縁があるなぁ。
「ちょっと!ボナンさん!またですか!新人にちょっかい出さないでくださいとお願いしましたよね!」
お?
受付嬢さんの華麗なるアシスト。
「あぁ?こいつら新人なのか?じゃあなおさらだ。そんなひょろっちい身体で冒険者が務まるかっての。なんなら俺が鍛えてやってもいいんだぜ?主にベッドの上でだがな!」
下品だなぁ、このひげ。
なおも注意の声を荒げようとする受付嬢を手で制し、小さな声で「大丈夫ですよ」と呟く。
「図体だけ大きければいいなんて馬鹿の極みですね。あ、あれですか。弱いのを隠そうとして一生懸命威嚇してるんですね。わかります。
少なくとも僕たちより弱いあなたに教わることも鍛えてもらう必要性も感じていませんのでそこをどいてください。」
その言葉はギルド内に響き渡り一瞬静かになった。
その直後、大爆笑が酒盛りをしている冒険者たちから起こりプルプルと怒りで震えているボナンに対して
「ぎゃはは、おい、ボナ、馬鹿にされてんぞー、いいのかー?」
「がははは、ボナー!やっちまえー!」
「勝負だ勝負ー。勝ったらその子一晩貸せよー!ぎゃっはっはっは」
と勝負を煽る声援が届く。
「おい、嬢ちゃん。吐いたつば飲み込むなよ?そこまで言うなら腕前見せてもらおうじゃねぇか。そうだな、お互いの身柄と持ち物全てが掛け金でどうだ。俺が勝ったら奴隷になってもらう。」
「よくあるこういうのだとギルド内でのいざこざは禁止ってギルド員が出てくるもんなんだけどなぁ。。。あぁめんどくさい。いいですよ。どうせ負けませんし。こっちが勝ったら全財産だけでいいですよ。身柄なんていりませんし」
瞬よ。
一瞬出たじゃないか。
その後は俺が押さえちゃったがな。
どうせやるんだろう?
さっきから嬢ちゃん嬢ちゃんと言われてかなり不機嫌になっているんだろうからな。
受付嬢があわてて飛び出してきて「ここでは困ります!やるなら裏の訓練所でやってください!」と大きな声で騒ぐ。
あら。いつのまに。
っつか訓練所ならいいのかよ。。。
ドスドスと音を立ててあるくボナンを先に見送った瞬が俺のところへ来る。
「これで賭けでも始まったら儲けもんだね。っても元手がないか。」
「ったく。こっち来てから性格変わりすぎだ、おまいは。まぁ負けないんだろうから心配はしてやらん」
「なに、新手のツンデレ?」
「ちゃうわ。とっとと行って終わらせて来い」
「あいよー」
瞬は訓練所に走って行ってしまう。
「あ、あの。。。ボナンさんはランクBの冒険者なので。。。そう簡単には勝てないと思いますよ。あぁこうしちゃいられません。治癒官の手配しないと。。。」
先ほど焚きつけた受付嬢がそんなことを言ってる。
何を言ってるんだ、この子は。
あたふたして他の受付嬢の子に治癒官の手配などをお願いしているので放置して訓練所へ向かおう。
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訓練所に到着するとそこには20人ほどの冒険者が訓練を行っていたが訓練場の真ん中には先ほどのボナンが木でできた大きな斧を持ち地面に突き立てた状態で瞬を待っている。
「おせぇぞ!早く来やがれ!」
「はいはい。そんなに怒鳴ってると禿げますよ。おじいちゃん」
「くっ、この場に来てもまだそういう減らず口を叩くのか!早く獲物選んで真ん中来やがれ!叩きのめしてやる!」
瞬に口で勝とうと思っちゃいけんよ。
腕でも勝てないだろうけどな。
瞬は刀にできるだけ似た木剣を持っている。
「はい、おまたせ。んじゃちゃっちゃとやろうか。早くお金もらって宿で休みたいしね」
「はっ。俺の宿に来て休んでられるとおもうなよ!壊れるまで使いまわしてやる!」
まぁお下品。。。
ボナンを蔑みながら木剣を納刀した状態に構える瞬。
「剣を構えないでとことんふざけた奴だな。もういい。行くぞ!!!」
「小鳥遊流刀術 浅井。行きます」
そうして静まり返った訓練場で戦いが始まる。
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