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惠君との日々(3)

 2024年4月10日

 今日、惠君が桜の木の下で告白してくれた。

 やっと退院して、やっと同じ学校に通えるようになって、

 それだけでもう十分幸せだったのに――ほんと、惠君ってせっかち。


 手紙を持つ手が、少しぎこちなかった。

「千姫、俺……好きだ! 付き合ってください!」って、

 顔を真っ赤にしながら言ってくれた。


 あまりに真剣すぎて、ちょっと意地悪したくなって、

「じゃあ、“忘れたいこと”を教えてくれたら、考えてあげる」って言っちゃった。


 そしたら惠君、一瞬ぽかんとして、

 今にも泣きそうな顔で「……話したら、千姫に嫌われそうで怖いんだ」って。


 ――ほんと、バカ。

 そんなことで、嫌いになるわけないのに。


 ⸻


 2024年4月12日

 惠君、ネットで恋愛してたんだって。

 なにそれ、むかつく! ずっと私の方が初恋だと思ってたのに!


 ……でも、会ったことないんでしょ? ただのネットの人なんでしょ?

 だったら、やっぱり私が初恋。うん、そういうことにする。


 ちーちゃん、ちょっとだけ怒ってるから、今日は口きかないもん。ぷん。


 ⸻


 2024年4月15日

 このバカ惠君!

 私がちょっと話しかけなかっただけで、本当に近寄ってこなくなった!


 もう告白までしたのに……なんでそんなに臆病なのよ。

 ――ほんと、どうしようもない人。


 ⸻


 2024年4月16日

 惠君って、意外と子どもっぽい。


 今日、仲直りしようと思って話しかけに行ったのに、

 私の顔を見た瞬間、惠君、泣いちゃった。


「もう嫌われたかと思った……」って、目を真っ赤にして。

 びっくりして、何も言えなくなっちゃった。


 ……ごめんね、惠君。

 私、変な意地なんて張らなきゃよかった。(>人<;)



 ⸻


 2024年4月17日

 今日から、惠君と正式に付き合うことになった。

 なんか、まだ夢みたい。


 これから、たくさんたくさん思い出を作らなきゃ。

 だって、惠君と過ごす時間は、私にとって何よりの宝物だから。


 ⸻


 2025年2月14日

 一年前までは、誰かにチョコを渡す日が来るなんて思ってなかった。

 でも今日は、自分の手で作ったチョコを惠君に渡した。


 その瞬間、胸の奥がじんわり熱くなって、

 幸せが潮みたいに広がっていくのが分かった。


 惠君は、みんなの前で私をぎゅって抱きしめた。

 恥ずかしくて、恥ずかしくて、穴があったら入りたかったくらい――

 それでも、心の中はとけた蜜みたいに甘かった。

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