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アラタなオドリ 気がついたら異世界に行ってたんだが

作者: KENの龍人
掲載日:2026/04/26

 「タキ、今度の学園祭でヲタ芸一緒にやってくれよ」


人が少なくなり物静かになった教室のなか、親友であるサワに突然言われた。


「急にどうしたんだよ」


余りにも驚きサワにすぐ聞いてしまった。


「ほら、もうすぐ学園祭じゃん、これを期に注目を浴びて陰キャから抜け出そうぜ。上手くいけばモテるかもしれないし。」


煩悩まみれのその一言に呆れてしまった。分かりやすく例えるならば、痩せることをサボったやつがメガネを外したらイケメンになれると勘違いするようなものだ。そう思いながらサワに言った。


「今のままでもいいんじゃないか。変に目立つ方が危ないし。」


しかし、サワは


「いいや、せっかくの高校生活埋もれて終わるなんて嫌だ!確かに、変に目立って目をつけられるかも知れないが俺は本気だ。最後の学園祭で爪痕を残してやるよ」


真っ直ぐなその瞳はこれまでの色とは違い輝いていた。思わず感動してしまった、冗談のように言ってたがガチで本気だったなんて。


「仕方がないな、良いよやってやるよ。」


そこから数日たち、気付けば学園祭本番になっていた。しかし、今でも思い出す。あの地獄のよう練習を。なんで運動出来ないのにヲタ芸すんだよ。しかも、サワは下心の方が大きくなんだか急に裏切られた気分だ。


「おい、タキ着替えしに行くぞ」


声を聞くだけでもイラついてきたがアイツも頑張ってたし俺も精一杯やっろう。そして着替えるために人がいない階段に行きサワから衣装を渡された、制服で良いのにやっぱり熱意はあるのか?渡された衣装はまさかの赤と黒のチェック柄だった。どこかで見覚えがある、あれは前にサワとアキバに行った時見たことがある服。


「おい、サワ。これはなんだ?まさかこの衣装でやるって言わないよな」


「何言ってんだタキ。そのために買いに行ったんだろう」


終わった。二年半、穏やかに生活してきたのに。これは絶対笑われる。着替え終えペンライトを持った時、だんだんと怖くなってきてしまった。


「大丈夫だよ。ある程度出来てたらバカになんかされないから」


そう言われサワに背中を勢いよく押された。あれここって階段だよね?このままだと


短い人生だったかな、打ち所が悪かったらもしかしたら死んでるかもな。しかし、なんだ?耳が弾けるほどウルサイ。


「ぃ、おい!こんなとこで寝てんじゃねー!」


ビックリして目が覚めたが見慣れない風景が広がっていた。あれ、ここは何処だ?さっきまで学園の階段にいたよな。オタクの思考をフル稼働させてたどり着いた結果


「もしかして異世界なのか!」


木造の建物、中世辺りの服装。剣と杖。絶対そうじゃん。やばい、行きなり過ぎて追い付けない。これはいわゆる異世界転移ってやつか。どうしたものか、言葉は分かるがこれからどうしろと。そんなことを考えていると背中に寒気が


「おい。坊主」


「ヒッ」


厳ついスキンヘッドに声をかけられた。


「な、なんでしょうか?」


恐る恐る聞くと


「ここに来たからにはこの大会に出てもらうぞ。」


え?なんで


「何にですか?」


「ここは参加自由の踊りの大会だ。が、そんな場所でなにもしないで帰るってのはマナー違反だ。」


いや、本当に行きなり過ぎる。


「お前にもメリットはある、この大会で一番盛り上げたやつに賞金1200Goldが渡される」


通貨を手に入れられるのか。この先のために資金を手に入れてた方がいいな。


「分かりました。」


そう言うとスキンヘッドの男はニヤリと笑った。


「それじゃあ、お前はこの次にあそこのステージの真ん中で踊ってもらう。順番が来るまで前のやつでも見学してろ」


俺が出来る踊りと言ったらヲタ芸だけだぞ。だが、それでも行けると思えた。俺の前のやつを見て確信した。異世界での民族特有の用な踊りだった。リズミカルなこの音には合ってはいるが、観客達はもう既に飽きてしまってるようだった。そうしているうちに俺の番が近付いてきた。


「出番だぞ。行け」


そう言われステージの真ん中に立った。

サイリュームは長持ちしないからペンライトの方で良かった。大勢の人に目線を向けられている。まだ人慣れしてないってのに、でも

やってやるよ!

まずは、音楽に合わせてペンライトをつける。


「なんだ、あれ。魔法ではないように見えるが」


外野からの声が聞こえてきた。そうか、この世界では科学があまり発展してないのか。後ででも詳しく聞こう。

序盤は、基礎のODAから、他の技に比べ比較的簡単である。そこから、次はレクイエム。合間に18トーチをつけ、ロザリオ。かなり滅茶苦茶な構成になってるけど、ここだと何とか誤魔化せる。そろそろ終盤になってきた。ロマンス警報してからの、ロマンス!

っやりきったぞ。どうだ?いや、でも外野が静かすぎる。あれもしかしてやらかした?


「おい」


あ、これヤバい。終わったかもしれないな。


「一体どうやったんだ?薄暗いこの会場が一気に雰囲気が変わっちまったぞ。ほら、他の観客たちも声を失ってる。おい!みんなこいつに勝てる奴はいるか?居ないならこいつが今回の大会の優勝者だ!」


スキンヘッドの男の一声で会場が一気に熱気が上がり、観客達の声で地面が揺れるほどの歓声が出ていた。

あ、ヤバい。なんか楽しい!サワ、俺こっちでもやっていけそうだ。


「よかったね、タキ。」


あれ?今、サワの声がしたような。

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