惠君との日々(4)
浅川惠: いや、なんか俺ずっと情けないね。
千姫:みんなの前に、ちーちゃんの日記が晒された、恥ずかしく死にたい...惠君助けて
彩花:千姫先輩ずるいです!せっかく私が惠君に打ち上げるシーンがクライマックスだったのに、結局千姫先輩にいいところ取られちゃった。もう~
2027年2月10日
お医者さんに言われた。
手術の成功率は低いって。
たとえ成功しても、もう前みたいには生きられないって。
……たぶん、残された時間はそんなに長くないんだと思う。
もし惠君に話したら、きっと彼は特別進学のチャンスを捨てちゃう。
だから、今度は私の番。
――惠君、今度は私がツバメになるね。
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2027年2月14日
どうして、こんなことになったの。
神様、ひどいよ。
こんなの、あんまりだよ……。
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2027年2月15日
お願い。惠君が生きてくれるなら――
もう、何もいらない。
私のすべてを差し出してもいい。
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2027年2月16日
惠君が、目を覚ました。
でも、私たちのことは、全部忘れていた。
お医者さんは「もしかしたら思い出すかもしれない」って言ってた。
けど、その言葉の“かもしれない”が、やけに遠く感じた。
ベッドの上の惠君は、ゆっくり瞬きをして、
私のことを見て、少し首をかしげた。
――まるで、本当に初めて会った人を見るみたいに。
それでも、嬉しかった。
だって、彼がまた笑えるようになったなら、それで十分だから。
……ただね。
初対面の時と同じ目で私を見た時、
胸の奥が、音もなく裂けた気がした。
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2027年2月20日
私、惠君に嘘をつくことにした。
でも、その前に……あと三日だけでいい。
もう一度だけ、惠君と笑っていたい。
たったそれだけでいいんだ。
そのあと、私がどうなっても――きっと、受け止められる
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2027年2月24日
三日間の夢みたいな時間が、静かに終わった。
もう……惠君には会えない。
また会ったら、きっと私、嘘をつけなくなるから。
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2027年2月26日
手術まで、あと一ヶ月。
もし惠君が、過去のことを聞いてくれたら――
そのときは、全部話そう。
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2027年3月28日
ごめんね、惠君。
本当は、過去のことを聞いてくれた時、すごく嬉しかったの。
……でも、どうしても言えなかった。
最後まで、怖くて。
だから、もういいの。
私のことは――どうか、忘れて。
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2027年3月31日
……やっぱり、敵わなかったな。惠君には。
また泣いてるところ、見られちゃった。
でもね、見送ってくれて、ありがとう。
それだけで、もう十分だよ。
この先は、あの子に託すね。
きっと、惠君を幸せにしてくれる。
もし、この日記を読んでいるなら、
もう全部、思い出したんだよね。
――私の手術の日も、あの日のことも。
でもね、それでも……
本当は、見てほしくなかったんだ。
だって、惠君はきっと、思い出したら自分を責めちゃうから。
私ね、惠君を好きになれて、本当によかった。
惠君のおかげで、ちーちゃんは、ちゃんと幸せになれたんだよ。
だからね、惠君。
もう、自分を責めないで。
……惠君には、ちゃんと笑っていてほしいの。
まだ書きたいことがいっぱいあるけど、
もう、そろそろ終わりにしなきゃね。
......さようなら、恵君
もう、私のことは忘れて。
――ずっと、ずっと、だいすきだよ。
あなたの初恋より
千早千姫
ここまで読んでくれて本当にありがとうございます!
作者の心白です。
この物語はちょっとベタなところがあるかもしれません。人によって、全然面白くないとか、つまらないと思われて、納得します。
ですが、もし最後まで、あなたがちょっとでも千姫のこと、彩花ちゃんのことを好きになってくれたら、幸いです。
ちなみに、心白は彩花ちゃんの方が好きです。まあ単に好み、でももしこれから千姫みたいな彼女ができたら、それもとても幸せなことだと思います。
またたくさんたくさん書きますので、またどこかで会いましょう。あなたにも素敵な恋人ができますように!




