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 彼の部屋から出た後、オレは待たせている可愛い魔法使いの元へ急ぐ。あいつは誰からも愛される体質のようで、放っておくと、あいつの周りにいろんな奴が寄ってくる。

 ロリ好きな断罪天使エクソシアや可愛いものに目がない風精だったら、一緒にお菓子を食べていたり、お喋りをしているくらいであるので、まだいい。もし奴とか、引き籠りの変人なんかに捕まったら、部屋に連れて行かれることだろうと思うが、あとで成敗すればいい話である。

 とは言え、そう言った奴らとの遭遇率はさほど高くない。現に、断罪天使エクソシアや道化は任務についているそうなので、ここにはいないし、引き籠りに至ってはほとんど外に出ることはないし、風精も準備とかで部屋にいるらしい。

 一番遭遇率が高く、かつ、厄介な連中に絡まれていないといいが……。そんなことを思っていると、聞き覚えのある声と複数の声が聞こえてくる。それを聞いて、嫌な予感が過る。

 その方向へ行くと、人気があまりない場所で、数名の男共に囲まれた背の小さな緑髪の少年がオロオロしていた。

「てめえはよええのに、どうして俺達より上なんだよ?」

「帝王はホモらしいからな、こいつは帝王に媚を売っているんだろ。もう、帝王相手とやったのかもしれねえぞ?」

 ゲラゲラと少年共の笑い声が聴こえてくる。それを聞いて、俺は眉を顰める。オレにはそんな性癖を持った覚えなどない。そもそも、ホモと言った特権はあの男にこそふさわしい。

「しかも、こいつが付いてんのあの先代殺しの帝王だぜ?先代は人殺しの大好きな危険人物だったらしいし、帝王の奴、そいつの弟子だったんだろ?きっと、あいつも人殺しが大好きなんだろ?」

 少年の一人が言った言葉に、ピクッと眉を動かす。

 “先代殺し”か。教会で、先代を殺す奴は少なくない。現に、先代殺しを経験していないのは、恐らく断罪天使と、今まで空位だったあの引きこもりしかいないだろう。

 だが、オレのケースは極めて異例だったそうだ。

「………帝王は殺したくて、殺したわけじゃない」

 今まで大人しかった俺の可愛い魔法使いはそんなことを叫ぶ。それを聞くと、嬉しいと思うが、あのまま大人しくしていれば、痛い思いはしなかっただろうに。それがこいつの悪いところでもあり、いいところでもあるが。

「帝王は殺したくて、殺したわけじゃない?俺、聞いたことあるぞ?彼女を先代に盗られた上に、殺されたんだってな。何とも、報われない奴だよな、帝王って」

 少年共の笑う声がまた起きる。流石に、オレもここまで言われて、我慢できるほど聖人君主ではない。

 オレは剣を抜き、角から姿を現し、

「………何か、面白いもんやっとんなあ?オレも仲間に入れてもらえへんか?」

 口を歪ませてそう言うと、先ほど笑っていた少年共の顔は見る見るうちに、顔面蒼白になっていく。

「………オレは今腹立っておるんでな。超機嫌が悪いんや。オレの為の人柱になってくれるなら、そこにいてもらってもええ。でもな、痛い思いしとうない奴は………」

「さっさと消えろ」

 俺がそう言い放つと、彼らは弾丸の如く、その場からいなくなり、俺とあいつしかいない。オレはあいつの傍まで近寄り、

「………お前も不器用な生き方しかせえへんな」

 そう言って、頭を撫でてやる。

「……僕は   ほど不器用ではないです」

 そう言って、そっぽを向くこいつの姿を見ると、とても愛しく思える。オレの精神が壊れずに、こうしていられるのはこいつの存在が、守らなければならない奴がまだいるからだろう。

