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#1-57:開戦の前触れ

【本日もよろしくお願いいたします!】

本日の投稿は、この#1-56からスタートです! ~評価やリアクション等、ありがたい限りです~

ささっと一言:「最近、少し歴史的な調べものをしていまして、更新が止まっていましたが、今日から再開です。。。愚鈍筆者にお付き合いいただき、恐縮です!」


これからも、どうぞよろしくお願いいたします!


衛国が魯国に15万の大軍を差し向けた。

その報は、既に()の国の知れ渡るところとなっていた。

「うーん....」玄岳国国王、玄岳王牙は低い唸り声をあげていた。

もし、魯国が滅ぼされれば、次は、間違いなく、自分たちの番であったからだ。

魯国が東を取った後、反対の景国や沙嵐国を攻め、戦線を横に広げることは考えにくかった。

連合軍戦での敗戦の影響が残っている玄岳国を攻め、背後を安定させるのが、定石なように思えた。

「我が国はどうすればよい?」玄岳王牙は居並ぶ将軍たちを集め、軍議を開いていた。

すなわち、今、衛国を無理を押してでも、攻めるべきか否か。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

軍議には、『玄岳四堅』をはじめとする、玄岳国のほぼすべての将軍たちが集まっていたが、軍議の行く末の決定権は、結局のところ、『玄岳四堅』に委ねられていた。

『玄岳四堅』は精強な軍を持ち、戦の才はこの国では突出していた。

しかし、それ以上に、踏んできた場数が、そしてその質が並みはずれていた。

才というのは、戦に身を投じれば投じるほど、研ぎ澄まされていく。

そして、それは「将」の言葉の重みになるのだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「攻めるべきです!」そう声を張り上げたのは、『玄岳四堅』の嶄其(ぜんき)であった。

『玄岳四堅』の中では最も若い将であり、そして今、最も勢いのある将だった。

「魯国が滅べば、次は我が国でしょう!衛国の国境線を突破し、即刻攻め込むべきです!」

しかし、そんな嶄其に疑問を呈したのが、同じく『玄岳四堅』の一人、曹逼(そうひつ)であった。

「そもそも、衛国は魯国を滅ぼせるのか?わしはそこが甚だ疑問だ。何より、衛国が今、天下で最も勢いのある国ではあるが、魯国を滅ぼし、さらに我が国を攻め落とす兵力と物資を持っているとは到底思えぬ。仮に、魯国を滅ぼし、その兵力や物資を補填したとしても、我らだけでなく、沙嵐国や景国が黙っておるまい....なにより、わしは、同じ『玄岳四堅』と言えど、鉄豪や厳冰と違い、強いからな....ガッハッハ!」

曹逼の言葉に反発したのか、軍議は一気に熱を帯びていった。

「曹逼将軍!言いすぎですぞ!」

「曹逼様は一度も厳冰様に、模擬戦で勝ったことがないではござらぬかっ!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

軍議に入る熱が加速していく中、鉄豪が徐に口を開いた。

鉄豪は、白狼山脈の敗戦で負った傷をすでに完治させていた。

「皆様方、落ち着かれよ!騒いでも何も始まらぬ!総軍師 雷鋒様亡き今、我らは一つにならなければならぬ!」

鉄豪の一言は、白熱していた場を瞬く間に収めた。

鉄豪は『玄岳四堅』の中では、いまや、序列が最も下であったが、「人に好かれる」という意味では、他将の群を抜いていた。

ゆえに、雷鋒亡きあと、鉄豪の存在は、文官と武官を、そして王と臣下を繋ぐ糸のような存在でもあった。

鉄豪は、少し息を吐くと、冷静に言葉を紡いだ。

「今、まず見極めるべきは、衛国が魯国を滅ぼした後、玄岳国を攻めるのか否かについてです。嶄其殿のご意見は?」

「はっ!否であると思います!衛国にそこまでの余裕があるようには到底思えませぬ!」

嶄其はそう言うと、鉄豪にすっと会釈をして、一歩下がった。

「曹逼殿も嶄其殿と同じでよろしいかな?」

「ああ、そうじゃな。奴らにそこまでの力はない」

曹逼はきっぱりと言い切った。

「私もそのように思います。衛国は勢いがありますが、魏鉄山を失ったとはいえ、『魯三傑』にはまだ、徐鋒がおりますし、何より、昶毅がおります。この二人をっ超える力が、伯志文に、そして衛国にあるとは思えませぬ....」

鉄豪は志文の力を身に染みて、知っていた。

「少なくとも、今、最も警戒すべきは伯志文である」そう、鉄豪は思っていた。

「厳冰殿はどう思われますか?」

『玄岳四堅』の三人がすでに「否」との答えを出していたが、それでも鉄豪は厳冰に尋ねた。

尋ねたとして、結果がどちらでも、厳冰の言は重みがあったからだ。

なにより、それは、若き日から『景七師』や『沙嵐六猛』の猛者たちと肩を並べ、伯明をはじめとした多くの敵を沈め、玄岳国を支えてきた将への畏敬の念でもあった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

