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喋る猫さんとルームシェアをはじめます  作者: 仁井田ふゆる


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3. 凄腕料理人 にゃーる

書きたいだけ書いたら文字数が多くなってしまいました……

 

「ふんふふーん♪」


 目が覚めると、楽しいそうに鼻歌を歌いながら窓の外を眺めているにゃーるがいた。


(起きたら実は夢でしたーとかじゃなかった)


 お外の風景がとても興味深いのか、鼻歌を歌いながら頭を左右にゆらゆらさせてキョロキョロと窓の外を見ている。

 可愛いからしばらく眺めていたい。


「ふふっ」


「あっ!るいさんおはよう!お外にいっぱい人がいるよ。びゅーんって速い箱もいっぱい」


「おはよう。あの速い箱はね、『車』っていう乗り物だよ」


「くるまっていうんだ!ぼくも乗ってみたい」


「後で車に乗っておでかけしようか」


「やったー!おでかけ♪おでかけ♪」


 嬉しそうにくるくる回ってはしゃいでいるにゃーるはとても可愛い。精神年齢的には小学校低学年くらいの設定なんだろうか。無邪気で好奇心旺盛で母性がくすぐられる。


 早くお外を見せてあげたいが、先にご飯だ。私は朝しっかり食べる派である。

 そこでふと疑問が浮かんだ。

(にゃーるは食事をとるのかな?)


 ゲームの中のお家にはキッチンがあったし食べるんだろうけど、見た目はぬいぐるみだ。本人に一応聞いてみよう。


「にゃーるはご飯食べる?」

 ぐうう


 にゃーるが恥ずかしそうにお腹をさする。


「ごはんって聞いて、先におなかがお返事しちゃった」


「ふふっ、食いしん坊さんなお腹だね。朝ごはんにしようか」




○ ○ ○ ○ ○




 笑い合いながらキッチンに移動する。ぴょこぴょこと歩くにゃーるも可愛い。歩く度に音が出る靴を履いたらもっと可愛いだろうな。ウキウキしながら歩くにゃーるが目に浮かぶ。

(よし今度買おう)


「ごはん何にしよっか?」


「あっ……今食パンと卵しかなかった……」


 いつも土曜日にまとめて1週間分買うから、今冷蔵庫の中はほぼ空だ。


「食パンに卵もあるのー!それなら僕がいつも食べてるごはん作ってあげるよ!」


「お料理できるの?!確かにゲーム内にキッチンはあったけど、食材はなかったよね?」


「へへへ、実はぼくにはいろーんな機能が備わっているのです!」


 そういってにゃーるはどこからともなく白地に水色の肉球が大きく刺繍された長財布くらいの大きさのポシェットを出現させた。


「え!どこから出したの?!」


「これは『ないない』魔法!見ててねー?じゃじゃーん!」

「え?!」


 そういうとポシェットの中からフライパンにフライ返し、牛乳を取り出した。

 見るからにそのポシェットには入りきらない大きさと量だ。普通ではありえない。


「すごいでしょー?ポシェットに魔法かけたんだ。パパっと作っちゃうね」


 その場でクルッと回ったにゃーるは光に包まれたかと思うと、一瞬でエプロン姿に変わっていた。水色の生地で胸のところに白い肉球のワンポイントが付いた可愛いものだ。


「卵と食パンくださいな」


「……あっ、そうだね今出すよ!」


 驚きで固まっていた体を動かし、冷蔵庫から卵と食パンを取り出してキッチンに並べる。


 にゃーるはポシェットの中から踏み台、ボウル、泡立て器、砂糖にバターを新たに出し、手馴れた手つきで調理を始めた。


 丸い猫のおててでどうやって掴んでいるのかわからないが、卵を手に取りボウルに割り入れていく。殻はポシェットを出したときみたいに『ないない』しているようだ。


 ボウルに牛乳、お砂糖を入れ泡立て器で混ぜる。混ざったら食パンを浸す。その後、何か呪文を唱えている。すると、にゃーるの肉球からキラキラと光が出てボウルを包み、食パンがみるみるうちに液に浸っていく。


「それも魔法なの?」


「そうだよ!これは『時間グルグル』魔法!好きな範囲の時間の流れを前とか後ろにグルグルできるんだ」


「へー便利だね」


「お料理失敗しても、この魔法があれば何度でも作り直しできちゃうんだ。生まれてすぐはお料理失敗続きだったから何度も『ぐるぐる』したよ……」


 にゃーるが遠い目をしている……

 何度も作り直したんだろうな。にゃーるは努力家らしい。


 フライパンを熱してバターを入れ、弱火にした後フライ返しで液が染みた食パンを投入。

 じゅわーという音と共に甘い香りがキッチンを包む。

(私より手際がいい……)


 裏面も同じように焼いたら、お皿に盛りつける。同じようにもう1枚の食パンも調理して、仕上げに蜂蜜をかけて……


「完成!にゃーる特製『フレンチトースト』!」


(レシピ本に載っててもおかしくないクオリティだ……)


 リビングに移動して、テーブルにお皿を並べる。

 にゃーるはまた『ないない』を使って自分の大きさに合わせた椅子を出し、よじよじと登って座る。


「美味しくできたかな?早く食べて食べてっ」


 眉を下げて心配そうにこちらを見つめるにゃーるに急かされ、いただきますとひと口。


「?!」


 あまりの美味しさに目を見開く。以前、お店で食べた味より数段美味しい。トロッとしてて、でも耳はカリカリ。焼き加減も最高。ジュワーと染み込む蜂蜜がまたいい味を出している。


「ど、どうかな?」


「お店開けるレベルだよ!とっても美味しい!今までで食べた中で一番!」


「ほんと……?よかったぁ!お料理は得意分野なんだ!」


 両手を腰にあてて、えっへんとポーズを取るにゃーる。可愛い。



 にゃーるの今までのお料理の失敗談を聞きながら、久しぶりに楽しいご飯タイムを満喫した。


(久しく誰かとご飯食べてなかったな。他の人――にゃーるは猫だけど……のご飯も三年ぶりだな)


 朝ごはんを食べただけでとても幸せな気持ちになった。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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