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喋る猫さんとルームシェアをはじめます  作者: 仁井田ふゆる


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2. 神のいたずら

 オルゴールの優しい音色と共にタイトルが出てくる。

 『にゃーるとくらそ』

 Aボタンを押して進むと、森の中にあるふわふわの雲のようなものでできた小屋が現れた。その扉をノックすると猫のおぬいぐるみのようなにゃーるが現れた。


 白と黒のシャム猫のような見た目でお目目は青。猫だけどタレ目で可愛らしい見た目だ。


「初めてのお客さんだ! ぼくはにゃーる。あなたのお名前は?」


 佐原瑠依さはらるいっと。あっ、違う違う。たぶんこれは呼んでもらう名前だ。

 フルネームで呼ばれるのはなんか違う。るいと打ち変えて決定ボタン。


「るいさん! よろしくね。よかったらおうちで一緒に遊ぼうよ」


 おうちに入ると暖炉、キッチン、ソファ、テーブル。基本的な物のみでほかにはあまり家具がない。


「ぼくあまりお外のこと知らないから、色々教えてほしいな。まず君の好きなものを教えて」


 3つの枠が出てくる。

『ねこさん』『アニメ』『お野菜』っと。


「そんなものが外にはあるんだね! これからも色々教えてほしいな」

 きゅるきゅるのお目目でおねだりポーズ。可愛すぎる……。


『いいよ』『やだ』

 いいよボタンを連打した。


 すると何故かゲーム機本体が輝きだし、咄嗟にゲーム機から距離をとる。

「え! なに、爆発する?!」


 ♪リンゴーン♪

『神に願いが届けられました。今から転移を行います』


(え? なにこれ……? 転移って言った?)


 急に頭に響いた声を聞いて、これは最近はやりの異世界召喚ではとひらめいた。

(現実に起こることなんてあるんだ……)

 疲れすぎた脳は考えることをやめ、現実を受け入れようとしていた。


 目を開けていられないほどの光が止み、目を開くといつもの部屋の風景。


(あれ? 転移は?)


「うぅ……ここどこぉ……」


 ばっと後ろを向くと、そこには涙目になったにゃーるの姿があった。


『可愛いので私の世界に連れてきました。瑠依、世話は頼みましたよ。』

「……え?」


 私じゃなくてにゃーるを転移させたってこと?!

 オロオロしていると、ついついっと袖を引かれた。


「あなたがるい? さっきまでお話してたるい? ここどこ……」

「ここは私のおうち。神様があなたを攫ってきたみたい。でも安心して、私がちゃんと面倒みてあげるからね」

「じゃあここは外の世界なの……? ぼくずっとお外に出て見たかったんだー。おうちの周りには透明な壁みたいなのがあって出れなくて、半年もずっと閉じ込められてたの……」


「ゲームの中ってそんな感じなんだね。お外怖くない? 大丈夫?」

「冒険みたいでわくわくしてる!」


 にゃーるはポジティブな性格みたいだ。こっちに来たての頃は泣きそうだったから心配していたが、状況がわかれば大丈夫そうだ。


「じゃあ今度私のおうちの中だけじゃなくて、広いお外も見てみよっか」

 キラキラしたお目目でうんうんと頷き、ちょっと小躍りしている。

(かわいい)


「今日はもうとても暗いから、一旦寝て明日冒険しようね」

「うん! ぼくたのしみ」


 ベッドで今日は一緒に寝ることにした。何故か壊れているゲーム機をサイドテーブルに置き、にゃーるを抱きしめる。ぬいぐるみみたいな見た目なのに、にゃーるには温もりがあった。


 横になった途端スヤスヤと寝息を立て始めたにゃーるを見つめながら、これからからのことを考える。

(受け入れちゃってるけど、これ現実だよね……)


 こんな喋るぬいぐるみが世間にバレたら大事になってしまうだろう。お外に出るときはぬいぐるみみたいにしててとお願いするしかない。


(喋るぬいぐるみかー。お仕事から帰ったらこの子がいる生活……いいかもしれない)

 神様の気まぐれに巻き込まれてどうなる事かと思ったけど、にゃーるは素直でいい子だし何とかやっていける気がする。


 何はともあれ、明日になってから色々考えよう。そう結論づけて目を閉じた。

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