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初依頼受注

第8話ですっ

どうぞー


2015/02/28 改稿版を投稿しました。

8話 - 初依頼受注


掲示板の前に立って残っている依頼表の数に愕然とした。

受付カウンターから近い順にA~Fとなって区分けされているのだがAからCに至っては一枚もない。

Dに2枚、Eに3枚。Fは貼り切れないくらい大量に重なって貼り付けられている。

残っている依頼表を軽く見てみると、Dは討伐依頼で、Eは討伐依頼と街中依頼、Fは街中依頼のみ。といった内容である。


絶望した。


しばらく依頼表とにらめっこしていて目に付いた依頼はこのようになった。

各々3ランク分3依頼を受けなくてはいけないので計6依頼である。


僕はこの三つ。


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依頼ランク :D

依頼内容 :王都に向かう街道沿いに現れるゴブリンの数が異常な程増えている。状況の確認と巣を見つけて報告してほしい。

依頼期限 :受注から7日を目安。

報酬    :銀貨2枚。

完了条件 :ギルドによる状況の確認もしくは巣の場所の確認。

依頼主   :アルファミラ護衛団

備考    :巣の殲滅が可能なら銀貨5枚を追加する。

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依頼ランク :E

依頼内容 :新しい料理のレシピがほしい

依頼期限 :随時受付

報酬    :銀貨1枚

完了条件 :依頼主がレシピを受け取り確認をすること。

依頼主   :満腹亭ラルゴ

備考    :何種類でも可。一品に付き銀貨1枚。

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依頼ランク :F

依頼内容 :孤児院での子供の相手。月一回の合同ミサの間子供達の面倒を見てください。

依頼期限 :水週光日のお昼から夕暮れまで

報酬    :銅貨5枚

完了条件 :依頼主による完了確認

依頼主   :ラミーア教会第6司祭補佐見習いリリック

備考    :食事提供できます。


神威はこの三つ。


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依頼ランク :D

依頼内容 :アルファミラ南西にあるアルカ村で畑を荒らすヒュージボアがいて困っているので駆除してほしい。

依頼期限 :受注後出来るだけ早く。7日を目安。

報酬    :銀貨5枚+ヒュージボアの素材

完了条件 :ヒュージボアの討伐。討伐の確認(左右の牙提出)。

依頼主   :アルカ村村長レンド

備考    :宿は提供できますが食事は自力でお願いします。

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依頼ランク :E

依頼内容 :薬草の採取をお願いします。

依頼期限 :受注後10日程度

報酬    :銀貨1枚

完了条件 :依頼主への納品

依頼主   :シュミ薬剤店店主ローラ

備考    :5本ひと束で1セットとし、10セットまで受け付けます。

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依頼ランク :F

依頼内容 :新作の武器の試用。

依頼期限 :受注後2日程度(要相談)

報酬    :試用した武器の贈呈

完了条件 :試用した結果を依頼主に報告

依頼主   :ソーン鍛冶屋店主ガンドルフ

備考    :剣術スキルを持っていることが前提。


うまくやれば一週間くらいで全部終わる予定。

その依頼表を掲示板から外しリオナのところへ持っていって受注処理をする。


「ギルドカードの裏面に書かれている討伐欄を横に擦ると受注しているクエストの一覧が表示されます。そこに残り期限などが表示されていますので随時ご確認ください。期限を越えた依頼は失敗扱いとなりますのでご注意ください。初めての依頼なので気をつけてくださいね」


