表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/30

最終章 エンディング1

魔の森の中心地――かつては魔獣が跋扈し、死地と恐れられた場所。


今、その地は静謐に包まれ、畑の緑が風に揺れていた。


尊の屋敷は、異世界の理を覆す結界に守られ、穏やかな日常を刻んでいる。


だが、その静けさは、もう完全な孤独ではなかった。


引っ切り無しの訪問者 最初に訪れたのは、竜王エリオットだった。


五体投地の謝罪を経て、尊と和解した彼は、時折土産を携えて屋敷を訪れるようになった。


「神域の主よ、今日は干し肉と……例の酒だ。」


尊は笑って迎える。


「また来たのか。……まあ、座れ。」


やがて、その訪問は一人ではなくなった。白竜クローザ、青竜の戦士たち、竜族の従者が列をなし、


天空から舞い降りる。


彼らは尊の屋敷を「竜族外交の場」と呼び、時に宴を開き、時に農作業を手伝った。


そして、もう一組の常連がいた。


S級パーティー『剣と盾』――アクセル、エキドナ、タイガー、マリリン。


彼らは最初の訪問とは違い、魔の森の中心地へ向かう道中で、無駄な戦闘を避け、最短距離を駆け抜ける術を身につけていた。


「戦うより、食う方が大事だ。」


アクセルの言葉に、仲間たちは笑った。


ある日、屋敷の広間で、竜王エリオットとアクセルたちが同席した。


「お前たちが、あの森を踏破した人属か。」


エリオットの声は重く響く。


「そういうあんたが、竜族の王様か。」


アクセルが肩をすくめる。


視線が交錯し、次の瞬間、笑い声が弾けた。


「……まあ、飲もうぜ。」


「異議なし。」


杯が交わされ、言葉が交わされる。


戦士と王、異世界の人間と竜族――立場を超えた友情が芽生える瞬間だった。


訪問者たちは、ただ酒を酌み交わすだけではなかった。


「この畑、面白いな。」


タイガーが鍬を握り、土を耕す。


「魔力で雑草を焼き払うのは反則よ。」


エキドナが呆れながらも笑う。


竜族も負けてはいない。


「この作物……竜炎で熟成させれば、甘みが増す。」


クローザが真顔で提案し、尊が即座に却下する。


「やめろ、畑が炭になる。」


こうして、屋敷は笑いと活気に満ちていった。


尊は縁側に腰を下ろし、その光景を眺める。


――ここでの生活も、悪くないな。


残りの人生、気の合う飲み友達と過ごす。それも悪くない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