 そうでなければ、あの時、壊れていてもおかしくはなかったはずだ。

「じゃあ、お互い、不器用って言うことでええやろ。あいつらはあんたより弱いんだから、半殺しにしたって、罰が当たらへんやろ」

 ここは弱肉強食。強い者だけが勝ち残ることができる場所である。もしこいつがあいつらを殺したって、何もお咎めはない。こいつが最初なら、問題はあるが、あいつらが最初に手を出して来たのだから、立派な正当防衛になる。

「………本当に、強い人は力で解決するもんじゃないって、   が言っていたから」

 だから、手を出さない、とこいつは言う。こいつの中でも、彼女の存在は大きい。こいつにとって、彼女は正義の味方そのものだったに違いない。

 実際、彼女はスーパーマンと言ってもいいほどのことをしていた。オレがこの世界に入ってきた時、彼女が有力な執行者候補だったと言う話を聞いた時は驚きはしたものの、納得もできた。

 彼女には出来ない事は何もないように思えたからである。

「………そうか。まあ、あんたの好きなようにやればええ。それよりも、仕事や。行くで」

 オレがそう言うと、こいつはオレの後に付いてくる。

 こいつは誰よりも可愛いと思う。断じて、オレはホモではない。

 オレにとってのこいつは放っておけない可愛い弟分と言った方がとてもしっくりくることだろう。


***

 馬車が立派な屋敷の前で止まると、屋敷の中から数名の使用人と、立派な服装に身を包んだ初老の男が出てきた。

 彼がロベルト・レイモンドさんである。前に会った時より、少し老けたような気がするが、前に会ったのが2,3年前のことだ。仕方のないことかもしれない。

「やあ、青い鳥君に、黒犬君。待っていたよ」

 彼は俺達が馬車から出てくると、にこやかにほほ笑んでくる。

「お久しぶりです、レイモンドさん」

 俺はお辞儀をして、そう言うと、

「お久しぶりです」

 青い鳥もそう言ってくる。

「本当に、お久しぶりだね。黒犬君は背が伸びたね」

「はい。彼は去年で3cm、今年で2cm伸びました。伸び盛りの男の子にしてはあまり伸びていませんが」

「ほっとけ。俺はこれから伸びるんだよ。ん?おい。何で、お前はそんなこと知っているんだ?」

 定期的に、身長を部屋の柱に刻んでいるが、俺は親父やお袋には勿論、こいつにも言っていなかったはずだ。なのに、どうして知っている?

「前に、貴方の弟さん達が将来どれくらい伸びるのか知りたいと言っていました」

「まあ、確かに気になる話ではあるな」

 親父は比較的大柄だが、お袋は比較的小柄だ。身長に関しては、親父の家系の遺伝子が欲しいと思うものだ。

「なら、貴方がどれくらい伸びたかで、どれくらい伸びるか予測できると思って、5年間秘密裏に調査しました」

「………5年間もよくやったもんだな」

 弟達もだが、こいつも飽きっぽい性格なので、五年間も続いたことは感嘆を覚える。とは言え、その労力を俺の身長調査ではなく、他のことにして欲しいと思うが、こいつにそんなことを言っても、意味がないことは分かりきっている。

「一応、ゲンおじさんにも聞いてみたところ、彼は15,6には180オーバーしていたそうです。その話と調査結果を照らし合わせますと、彼らがどっちの遺伝子を貰ったかは分かりませんが、少なくとも、貴方はお母さん似です。貴方がどんなに望もうと遺伝子的にはもう無理だと思われます」

 こいつの言葉に、俺は思わず片足をつく。前に、弟達に身長が伸びる魔法はないのか、と尋ねてきたことがあった。その時は魔法で身長は伸びるもんじゃない、と言ってやると、悲しそうな表情をしていた。もし、身長を伸ばす魔法があったら、自分達の身長を伸ばす為ではなく、俺の身長を伸ばそうと思っていたのかもしれない。弟達の優しさは身に染みるが、同時に痛みを覚えるのはどうしてだろうか?

