表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王城の保育園は今日もてんやわんや!~バブ堕ちスキルと100均グッズで、今日も園児を溺愛してます~  作者: サンキュー@よろしく


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/31

第31話 マミ君と魔法の包帯 カサカサお肌に潤いを! その2

 園庭の砂場には、子供たちの楽しげな声が響いていた。

 その中心にいるのは、100均の『自着性包帯(迷彩柄)』で全身をコーディネートしたマミー族のマミ君だ。


「行くぞー! 砂の建築(サンド・ビルド)!」


 マミ君が両手を掲げると、砂場の砂が生き物のようにうねり、みるみるうちに巨大なピラミッドを形作っていく。

 いつもなら「包帯がズレるから」と遠慮して使わなかった魔法を、今日はフルパワーで使っているようだ。


「すげー! マミくん、でっかい!」

「もっと大きくしてー!」


 ドラゴンのリュウくんや、アリスちゃんたちに煽られて、マミ君のテンションは最高潮に達した。


「まかせてよ! ボクは今、無敵なんだ! この最強の包帯がある限り、ボクは砂漠の王だー!」


 マミ君の魔力が興奮と共に膨れ上がる。

 すると、その影響で砂場の砂たちが過剰に反応し始めた。

 最初はただのお山作りだったはずが、いつの間にか園庭全体の砂や土がザワザワと震え出したのだ。


 ザザーッ……。ヒュオオオ……ッ。

 突風が巻き起こり、舞い上がった砂が視界を遮る。


「む? 風が出てきましたね」

 洗濯物を取り込んでいた雑用係の影魔族・ザックさんが空を見上げる。


「痛っ! 目が、砂が!」

 

 マミ君を中心に、小規模な『砂嵐サンド・ストーム』が発生しようとしていた。

 乾燥と強風のコンボ。これはマミー族の高揚した感情が引き起こす自然現象だ。


「あはは! すごいぞ! 空飛ぶ砂だ!」

 マミ君は自分が嵐の中心にいることに気づかず、舞い上がる砂と一体化して遊んでいる。包帯がしっかりガードしてくれているおかげで、彼自身は全く苦しくないのだ。

 でも、周りのお友達はそうはいかない。


「きゃーっ! おめめにはいるー!」

「ペッ、ペッ! 口の中がジャリジャリするぞ!」


 アリスちゃんやリュウくんが顔を覆って逃げ惑う。

 せっかく作った泥団子も風で粉々になって飛んでいく。


(あぁん、もう! マミ君、楽しそうなのはいいけど周りが見えてない! 「ボク最強!」って顔してる無邪気さが可愛いけど……みんなが迷惑してるわ! それに、そんなに暴れたら、いくら100均の包帯でも限界が来ちゃう!)


 砂煙が保育室の中にも入り込みそうになったその時、私は『100均市場ディメンション・マーケット』で『100均メガホン』を取り出し、嵐の中に割って入った。

 暴風でスカートが煽られ、髪が乱れるが、構うもんか。


「マミくーーーんッ!!」


 砂煙の向こうで、浮き上がった砂の玉座に座っているマミ君が見えた。


「先生、見て! ボクの国だよ!」


「国じゃありませーん! そこはみんなの園庭でーす!」


 私は風上に向かって仁王立ちした。

 両手の拳を腰に当て、思いっきり頬をプクーッと膨らませる。

 砂除けのために薄く目を開け、マミ君をキッと睨みつける。


「もう! 調子に乗って砂を撒き散らして、お友達に迷惑をかけちゃ、【めっだよ!】」


 スキル発動――【絶対規律《めっだよ!》】。


 ズパァァァンッ……!!


 ピンク色の衝撃波が、螺旋を描いて吹き荒れる砂嵐を内側から食い破るように炸裂した。

 それは風圧よりも鋭く、しかし温かく、マミ君の浮ついた心を直撃する。


「はうっ……!?」


 玉座に座っていたマミ君が、胸を押さえてビクッと震えた。

 周囲の暴風が一瞬にして凪ぎ、舞い上がっていた砂たちがサラサラと優しく地面に戻っていく。


 私はスタスタとマミ君の元へ歩み寄り、彼の手を引いて地面に降ろした。


「マミ君、包帯がズレなくて嬉しかったのは分かります。でも、自分の力でお友達を困らせてはいけませんよ。見てごらんなさい、みんなのお顔を」


 マミ君が恐る恐る振り返ると、砂まみれになったリュウくんやアリスちゃんが、目をこすりながらプンスカしていた。


「マミのバカ―! 泥団子が壊れちゃったじゃない!」

「口の中が砂の味しかしないぞ!」


「あ……ご、ごめん……ボク、つい嬉しくなっちゃって……」


 マミ君がシュンとうなだれる。その頭から、パラパラと反省の砂がこぼれる。

 しょげている彼に、スカル先生が近づいてきた。


「ふむ、力の制御は心の制御ですぞ。しかし、この『くっつく包帯』……これほどの暴風と魔力膨張にも耐えるとは、耐久性は実証されましたな」

「そうですね。マミ君、この包帯は強いでしょう? だからこそ、マミ君自身の心も強く優しくなってくださいね」


 私が『ミストスプレー』を取り出し、マミ君の顔についた砂埃を拭いてあげながら言うと、彼はこくりと頷いた。

 

「うん……分かった。ボク、この強い包帯に似合う、かっこいい王様になるよ」

「えらいえらい」


 その後、マミ君は償いとして、自分の魔力を繊細に使って、アリスちゃんたちのために本物の宮殿のような美しい砂のお城を作り上げた。

 今度は砂嵐など起こさず、みんなと一緒に泥だらけになって笑い合っていた。

 迷彩柄の包帯は少し汚れてしまったけれど、しっかりとマミ君の体を守り続けていた。


 お迎えの時間が来て、みんなで「さようなら」をする頃には、中庭の砂場には立派なピラミッドが夕日に照らされていた。

 明日の朝には風化してしまうかもしれないけれど、子供たちの記憶には、強くてカッコいいマミ君の姿がしっかり残ったはずだ。


————————


連絡帳マミくん

ヒナより保護者様へ

今日は砂場で泥んこ遊びをしました。

マミ君は「包帯がズレるのが心配」と言っていましたが、自着性の包帯(迷彩柄)を上から巻いて補強すると、とても安心して遊ぶことができました。

嬉しさのあまり、魔力を使って少し砂嵐を起こしてしまうハプニングもありましたが(お友達も砂まみれになりましたが、すぐに仲直りしました)、その後は反省して、とても素晴らしい砂のお城をみんなに作ってくれました。

マミ君の砂の魔法、本当に芸術的で見とれてしまいましたよ。

迷彩柄の包帯は使い捨てですが、何度か巻き直せます。お肌の乾燥が気になるようでしたら、一緒にお渡ししたスプレー(ただの水と少量の保湿剤です)をかけてあげてください。


マミのファラオより

いつも息子がお世話になっております。

帰宅した息子の姿を見て、最初は新種のゴーレムかと思いましたが、あの派手な柄の包帯をひどく気に入っているようです。「これは王者の証だ」と言って、入浴時(砂浴び)にも外そうとしません。

家でも、頂いた霧吹きで自分の顔に水をかけながら「潤いチャージ!」などと叫んでおります。美意識に目覚めたのでしょうか。

以前は体が崩れるのを恐れて部屋に引きこもりがちでしたが、今日は「明日も友達と城を作るんだ」と目を輝かせていました。

息子の心と体を補強していただき、心より感謝いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