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騎士と王都と間違った春

おまたせしました。29話です。

いつのまにかpt評価まで頂いていてびっくりしました。

この調子で目指せ日刊ランク入り!と行きたいところです。


それではどうぞー

29話 - 騎士と王都と間違っている春


「そういえば瞬も女の子と王都デートしてきたんだろう?どうだったのよ」


飛竜の上でダンゴールの街に着くまでの間に神威がにやにやしながらわき腹をつついてくる。


あれはデート。。。だったのかなぁ?

男女仲睦まじく王都でショッピングをした。確かにデートと言えなくもない。

たしかに僕は男で、ミルさんは女性だから間違ってはいない。。。のか?

最後にはたしかに告白までされた。


だいぶ間違った方向だったけども。


----


「さぁ行きますよ!どんな所に行きたいですか?」


テンション高く腕を組まれて、すれ違う騎士さんににまにまされつつ王城の門を通り抜けてきたわけだけど。

左腕は幸せだけど気分は心もち落ち気味。


どうせならちゃんとした格好でエスコートしたかったよね。。。


「あの。。。?どうかしましたか?」


僕が黙り込んでいるのを不思議に思って首をかしげているミルさんが掴んでいる左腕に力を入れてくる。


まさしく『当ててんのよ』状態。

見た目じゃわからないこのボリュームは嬉しいんだけどねぇ。


「なんで僕は着替えちゃいけなかったんですかね。。。」


つい本音で愚痴ってしまった。


「だってシュンちゃん、そっちの格好の方が似合ってるじゃないですか。」

「いやいや、ちゃん付けしないでください。僕は男ですよ?可愛い女性をエスコートするときくらい男らしい格好したいんですが」

「あら、可愛いなんて。ありがとう。でも今回エスコートするのはおねーさんなのよ?だから格好なんてどうでもいいじゃない」


おねーさん。。。だと。。。


ミルさんのぱっと見での年齢はどう見ても僕と同じくらいだけど実際は20歳らしい。

薄いピンク色のロングのスカートに白のシャツを合わせて可愛い系の服を着ている。

すらっとした体型なのに結構なサイズもある。何がとは言わない。ポニーテールに程よく日焼けした肌に合わさる笑顔も可愛いから引く手あまただろう。


「はぁ、なんかすみません。わざわざ街の案内とかしてもらっちゃって。」

「いいのよー。私がやりたくて志願したんだから。むしろシュンちゃんのエスコート誰がやるかって詰め所の中では争奪戦が起こったくらいなのよ?」


なんですと。。。

とうとう春が!?


「まぁ大半がシュンちゃんを見てハァハァしてる騎士(へんたい)だったけどね。」


おうふ。

それはいやだな。


「そんな奴ら(へんたい)にはシュンちゃんは任せられないでしょ。だから今回は私。」

「成り行きはわかりました。ありがとうございます。」


まぁ男よりは女性の方がいいのは明らかだしね。


でもちょっとまって、ミルさん。

その飢えた獣のような目はなんなの。


「と、とりあえず市場で食材の仕入れと、服が見たいです。男物の。」

「はーい。市場と服ね。じゃあ市場の方が遠いからそっちからいきましょう。」

「お願いしますね。」


城門から市場の方へ歩いて大体1時間かからないくらいかな?

広いわー。王都まじ広いわー。


来る時は飛竜でぴゅーっと来たからそういう感覚なかったけど、王城から街の門まで歩くと2時間はかかるらしい。

王城から軽く半径10kmはあるってことだよねぇ。


アルファミラの街とはやっぱり規模が違うね。


市場ではミルさんが率先して案内してくれた。

肉も魚も野菜も新鮮な状態で売られていて、なおかつ値段も全然高くない。

ミルさんは魚が好きみたいで、市場の中でも新鮮ないい魚を売っている店をいろいろ教えてくれたので目に付く美味しそうな魚を一通り購入。

肉屋さんではうさぎの肉や鳥の肉、牛肉を各5kgくらいづつ。やっぱり豚は数が少ないし売っててもかなり高い。

ツンさんが渋っていたのもわかるわー。


そしてなにより驚いたのが、醤油。名前は違うし、色も白いけども。ちなみにこっちでは豆油っていうらしい。大豆から出来るんだから間違っちゃいないけどね。

よくあるこういう異世界ものだと、醤油を開発するために苦労するってのが定番だけど、すでに醤油というものが確立されていてそこから派生した醤油ベースのソースなんかもあるみたい。