リオナが受注処理をするため預かったギルドカードを返却する際、昨日の説明にはなかったギルドカードの機能を説明してくれる。

言うの忘れてたでしょう、絶対。


ギルドカードに受注したクエストが表示されていることを確認した後、準備をするためにギルドを出る。


「さて、受注から。っていうクエストが多いから二人まとめて動いてちゃ時間なくなっちゃうね。情報収集と準備が終わったら別行動かな?」

「だなー。とりあえず宿屋の人が言ってたマジックポーチ買いに行こう。(これ)ぶら下げてたら市民の視線が痛い。」

「そだね。早いところ行って買おう!」


そうして二人は露天を開いている人や街を歩いている人に怖がられながらも道を聞き魔道具店へ向かう。


----


魔道具店についた思った。

ここはコンビニか。と。

瞬の顔を見ても同じことを思っているようだ。


歩道に面している壁は大きなガラス張りで店内がよく見える。

入り口から左側にカウンターがあり、右側には陳列棚が大量に並んでおり隙間がないくらい商品が置かれている。

薄暗くなるであろう店の奥の方も天井から魔道具かなにかの明かりであろうか。手に取る商品が見やすい程度の明かりが灯されている。


ガラス製の冷蔵庫のような壁一面を埋める赤や緑、青の液体の詰まった瓶も売られており、もう見た目は完全にコンビニである。

店の前で呆然と立ち尽くしている二人を変な人を見る目でよけつつ店の中へは幾人もが出入りしている。


「すごく。。。コンビニです。。。」

「世界を超えたレイアウトってすごいんだね。。。」

「とりあえずここで突っ立ってるのも変だし店入ろう。」

「だな」


店に入る扉のところだけは木製の開き戸になっているのを瞬が「なんでここだけ違うのさ」と文句を言っているのを宥めつつ店内にはいる。

店内をざっと見て回るが目的としているマジックポーチらしきものは見当たらない。

しょうがないので店員にマジックポーチはあるかを問い合わせる。


「しゃーせー。あー、マジックポーチすかー。在庫では置いてないんっすよー。既成のかばんやポーチに魔法をかけて作るもんなんっす。結構高いっすけど、大丈夫すかー?」


店員の質まで向こうの店員ぽいな。と思いながら「どれくらいするんですか?」と返事を返す。

ちなみにボナンから受け取った小袋の中には金貨32枚、銀貨22枚、銅貨5枚。が入っていた。


「永続型と限定型ってのがあるっすー。それぞれサイズが大中小があるっすー。限定型のが大で金貨1枚、中が銀貨5枚、小が銀貨1枚っす。永続型は限定型の10倍の値段っす」


と説明をされた

なるほど。わからん。

全然わからないので説明を求める。


「永続型と限定型の違いを教えてもらえるかな。あとそれぞれのサイズの平均的な格納量も」

「永続型ってのは繰り返し何回でも使える奴っす。限定型ってのは大体30回出し入れしたら道具にこめられている魔力が尽きて普通のポーチになっちまいます。量はそうですねー。小は小銭入れくらいっすね。貨幣が100枚程度入るっす。中で酒樽5個分くらいっすね。大だと馬車1台が丸々入って少し余裕があるくらいっすね。」

「へー。大きさ限定じゃなくて回数限定なのか。」

「そうっす。にーさんとねーさんみたいは武器ぶら下げて歩いてる割にうちの店初見っぽいからまだ初心者(ノービス)っすよね。最低でも中サイズはないと武器の格納は出来ないっすよ」

「ねーさんて。。。まぁどうせ買うなら一番いいやつだよなぁ。」

「一番いいのを頼む」

「りょーかいっす。しばらく待っててほしいっす。てんちょー!てんちょー!お客さんっすよー!」


ねーさんとか言われてこめかみをぴくぴくさせてるが瞬よ、まぁ落ち着け。


店員は奥にある部屋っぽいところに大きな声で呼びかけるとしばらくして寝起きなのだろうと思われる髪がぼさぼさで寝巻き姿の女性が現れた。


「うるせーなー。。。あたしゃ朝まで仕事してて眠いっつったろーが。。。」

「そーはいいましてもねー。お客さんなんっすよー。マジックポーチの一番良い奴っすよー。金づるっすよー」


客の前で言う言葉じゃないな。


「お休みのところ申し訳ありません。緊急でマジックポーチが必要になってしまったので。」

「お手数をおかけして申し訳ないのですが作成をお願いできないでしょうか?」


寝ぼけ眼で見た女性はしばらくぼーっとしていたが急に我に返り、顔を赤くして裏の部屋へ飛び込む。

そしてその部屋から「ちょ、ちょちょちょちょっとまってて!すぐ伺います!!」と慌てた様子の声が聞こえる。

店員が苦笑しながら「あそこにあるカバンから加工してもらうのを選んでたらいいっすよ。たぶんすぐには出てこないっすから」と言ってきたので歩道側の棚にあるカバンを選びに行く。


瞬は身体に背中に密着するタイプの斜めがけのバッグと巾着袋、俺は肩がけ紐が長めの斜めがけできるバッグと巾着袋を選んだ。

店員のところに持っていくのとほぼ同時に先ほどの女性が部屋から飛び出してきて挨拶をする。


主に俺のほうを向いて。

俺なんかしたか?


