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第11話

ギルドでの報告を終えたアクセルたちは、拠点に戻り、しばし


の休養を取っていた。


だが、数日も経たぬうちに、胸に奇妙な渇きが生まれる。


――尊の屋敷で食べた料理の記憶が、脳裏を離れない。


カレーの香り、黄金色のパン、湯気を立てるスープ。


そして、帰り際に渡されたインスタント食品の数々。


「……あれ、もう一度食いてぇな。」


アクセルは夜更け、誰もいない台所で呟いた。


彼は隠し持っていた最後のインスタントラーメンを取り出す。


袋には「背徳の背脂マシマシとんこつ」と書かれている。


「……なんて書いてあるかわからないが、この絵がそそるな


ぁ。」


湯を沸かし、麺をほぐし、スープを溶かす。香りが立ち上る―


―その瞬間。


「……何してんの、アクセル?」


背後から声。振り返ると、エキドナが腕を組んで立っていた。


さらに、タイガーとマリリンも顔を覗かせる。


「お前ら……寝てなかったのか!」


「匂いで起きたわよ。」


エキドナが冷ややかに言う。


「それ、最後の一袋じゃない?」


タイガーの目が光る。


「……分けろ。」

マリリンが先割れスプーンを構えた。


次の瞬間、台所に戦場が広がった。


「やめろ! 俺のラーメンだ!」


「黙れ! スープだけでも寄越せ!」


「麺一本でもいいから!」


鍋を囲む四人の手が交錯し、スプーンが閃く。


背徳のラーメン争奪バトルは、夜の拠点に熱気を呼び込んだ。


結果――各自が隠し持っていた食料を拠出し、即席のチート夜


食会が始まった。


カップ麺、レトルトカレー、乾燥スープ。異世界の冒険者たち


が、現代のジャンクフードに歓喜する光景は、誰にも予想でき


なかった。


食後、静かな余韻の中で、アクセルが呟く。


「……もう一度、尊の元に行こう。」


エキドナが笑う。


「同感。あの料理、忘れられない。」


  タイガーが拳を握る。


「次は、もっと持って帰る。」


マリリンが小さく頷いた。


「……おじや、また食べたい。」


誰も言葉にしなかったが、全員の胸に同じ決意が宿った。


――尊の元へ、再び。 翌朝、門を出る四人の姿は颯爽として


いた。

だが、その胸にあるのは、世界の理を探る使命ではない。


ジャンクフードへの熱い思いだった。

これにて第2章終了です。

閑話休題を挟んで、第3章が始まります。

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