まぁ高くて買えませんでしたけども。

さすがに一升瓶一本で金貨1枚は出せないわ。


近くの屋台で売っていた醤油付けて焼いてたイカとかタコの姿焼きはおいしゅうございました。


ミルさんは洋服に落としそうだからと最初は敬遠してたけど一口かじらせたらそのまま奪われました。

僕がかじったところを重点的に舐めつくす勢いで。


ミルさんもたいがい変態さんだよね。。。


その近くで売っていた秋刀魚っぽい魚の姿焼きには惹かれた。

秋刀魚に醤油とかめっちゃうまいよね。。。

じゅるり。

神威あたりに教えたらきっとこの辺の屋台制覇しちゃうんだろうね。


神威はこっちに来てから食べる量がものすごい増えて、食べても全然おなかがいっぱいにならないというけど僕はそんなことないんだよなぁ。

なんでざんしょ?

不思議だねー。


お昼ごはんがてらの屋台めぐりも終わって次は洋服屋に移動したわけだけども。

もうなんていうか。

店に入る前からやな予感がひしひしと。


瞬は逃げ出した。

しかしまわりこまれてしまった。


しょぼーんとした顔でミルさんに腕を組まれ観念して店の中に入る。


うん、予想通り8割ぐらいが小さな女の子が着る様なひらひらの服。

なんだっけ。ゴスロリだっけ?


色が黒とか白ならまだ見れたけど、ピンクとか緑とか赤とかそういう色の方が多い。


なんでこんなところに連れて来られた。


そこから2時間ほどはハァハァと興奮したミルさんの着せ替え人形となってしまったが、かろうじて男物と見れる服の購入にも成功した。

ミルさんの目を盗んでな!


詰め所に戻ったら速攻で着替えよう。そうしよう。


「シュンさん。お願いがあるのですが!」


店を出てすぐににミルさんがテンション高めになっている。

ちなみに僕は今ピンクのゴスロリ服を着させられている。


「なんでしょう?」

「その服装のまま私を襲ってください!!」


何を往来で馬鹿なことを言ってやがりますかね、この残念な人は。

ほら、他の人なんかが二度見しちゃってるじゃないか。

そこのおかーさん、あっち見ちゃいけませんとか子供に言わないで!!


店の裏手の人通りが少ない場所へ手を引いて連れて行くが、「あん、強引っ」とか言ってるから気にしないことにする。

ちょうど座るのにちょうどいい木箱なんかがあったので二人でそこに向かい合って座る。


「馬鹿ですか貴女は。往来で。それにそもそも今日初めて会った人によくそういうこと言えますね。ビッチなんですか?」


ちょっときつめに説教をしても「あぁ汚い言葉で罵られるのも素敵。」とか言って聞いてくれない。

どMでビッチで馬鹿とかどん引きするわ。


「はぁ、もう帰りますね。」

「ちょっと待って!唐突だったのは確かだけど!。。。でもしょうがないじゃん。好きになっちゃったんだから。」


いきなりの爆弾発言にきょとんとしてしまうのはしょうがないだろう。

は?

好きになってもらえる要素なんて何にもなかったじゃん。


「今まで可愛い子を何回か好きになったことはあったけど、相手は普通の女の子。女同士なんておかしいと言われ続けて恋愛自体を諦めてた。」


そう言って俯いてしまうミルさん。

やっぱり女の子スキーだったか。

まぁそうだよね。僕の事をあぁまでハァハァ言いながら見てるってのはそういうことだったんだろうし。


「そこに私の理想の人が現れたんだよ?男の子だけど女の子みたいで、私のわがままを苦い顔しながらも受け入れてくれる。」


上目づかいで僕の顔を見ながらさらに熱弁は続く。


「王城に呼ばれるほど活躍もしているから冒険者としても腕もあるんでしょう?そんな人に対して抱かれてもいいと思うくらい好意を持ってもおかしくはないでしょう?」


もう目もあわせられなくなったのか、僕の胸に顔を押し付け、泣くのを我慢しているミルさんの頭を軽く撫でながら、どうしたもんかと考える。


「そこまで好意を持ってくれるのは嬉しいけども、こういう服が似合う男の子。じゃなくて『僕』を見て好きになって欲しいな。どんな服を着ていても好きでいてもらえるなら僕は嬉しい。」