厳冰は冷静な面持ちで口を開いた。

「なんとも言えぬ....伯志文、あれは才があるからな...」

厳冰の言葉はたちまち軍議に衝撃を与えた。

玄岳国の子供たちが最強を夢見て、厳冰の背を追っているのだ。

そして人を全くと言っていいほど認めない、あの厳冰が、しかも敵将を認めたのであった。

文官たちがなにやら騒いでいるようだったが、厳冰が片手を上げると、たちまち口を(つぐ)んだようだった。

「どちらにせよ、今は攻めるべきではない。今、攻めれば、沙嵐国が来る。魯国とは密盟を結んではいたが、この際、破棄するしかないであろう。我らにそこまでの余裕はないからな...景国が徴兵を始め、衛国との国境の要塞を改築しているそうだ。ゆえに、衛国は後顧の憂いを断つために、魯国を攻めるのだろう。成功するかはともかくとして、衛国が備えているのは、景国に対してだ。我らに対してではない。ゆえに、攻めるなら、景国と同時に攻めればよかろう...」

厳冰の言葉を以て、軍議は終結を迎えた。

玄岳国は見守ることを決めたのであった。

そして、それは景国や沙嵐国、南黎国も同様だった。

今や、天下の目は、衛国と魯国の戦にすべて向いていると言っても過言ではなかった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

志文たちは、迅速に行軍を進め、二日ほどで龍牙関に着き、小休止を取っていた。

魯国が黒龍河に罠を仕掛けた様子はなかった。

志文は隊長格ら自身の主力を小さな一室に集めていた。

胡麗からの情報を伝えるためであった。

羅清、姜雷、衛射、夜叉、宋燕、林業、芳蘭、白麗、朱炎が一堂に会していた。

志文は、淡々と言葉を発した。

「我らが落とす八日以内に落とす四つの要塞、封沁(ふうしん)蘇奉(そほう)常拝(じょうはい)()についてだ。封沁、蘇奉は、敵兵がそれぞれ一万ほどいるが、どちらにも周囲の要塞から援軍が出る。封沁には三つの要塞から援軍が来るだろう。ゆえに敵は計四万ほどだ。蘇奉は六万ほど、常拝は八万ほどだ。無論、我らや敵の戦況が危うくなれば、さらに奥の要塞から援軍が出るだろう。ゆえに迅速にかつ効率的に殲滅する必要がある」

「虞は手強そうですね...」そう呟いたのは羅清であった。

「??なぁ、林業、どういう意味だ?」姜雷が林業に囁く。

「情報遮断するだけの何かがあるということだ...」林業が無機質な声で返した。

「なぁんだ、要は見えないものを恐れてるってことかぁ...」呑気な声で姜雷がせせら笑った。

「姜雷、少し黙ってろ、殿が喋っている途中だぞ!」衛射が冷淡に言った。

姜雷が軽い舌打ちをする

その光景を見て、志文は少し肩が軽くなったような気がした。

「左軍総大将」という肩書が知らず知らずのうちに、自分の思考を固くしていたようだった。

「そうだな、あまり深く考えるのはやめよう....まずは、武威城を落とすことに尽力しよう...」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「伝令!」澄み渡る声と共に、志文に伝令が伝えられる。

総大将の維寿が各将を集め、軍議を開くという旨だった。

「羅清、衛射行くぞ...」衛射は少し驚いたようだったが、志文の意図を察したのか、申し訳なさそうに、志文の後に続く。

「おい、衛射がいいなら、なんで俺は....」姜雷がふてくされるのを、宋燕が制した。

「馬鹿ねぇ....軍議には春蘭が来るでしょ、まったく....」

「姜雷、貴方を呼ぶことはきっと、一生ないわよ、ふふっ」可笑しそうにそう言うと、白麗も笑った。

「白麗まで俺を揶揄(からか)うなんてよぉ...」姜雷が楽しそうに笑った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

軍議の内容はそれといって大したことはなかった。

天都で胡麗が言った通り、一日毎(ごと)に天都及び各軍へ報告を飛ばすことや、犠牲を最小限に抑えることと言った基本的な確認のようだった。

軍議が終わってから、春蘭と衛射は、二人でどこかへ行ったようだ。

「志文将軍!」陽気な声を掛けてきたのは、陳豪であった。そばには、劉勇もいた。

「将軍はやめてくれ。今まで通りがいい...」

陳豪の巨躯は増々、鍛えられたようで、劉勇もかつての面影はなく、精悍な顔立ちに強固な意志を秘めた”将”の顔つきになっていた。

「二人とも、五千人将になったんだろ?」

「ああ、おかげさまでな!」

「俺は何もしてないぞ!」

「いや、志文のおかげだよ。ここの一戦で、僕らは成長できたんだから...」

「そういえば、韓忠様はどうした?」

「ああ、将軍は今、筝繍様と話してるぜ」

兵卒が一人、駆けてくる。

「陳豪様、劉勇様。韓忠将軍がお呼びです」

「そうか、わかった。ありがとう」劉勇はそう言うと、まだ喋り足りないとでもいうような表情の陳豪を連れていく。

「志文、またあとでな!」「志文、お互い生き残って、また酒を飲みましょう」

「必ずだぞ!」志文は楽しそうに言った。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほどなくして、衛国軍は龍牙関を出立し、黒龍河を渡り始めていた。

衛国軍の目は、すでに武威城を捉えていた。

天下が注視する一戦が始まろうとしていた。


【お読みいただきありがとうございます!】

次話は、ついに開戦です!!

~高評価やブックマーク、感想等いただけるとありがたいです!~ 

「そっと小言:最初は「現代無双」を書きたいと思い、執筆を始めたこの作品。未だに魔法が出てこないこの作品。最初は、すっといける予定だったんですが、書き始めると、入れ込んでしまいまして....もう少し、お付き合い頂ければ幸いです...」 

本日は、時間は未定ですが、複数話投稿予定です! どうぞ、よろしくお願いいたします!


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