表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

鍵とトビラ


全ては幻想のように儚く、脆い


ソレはヒトとて同じコト──。


この世には三つ『鍵』がある。

一つは『生』の鍵。

『魂』という器が保管されているトビラを開ける。

二つめは『死』の鍵。

『魂』という器を壊し、その魂を常世トコヨへと繋ぐトビラを開ける。

そして、三つ目。

三つ目は『この世』の鍵。

『この世の鍵』はどの『世界』にも影響するカギ。

ある言い伝えがある。

『この世のカギが消滅、あるいは悪しきモノに渡った時世界は滅びる』

と。ありきたりだが、コレには深い理由があると一人の女性は考える──。


「『世界』は全てじゃない。自分が分かる範囲が『世界』よ」


『鍵』を管理する女性。『春夏秋冬 皐月』(ヒトトセ サツキ)。

皐月はいつも着物を着ている。柄はいたってシンプルで黒地に白色の蝶。『鍵』はどこに在るかは知らないが、常に自分が持っていると言う。


月の綺麗な晩、皐月は庭に居た。月は何を照らすコトもなくただ輝いている。


羅陵王ラリョウオウ。貴方のしようとしているコトは無理なのよ」


静夜に願うコト。

庭に誰かが入って来たようだ。

分からぬモノは永遠に分からない


入って来たのはまだ十歳くらいの幼い少女。少女は白色のワンピースを着ていて髪は肩ぐらいまで伸びている。


少し、足が透けている。


「今晩は。何か用かしら」

「……教エて下サイ」


少女が片言気味に話す。視線は地面を見ていてその瞳は虚ろ。


「何を?」

「自分ハ、どうなったノですカ……?」


皐月は微笑んだ。


「死んだのよ」

「やっぱリ……。どうすレばいいですカ……?」

「私が開いてあげる。逝く処は怖くないから。恐れないで」

「はイ……」


何かが合さるような音がした。

皐月の後ろが光輝き、その輝きは月の光よりも美しかった。

皐月の背後から黒色のトビラが表れた。

そのトビラは音をたてて、開き始めた。

トビラの向こうは見えない。


「──どうぞ」

「有り難うございまシタ」


少女はそれだけ言うと、トビラの向こうへと消えていった。

トビラは消え、輝いているモノは月の光のみだった。


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