「………ま、まあ、馬車での長旅は疲れたと思うから、使用人に部屋まで案内させよう。それから、件の話をした方がいいだろう」

 この方達を部屋まで案内してあげなさい、と彼は使用人に告げると、使用人たちは俺達の荷物を持って、「こちらです」と、屋敷に入っていった。

 レイモンドさんが気を使って、話を変えてくれたのは嬉しい。だが、俺は青い鳥の宣告に思わぬダメージを負い、心の中で涙をぬぐったのは言うまでもない。


「―――例の魔法具を手に入れたのは先月のことだよ」

 俺達は部屋に荷物を置いた後、応接室に通されると、彼は使用人を下がらせ、そんな話をし始めた。

「とある伝手で譲り受けたものなんだがね。私のコレクションに加えたのだが、とある夜、雇っていた警備の者が不審者を見つけたという報告を受けたのだよ。幸い、その魔法具を盗られることはなかったが、その頃にはパーティーを開こうと、既に招待状を送ってしまった後だったし、その例の魔法具の為にパーティーをキャンセルするわけにもいかない。だから、君達に助けを求めたと言うわけだ」

 彼はそう言って、紅茶を啜る。

「………レイモンドさんの言いたいことは分かりました。ちなみに、そのパーティーは何の為に催されるんですか?」

 青い鳥がそうレイモンドさんに尋ねると、

「………パパ。今日も一緒に遊んでくれないの?」

 5,6歳くらいの少女がクマのぬいぐるみを抱いて、応接間に入ってくる。

「レイナ。お父さんはお客さんとお話し中だ。お母さんところに行っていなさい」

 彼はそう言いきかせるが、

「だって、ママは明日の準備で忙しいから、パパに遊んでもらうように言ってたもん」

 少女はそう言い返していた。この少女は彼の娘のようである。2,3年前にはこの少女や彼の奥さんの姿を見なかったので、その時は何らかの用で、屋敷にいなかったのだろう。彼女達が外出したタイミングがとてもよかったような気がするが、もしかしたら、彼の奥さんが使用人の企みに一枚噛んでいたのではないかという疑問を抱く。だが、この問題は過ぎたことであるし、俺達は部外者である。このことに関しては、俺が口出す問題ではないだろうと思い、頭を振る。

「………確か、君達は私の娘に会うのは初めてだったね。この娘は私の娘のレイナだ。レイナ、黒髪の青年が………」

「青い鳥と黒犬でしょ?」

「年上の相手に呼び捨てにするもんじゃない。済まないね、青い鳥君に、黒犬君」

「別に俺達は気にしていませんから、お気になさらずに」

 俺がライセンスを取った後、何故か、村のチビッ子達は俺のことを、「お兄ちゃん」から「黒犬」と言うようになってしまった。村のチビッ子の中で、俺のことをお兄ちゃんと呼んでくれるのは俺の可愛い弟達だけである。

 もしかしたら、村のチビッ子達は俺の名前など忘れてしまうので、不特定多数を指す「お兄ちゃん」と言っていただけであり、ライセンスを取った時は、一時、村でその話題が持ちきりだった為、自然と俺の魔法名が耳に入ってきたので、そう呼ぶようになっただけなのかもしれない。

 一方、青い鳥はレイナちゃんの所に行くと、彼女の視線を合わせて、

「初めまして、レイナ。明日、貴女の誕生日で合っていますか?」

「………う、うん。何で、私の誕生日を知っているの?」

 レイナちゃんは驚いた表情で尋ねてくる。俺も内心、驚いているが、こいつの類稀なる洞察力と観察眼が為せる技だろう。

「それは貴女のお父さんにご招待戴きましたので。ですが、貴女へのプレゼントを用意できませんでした。何か、私達に出来ることがありましたら、用意させていただきます。何かありますか?」

