第2話
魔の森へ向かう途上、帝国軍は地方都市に立ち寄った。
「おい、酒を出せ! 肉もだ!」
コンモディウスは馬上から怒鳴る。
地方貴族が頭を下げる。
「は、はい……ただ、今年は不作で――」
「不作? 言い訳か?」
コンモディウスは笑い、剣を抜いた。
「ぐたぐた抜かすな。それと、女を寄越せ。若いのをな」
帝国騎士団は略奪を始め、酒池肉林の宴が開かれる。
「飲め! 食え! 女を抱け!」
地方貴族や平民の恨みは膨れ上がる。
「皇族め……必ず報いを……」
その呟きは、やがて反乱の火種となる。
その報告は、辺境の城にも届いていた。
ヘラレス辺境伯は、拳を握りしめ、机を叩いた。
「略奪……女を奪い、酒池肉林だと? 皇太子が……!」
彼の胸に渦巻くのは恐怖だけではない。怒りだ。
「帝国は腐っている……このままではウッドワン辺境領は滅びる」
彼は窓の外を見た。
広がる荒野、疲弊した民。
「俺が守るべきは帝国か? ウッドワン領の民か?」
その問いが、彼の心に深く突き刺さった。
「ヒトレルも、コンモディウスも……奴らは人を人と思っていない」
彼の中で、元々箕臼だった帝国への忠誠が音を立てて崩れ始めていた。