ミルさんはビクッとするが体勢を変えずに僕の話を聞いている。


「ミルさんの言動を聞いていると『僕』じゃなくてもいいようにしか聞こえないの。だからその気持ちには答えられない。ごめんね」

「違うの!そういうつもりで言ったんじゃないの!」

「違わないよ。僕だって服を脱いだら普通の男だよ?見た目だって女の子みたいに見えるんだろうけども。でも男だ。」

「。。。」

「僕を普通に男としてみてくれるなら。男である僕を好きになってくれたならもう一度そういう言葉を聞きたいな。」


そう告げるとミルさんはこっちを振り返らずに走り去っていってしまった。


まぁしょうがないよね。

残念だったけど。


。。。残念だったなぁ。


----


「おーい。そろそろ戻ってこんかー?」


なんかあっち側に行ってしまった瞬にさっきから何回も呼びかけているが全然帰ってくる気配がない。

たぶん思い返しているんだろうね。一人百面相が面白い。


これは録画したくなる。スマホが手元にないのがとても残念だ。


ラミールさんが「そろそろ着くぞ」と言ってきたので、改めて前方を向くと、王都よりは小さいがそこそこ栄えている街が見えた。

ダンゴールの街。

じーさんのこっちでの奥さんが治めている街。

そして時間的にこっちでの最後になるであろう街。


大体あと10日。


どうせならこっちで何かみんなの記憶に残ることをしていきたかったなぁ。

じーさんに負けじと竜退治とか。


飛竜は街門の前に降りる。

門番の人達はなにごとかと槍を構えていたが、ラミールさんの着ている鎧を見て、即座に槍を立て敬礼をする。


敬礼をしている門番に「よい」とだけ伝えて街への入場手続きを進める。

ここでもギルドカードは通用するため、カードを見せ、賞罰に犯罪歴が書かれていないことを確認するだけで街へは入れた。


瞬もさすがに戻ってきていて、同じように入場手続きを終わらせている。


門をくぐり、街へ入るとアルファミラのときと同じような熱気を感じた。

今はちょうど夕ご飯の買出しの時間かな?


ここの町はよくある衛星街ではなく、領主が住んでいる中心街なので人も物も建物もとても多い。

そんな街の一番奥の高台に大きなお屋敷!という建物があった。

ラミールさん曰く、あれが領主の家とのこと。

事前に面会の申し入れをして、後日連絡を待ってからの面会になるだろうということを教わったため、とりあえず宿を探す。


ラミールさんはこのまま王都へ帰るそうで、「よい旅を」とだけ言って飛竜で飛んでいってしまった。


「じゃあとりあえず宿を探すぞ」

「はいなー」


街の中心部に宿屋が集まって立っている事を通り沿いにある屋台で買い食いしながら聞いていく。

お、この羊羹うめぇ。


結局選んだ宿は、この街で上から二番目に豪勢なところ。

もうすぐで向こうに戻っちゃうのにお金残しておいてもしょうがないからね。

一人で一泊金貨1枚という値段設定のところをとりあえず5日分確保しました。


その後延長ってなったら延長すればいいしょ。


宿の確保も出来たので領主の館へ。


入り口に立っている門番さんに領主さんへ面会を依頼する場合はどうしたらいいかを尋ねる。

面会依頼書という物を書いて、領主さんへ提出、確認してもらった後に日程を調整して面会。となるそうだ。

あ、一応こちらの身分はギルドカードを使って報告済み。

余計なゴタゴタは勘弁です。


で、面会依頼書を書いて門番さんに渡したんだけど、領主さんは今は視察に出ている為、すぐには面会できないということだ。

帰ってくるまで大体あと3日くらいあるらしい。

泊まっている宿も教えてあるので面会がかなったら教えにきてくれるそうだ。感謝。


飛竜で来なければちょうどよかったんだな、きっと。

まぁそれまで街を見学しつつ簡単な依頼でも受けて時間をつぶしていますかね。


宿へ戻り夕ご飯。

アルカ村みたいにビュッフェ形式のご飯だったけど質が全然違う上、おかわりも自由だったから厨房の人間が悲鳴あげるまで食べつくしてやった。

反省もしていなければ後悔はしていない。


その後は瞬と一緒に部屋で刀の手入れをして、解散。

部屋についていた風呂に入って備え付けのバスローブ的なものを身につけベッドへダイブ。


おやすみだ。


やっと書き上がりました。

今回は瞬くんがメインでしたね。


しかしこの小説にはなぜ残念な子しか出てこないんでしょう。。。(´・ω・`)


あ、近々8話までを書き直す予定です。


なお30話は土曜日夜にアップされるように予約投稿してありますのでお楽しみにー。


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