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魔王城の保育園は今日もてんやわんや!~バブ堕ちスキルと100均グッズで、今日も園児を溺愛してます~  作者: サンキュー@よろしく


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第25話 禁断の錬金術!? コンタクト液で命を生み出す実験 その2

「すごーい! キラキラしてる!」

「見て見て! ボクの青いの、宇宙みたいだぞ!」


 教室はおおはしゃぎだった。

 アリスちゃんは、金色のラメを混ぜたピンク色のスライムを光にかざし、リュウくんは銀色のラメを入れた青いスライムを練り消しのようにこねている。

 洗濯のりとコンタクト液が起こした化学反応、そこに加えられた100均のネイル用ラメパウダー。

 それが生み出したのは、宝石のように美しく輝く、魅惑の粘体だった。


「うぬぬ……見れば見るほど興味深い輝きだ」

 最初は警戒していたスカル先生も、テーブルの端で出来上がったスライムをルーペで観察し始めた。

「この微細な光の粒子……ラメパウダーですか。光を反射して輝くとは、視覚的にも美しい。子供たちの感性を刺激する良い教材ですな」


「ええ、とっても綺麗でしょう?」


 私がスカル先生に説明しようと、ふと子供たちから目を離した、ほんの数秒のことだった。

 

 ズルリ……。


 テーブルの上で、音もなく忍び寄る一つの影があった。

 本物のスライム、プルちゃん(0歳)だ。

 彼のつぶらな(?)心の眼は、子供たちの手元にある「自分より綺麗でチヤホヤされているニセモノたち」に釘付けになっていた。


「ぷるるー!」


 プルちゃんの嫉妬心と羨望に火がついた。

 彼はスライム族としての本能に従った。「良いものは取り込め」と。


 プルちゃんは音もなく体を広げ、平べったい膜のようになると、テーブルの上の完成品たちへと覆いかぶさった。


 パクッ。

 チュルルンッ。


「あれ?」


 私が再び子供たちの方へ向き直った時、そこには不思議な光景が広がっていた。


「あれー? アリスのスライムがない!」

「ボクのもだ! どこいった!?」


 子供たちがキョロキョロしている。

 そして、テーブルのど真ん中に、見たことのない「生き物」が鎮座していた。


 それは、プルちゃんだった。

 けれど、いつもの水色の半透明な彼ではない。


「ぷ、プルちゃん……?」


 彼の体の中では、アリスちゃんが作ったピンク色、リュウくんが作った青色、ザックさんが作った黒色、それぞれの人工スライムがマーブル模様のように渦巻いていた。

 さらに、それぞれのスライムに含まれていた金や銀のラメパウダーが、プルちゃんの体内全域に拡散し、シャンデリアのようにギラギラと発光していたのだ。


 水色、ピンク、青、黒。そして無数の星屑の輝き。

 それらがプルちゃんの粘液の中で対流し、刻一刻と模様を変えていく。


「ぷるんっ!」


 プルちゃんが得意げにポーズをとった。

 彼は七色に輝く「レインボー・ゴージャス・スライム」へと進化を遂げていたのだ!


「ええっ!? た、食べちゃったんですか!?」


 私が駆け寄る。


「ヒ、ヒナ先生! こいつはマズいですよ!」


 ザックさんも慌てるが、プルちゃんは至って元気そうだった。

 むしろ、いつもより張りがあり、モチモチしている。


「ぷるる~♪」


 プルちゃんが体を揺らすと、体内のラメが万華鏡のようにキラメキを放つ。

 どうやら、人工スライムを消化したのではなく、自分の体を構成する粘液の一部として「融合・同化」させてしまったらしい。

 魔物のスライムの体は不思議だ。物理的な異物すらも、自分のファッションとして取り込んでしまうのか。


「おぉぉぉ……!!」


 それを見たスカル先生が、感極まった声を上げて膝をついた。


「ま、まさか……異素材との融合をこれほど完璧に行うとは……! 異なる属性(色)の元素を体内で調和させ、光の粒子ラメを纏って覚醒したのですな! これぞスライム族の進化の可能性……実に興味深い!」