 こいつがそう言うと、

「………なら、私、武道大会で見た魔法が見たい!!」

 レイナちゃんはそう言ってくる。

「………そう言うリクエストのようですが、大丈夫ですか?」

「………アレはお前と翡翠の騎士の為にやった魔法だからな。レイナちゃんは好きな動物とかあるか?」

 俺がそう尋ねると、彼女は少し考え、

「………私ね、ペガサスに逢いたい!!」

 目を輝かせて、そう言ってくる。

「………ペガサスか。難しい注文だな」

 俺はボリボリと頭をかく。ペガサスはケロベロスや吸血鬼と言った幻獣種であり、この世界には存在しないことが発表されている。稀に、幻獣種を召喚する魔法使いが現れるが、それは召喚魔法の類ではない。かく言う俺の相棒であるケロベロスも召喚魔法ではないからである。それは黒龍さんが述べたように、具現化魔法の一種で、ケロベロスはもう一人の俺と言ってもいい。だから、ケロベロスが傷つくと、俺にも返ってくるわけである。

 その為、ペガサスを召喚することはこの世界の法則には存在しないため、不可能である。

「………ペガサスは馬に羽根を生やした生き物です。それを貴方の魔法で再現することは無理ですか?」

「お前の言いたいことは分かる。だがな、アレは術者である俺でも、分かっていないものだ。そんなものを人前でやって、暴走したら、危ないだろ?」

 鏡の中の支配者戦や黒龍さん戦で無意識に使った魔法。それは俺が完成させようとしていた複合魔法だったわけである。未完成だったはずの魔法を闘いの中で完成させることが出来たのか、自分でも分かっていない。その所為で、赤犬さんには「私に内緒で魔法を開発すとはいい度胸をしているな?」と半殺しに遭ったり、意味深な笑みを浮かべた黒龍さんには「面白い魔法だな。俺にも教えろ」と言い寄られ、たまたま出来たんです、と弁解したわけだが、そんな回答で納得してくれるわけもなく、「なら、あの時と同じ状況を作れば、出来るのか?」と、また死にかける目に遭ったことは言うまでもない。

 赤犬さんや黒龍さんなどに相談した今でも、あの魔法は全く分かっていない状態である。

「………でも、待てよ。馬に翼を生やすことが出来れば、何とかなるかもしれないな」

 付加魔法もしくは、幻術魔法を使えば、疑似ペガサスにすることができる。とは言え、幻術魔法を使ったと、赤犬さんの耳に入った時点で殺されてしまうので、付加魔法にするべきなのかもしれない。

「そうと決まれば、馬が一頭必要だな」

 レイモンドさんの敷地内で、たくさんの馬がいたので、その中にはペガサスのイメージに合う馬が一頭くらいいるだろう。後で、レイモンドさんにお願いするか。

「………じゃあ、ご希望に添えるか分からないが、明日の誕生日の時に見せるよ」

 俺がそう言うと、

「わーい!!ありがとう。お母さんやみんなに言わなくちゃ」

 レイナちゃんは満面の笑みを浮かべて、部屋から出ていってしまった。余程、嬉しかったのだろう。とは言え、馬に羽根を生やしてやるだけなのだが………。

「………黒犬君、私の娘が我儘を言って済まないね。無理なら、断っても構わないよ」

 レイモンドさんはレイナちゃんが出ていった後、苦笑いを浮かべてくる。

「流石に、本物のペガサスに会わせてあげることはできませんが、ペガサスを見せることは可能ですから。レイモンドさん、後で、馬一頭を貸してもらえませんか?ペガサスを作る為に必要なんですが」