「先ほどはお見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありませんでした。当魔道具店店主のジーナと申します。」

「いえいえ。こちらも急なことで申し訳ありません。私は神威。こっちのは瞬と申します。さっそくですが作成を依頼しても?」


そんな熱い視線を送られても興味ないぞ。

そんなガリガリじゃダメだ。


「はい。バッグはお選びになったようなのでさっそく加工させていただきます。こちらのバッグが二つとも『特大』で巾着袋が『小』でよろしいでしょうか?」

「特大?さっき受けた説明では大までしか言われなかったんだけど特大なんてのがあるの?」


瞬が首をかしげて目の前のジーナと名乗った店長さんに尋ねている。


「一番いいので。と言われたので特大と思っておりましたが違うのですか?説明はそこの店員がすることになっているのですが。。。」


ジーナは振り返って店員を睨もうとするがすでにカウンターにはおらず店内の後片付けをしているのか店の奥のほうへ逃げている。


「あいつには後でOHANASHI(物理)をしておきます。それで説明ですが、特大サイズは家一件くらいが入るサイズで値段は金貨20枚。回数も当然無制限です。」


奥のほうでガタッという動揺する様子が見受けられるがそれは無視して説明をされる。

容量がでかいのはいいけどさすがに二つで金貨40枚は手持ちが足りない。

今後のこともあるので使い切ってしまうといろいろ問題があると考え、ジーナに「金貨20枚は無理ですわ。」と悲しそうに告げる。

少し値引いてくれればなぁ。具体的には半額に。


するとジーナが「ですよね。」と少しつまらなさそうに呟く。


「本当はでかいのがいいんですけど今回は手持ちがないので大を2個と小を2個でお願いします。」

「残念ですっ。」

「了解しました。ではバッグの加工をしますのでしばらく店内をご覧になってお待ちください。」


むぅ。やっぱりつっこみがない。


瞬は「え、そんな短時間で出来るの?」と言われたように店内を再度見始める。

奥のほうではさきほどの店員がモップを持ったままガクガクと震えており最初の軽い様子は消えてしまっている。


「それにしてもこのポーションなのかな。色が毒々しいよね。。。」

「普通緑って言ったら毒POTだからなぁ。体力回復ポーションとか書かれていても飲むのを一瞬ためらうな」

「だよねー。この紫のが魔力回復ポーションか。紫のPOTなんて爆発POTしか知らないなー」

「気をつけないと間違って飲みそうだな。ラベルとか貼ればいいのに。」

「ねー。まぁとっさにラベルなんて見てられないだろうけどね。」

「どうする?体力回復のだけでも買っておくか?」

「一本ずつくらいは持ってた方が安心かなぁ。値段も銀貨1枚だし買っておこうか。」

「りょーかい」


とガラス戸をあけ緑のポーションを2本手に取りさらに店内を回る。

魔道具としてよくある火種がなくても光るランタンやコンロっぽい調理道具、綺麗な水を生み出せるコップなどがある他、魔よけ効果のあるテントなど大きなものまで並んでいる。

