閑話休題 神様バイトはじめたってよ 1
いらっしゃいませぇぇぇぇぇ!!」
デミウルゴス神は、声を張り上げながら、居酒屋の暖簾をくぐる客に笑顔を 振りまいていた。
――笑顔? いや、顔面は引きつっている。
なぜなら、彼は神だ。神なのに、今は居酒屋のバイトだ。
「デミ公、注文取れ! 生ビール三つ、枝豆、唐揚げだ!」
「は、はいぃぃぃ!!」
厨房に駆け込みながら、デミ神は心の中で泣いていた。
――俺、神界の創造神だぞ? なんで枝豆運んでんだよ!?
だが、背後から声が飛ぶ。
「おい、デミ公! 笑顔が足りねぇ! 客に神々しいオーラ出せ!」
「神々しいオーラって、どうやって出すんだよぉぉぉ!!」
大国主大神は、なぜかこの居酒屋のオーナーとして君臨していた。
――いや、神界の監督から居酒屋の監督にジョブチェンジすんなよ!
夜が更けると、デミ神は繁華街のバーに転移した。
今度はバーテンダー見習いだ。
「デミ公、マティーニ作れ!」
「マティーニって何だよぉぉぉ!!」
「神力でシェイクしろ! ほら、もっとリズムよく!」
デミ神は震える手でシェイカーを振る。
――俺の神力、こんな使い方するためにあるんじゃないんだよぉぉぉ!!
休憩時間? そんなものはない。
あるのは、週一回の「強制神の基」ドリンクタイムだけだ。
「ゴクッ……うわ、まずっ! でも……力が……戻ってくる……」
「よし、回復したな! 次は皿洗いだ!」
「皿洗いって、俺、神だぞぉぉぉ!!」
こうして、デミ神のブラックバイト生活は続く。
年間一千万稼ぐまで、終わりはない。
――神界の創造神、今や居酒屋のホール係。
その姿を見て、菊理媛は遠くから冷徹な笑みを浮かべていた。
「契約通りですね。頑張ってください、デミウルゴス神」
「頑張りたくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」