 スカル先生の熱い分析を聞いて、最初は「取られたー!」と怒りかけていた子供たちの表情が変わった。


「にじの……ていおう?」

「すっげー! プルちゃん、めちゃくちゃカッコいいぞ!」

「ほんとだ! 宝石箱みたい!」


 リュウくんとアリスちゃんが目を輝かせてプルちゃんを囲む。

 みんなの注目を一身に浴びて、プルちゃんのご機嫌は最高潮に達した。


「ぷる! ぷるぷる!(ボクが一番すごいでしょ!)」


 彼はテーブルの上でボヨンボヨンと跳ね回る。

 着地するたびに、体の中のラメが舞い踊り、ピンクと青のインクが新たなグラデーションを描く。


(きゃーっ! プルちゃん、なんて綺麗なの! お友達のスライムを取り込んで、こんなに素敵に変身しちゃうなんて! そのドヤ顔も、キラキラ輝くボディも、全部まとめて愛おしい!)


「あらあら……お腹、壊さないでしょうか」


 私が心配して触診してみるが、プルちゃんの体はひんやりとして気持ちよく、毒素の反応もない(そもそも彼は酸で金属すら溶かす種族だ、洗濯のりくらいはへっちゃらなのだろう)。

 触り心地も、いつもの水っぽい感じに、100均スライムのモチモチ感が加わって、極上の低反発枕のようになっている。


「まあ、プルちゃんが嬉しいなら……実験成功、ということにしておきましょうか」


 結局、お迎えの時間になっても、プルちゃんの虹色は戻らなかった。

 インクとラメが完全に馴染んでしまい、彼はキラキラ光る七色のスライムとして一日を過ごすことになったのだ。


 みんなで彼を囲んで、「ここのピンクのところがかわいい!」「黒いとこが強そう!」と品評会を開いた。

 自分の作ったスライムはなくなってしまったけれど、お友達がこんなに綺麗に変身したことが、子供たちにとっても一番の驚きと喜びだったようだ。

 プルちゃんも、「ボクが主役だ!」とばかりに胸(?)を張っていた。


 その日のひだまり保育園は、どんよりした雨雲を吹き飛ばすほど、カラフルでキラキラした笑顔に包まれたのだった。


————————


連絡帳プルちゃん

ヒナより保護者様へ

今日は雨でしたので、お部屋で「手作りスライム実験」をしました。

洗濯のりなどの材料を混ぜて、カラフルでキラキラしたスライムを作っていたのですが……ほんの少し目を離した隙に、プルちゃんがお友達の作ったスライムをすべて体内に取り込んでしまうハプニングがありました(汗)。

お腹を壊したりはしていないようですが、その影響で、プルちゃんの体が虹色のマーブル模様になり、体の中からラメが輝くゴージャスなお姿に変身してしまいました。

ご本人は「見て見て!」と言わんばかりに輝きながら跳ね回り、お友達から「王様みたい!」と絶賛されてご満悦でした。

時間が経てば、取り込んだ成分が抜けて元の水色に戻ると思いますが、しばらくは七色に輝くプルちゃんをお楽しみください。

ご家庭での健康観察だけ、念のためよろしくお願いいたします。


母(ゼリー夫人)より

先生、ご報告ありがとうございます。

帰宅したあの子を見て、一瞬、宝石商が迷い込んできたのかと思いましたわ(笑)。

いつもは涼しげなソーダ色なのに、今はまるで夜会のドレスのように煌びやかで……思わず夫と二人で拍手してしまいました。

プル本人もその姿が気に入ったようで、家中の鏡を見て回ってはウットリとしています。

「他の子のスライムを取り込んで、自分の輝きに変える」……さすがは我が息子、スライム族としての貪欲さと美意識の高さを感じます。

今の色合い、とても上品で素敵ですわ。元の色に戻るのが少し惜しいくらいです。

今のうちにたくさん記念写真を撮っておこうと思います。

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