それぞれの魔道具にPOPがつけられており簡単な商品説明が書かれているからどのような道具なのかがすぐわかる様になっているところはいいな。


とか思って見ていると店員がこっそりと

「あ、それ、お客さんにいちいち説明するのがめんどっちーから俺が書いたんすよ。」

と感心した気持ちを台無しにさせる。


それ言わなきゃいい話で終わったのに。


そうこうしてるうちにジーナから声がかかり、マジックポーチが出来たことを告げられたので再度カウンターへ向かう。


「おまたせしました。こちらが魔法の鞄(マジックポーチ)です。」


と先ほど渡したバッグが返却され、代金を支払う。


「ではすみませんが先を急ぎますのでこれで失礼します。お休みのところすみませんでした。」

「失礼します。」

「いえいえ。これからの旅路がよき旅にならんことを。」


----


魔道具店を出て、街の西側にある市場で携帯食料を買い、それぞれのバッグに詰め込む。

当然武器は魔道具店を出たところでバッグにしまってある。


バッグの使い方の説明を受けなかったのだがファンタジーの教科書(ラノベ)で勉強していた瞬にとっては簡単なことだった。

収納するときは対象をバッグの口に触れさせるだけで吸い込まれるし、出すときは出したいものを思いながら手を入れると手で掴める。

馬車などの大きいものの場合はわからないが今はそこまで気にしなくていいだろう。

使い方を神威に教えるついでに食料や携行品の買出しをし、ちょうど昼の時間なのに気づき近くの食堂へ入り今後の計画を立てる。


「さて、買出しも大体終わったしどうしたもんかね」

「瞬は街道沿いやってからレシピと孤児院だっけか。時間の縛りがゆるいのがいいな」

「神威のは結構タイトだよね。武器、ボア、薬草。の順番になるのかな?」

「そうなるな。アルカ村というところまで馬車とかが出てるといいんだが。」


とギルドカードに記載されている依頼一覧を見ながら二人で話しあっていると、食堂の店員が料理を持ってくる。


「へい、おまち。定食二人前ね。さっきちらっと聞こえたけどレシピの依頼ってもしかしてうちのかい?」


と料理服に身を包んだ店員が声をかけてくる。


「え、あー、満腹亭って所の依頼です。」

「そりゃうちのことだよ。なんだい、名前見ないで入ってきたのかい」


と笑いながら答えてくる。

失礼しました。。。


「店名まで見てませんでした。これから街道のゴブリン退治の依頼があるのでそれが終わったらまた来ますね」

「ああ、助かるよ。依頼を受けてくれたってことはなにかレシピのネタはあるのかい?」

「あー、はい。とんかつとかトンテキとかカツ丼とかどうですか」

「おお、三つも!!なんかうまそうな響きだな!!帰って来てからでいいからぜひ教えてくれ!!」


と店員が手をとって上下にぶんぶん振る。


その後店員が厨房に帰っていったのを見て神威が


「なんであの選択肢なのかはあえて聞かないでおこう」

「いや、あの店員さん見たらそれしか選択肢が浮かんでこなかった。」


なお、店員の見た目は丸々と太っていて手足は短く髪も短い。

厨房の中は暑いからか、少し肌も上気しており若干ピンク色に見えた。

どこかの肉屋にあるシェフ帽と調理着を着て包丁を持った豚に似ていたので瞬も神威もそれを思い出した結果が先ほどのメニューである。


そんな話をしながら出てきた定食(パンとサラダとサイコロ状のステーキ、二人分で銅貨5枚)を平らげ食器を厨房の隣にある洗い場に返し先ほどのテーブルに座る。


「んじゃこっからは別行動にしますか。手持ちのお金半分渡すね」

「了解だ。」

「さっきのバッグやら食材やらで残りが金貨10枚、銀貨12枚、銅貨2枚だから、5-6-1でいい?」

「十分だろう。さっきから買っている相場を見たら金貨2枚あれば何もしないで生活できそうだ。」

「金貨なんて普通の店じゃ嫌がられたけどね。銀貨に両替しておけばよかった。」

「金貨は金貨で使い道はあるだろう。宿のまとめ払いとか。」

「そうだね。」


食堂の店員にアルカ村までの馬車が出ていることを聞いた神威は発着場へ向かうといい、席を立つ。

こっちも王都への街道の方向を聞きそれに合わせて店を出る。


「じゃ気をつけてー」

「おまえもなー。お互い依頼が終わったらここの街に集合ってことでいいか?」

「大丈夫。10日過ぎてギルドに連絡入ってなかったら僕もそっち行くよ」

「りょーかい。とっとと終わらせて帰って来るさ」

「変なフラグ立てるとあぶないぞ?」


笑いながらお互いの安全を案じ、それぞれの依頼へ向かうため歩き出す。


僕は北東にある門へ。

神威は南西の門のそばにある馬車発着場になっている広場へ。


それぞれのクエストが始まる。

次回からそれぞれの視点で書く予定。

どっちのから見たいか感想欄ででも言ってくれれば!

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