「………ペガサスを作る?まあ、君が必要と言うなら、使用人に用意させよう。何か、ご要望はあるかね?」

「はい。白い毛並みで、できれば、何されても気にしない鈍感な奴を準備してもらえると助かります」

 何せ、背中にないものを生やすのだから、不快を感じるのは当たり前である。だからと言って、パーティーの時に、その所為で暴れられると困る。

「鈍感な馬と言われても、もともと馬は敏感な生き物だからね。何があっても動じない馬は………、いや、一頭だけいたね」

 彼はそう言って、青い鳥を見て、

「とは言え、あの馬は青い鳥君の許可がなければ、貸してあげることはできないがね」

 そんなことを言ってくる。

「それってどう言うことですか?」

 青い鳥に許可を取らなければ、貸せない?ちょっと待て。確か、レイモンドさんの屋敷に青い鳥所有の馬がいなかったか?そいつは………、

「………青い鳥弐号のことですか?別に、私は構いませんが?」

「それなら、貸すことはできるよ。後は、何処かに散歩してなければ、小屋にいてくれることだろう。その屋敷は後で、案内しよう。その前に、君達に例の魔法具を見せた方がいいだろう。私は鍵を取りに行かなければならないので、他の者にその場所へ案内させよう」

 彼はそう言うと、使用人を呼び、

「何かご用でしょうか?」

「警備の者を一人、この部屋に呼んできてくれないか?」

「かしこまりました」

 使用人はお辞儀をして、応接間から姿を消す。

「………使用人さんに案内はできないのですか?」

 俺は不思議に思い、そう尋ねると、

「案内出来ないわけではないが、アレは別館にあってね。万が一に備えて、私、もしくは私の許可がないものは入れないようにしているのだよ。私のコレクションが盗まれるのも痛いが、その所為で、使用人たちが怪我させるわけにもいかないからね。前、私のコレクションを使用人に管理させていたら、賊が侵入して、その使用人は重傷を負ってしまったことがあってね。それ以来は腕の立つ傭兵を雇って、警備をさせているのだよ。とは言え、彼らは仕事柄、愛想がないからね。案内役は向かないかもしれないがね」

 彼は弐が割を浮かべていると、

「レイモンド様、参りました」

 扉の向こうから、聞き覚えのある声が聞こえたのは気のせいだろうか?俺は無意識的に青い鳥の方を見ると、青い鳥も怪訝な様子を見せていた。

「………カニス君か。入りたまえ」

 レイモンドさんは当たり前のようにそう言ってくるが、 ちょっと待って下さい。カニスって、あのカニスじゃありませんよね?カニスって、名前はここら辺では珍しい名前だ。だが、こんなところに、警備していていいような人じゃない。と言うか、執行者は何をやってる?

 カニスとは同名の別人でありますように………。そう天に願うが、神様と言う人物は俺の願いなど耳にさえ入れてくれないのか、もしくは、俺が生きている間はストライキをしているのか分からないが、俺の願いは聞き届けられなかった。

 アッシュブロンドをなびかせて入って来たのは、数週間前会ったばかりの青年・カニスだった。

 俺は彼の姿を見て、絶句するしかなかったし、彼は俺達の姿を見て、口を開けてポカンとしていた。

 カニスは教会の象徴らしい神子様なので、こんな場所で、再会するのはおかしい存在だ。俺達に至っては平民なので、貴族と知り合いがいるはずがない(レイモンドさんが魔法使いの関係者なら、まだ知り合う可能性もあるわけだが)。

 そんなわけで、まさか、こんなところで、彼と遭遇するとは思わなかった。それは彼も同じかもしれないが………。

「………君達知りあいなのかい?」

 レイモンドさんはきょとんとしながら、尋ねてくる。

 カニスがここにいる理由は分からないが、恐らく、執行者の誰かが付いているはずである。肝心の執行者は見当たらないが、近くにいるのは間違いない。

 教会の仕事には古代文明の魔法具の保護があると、聞いた事がある。古代文明の魔法具と言っても、機能が死んでいるものは対象外らしいが、その執行者がカニスの護衛以外の任務を帯びているとしたら、レイモンドさんのコレクションは本物となる。

 実際、見てみないと分からないが、どちらにしろ、レイモンドさんは賊を雇っていることになる。それを思うと、俺は人知れず、溜息を吐くしかない。

 何故か、最近、執行者との遭遇率が高くなっているような気がしたのは言うまでもない。

誤字・脱字がありましたら、よろしくお願いします。

次回投稿予定は5月11日となります。

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