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クラスメイトからの評判


 ハーレム部、部室。

 集まるには早い時間だが、テスト明けなので皆集まっているのだった。


「雪花ちゃん、テストどうだった?」

「あたしは全然駄目~もー完全お手上げだったよー。きっとまた赤点だろうねー」


 炉々子が雪花にたずねる。

 雪花はため息をつきながら手を振った。

 炉々子は嬉しそうに何度もうなずく。


「わたしも!今回は駄目っぽいかも!」

「あは。補習一緒に頑張ろうね、ろろっちゃん」

「うん!いえーい」


 劣等生二人組が楽しげにハイタッチを交わす。

 そんな二人に、雪花の隣に座る天が口を出す。


「まったく、頭が悪いなら悪いなりに対処すればいいのに。そうすれば、赤点くらいはまのがれるでしょうに」


 雪花は笑いながら、首を振る。


「えー、カンニングはさすがによくないって~」

「そんなこと一言も言ってないでしょう。下劣な発想ね。けど、あなたたちはそのくらいしなければ平均点も取れないんでしょうね、ふふ」


 学年一位の秀才は優越感たっぷりに笑った。炉々子は不満げに頬を膨らませる。

 と、パイプ椅子が引かれる音が響く。


「てっちゃん」

「なぁに、お馬鹿さん……ん!?」


 雪花は隣に座る天の顔に向かって突然、顔を寄せ、キスをしたのだった。

 天は赤面して、雪花を睨み付けた。


「……なにをするのよ!」

「てっちゃんの頭の良さ、吸引しちゃった」


 雪花は嬉しそうに自身の唇をなぞるのだった。

 炉々子が興奮して、雪花にキスをねだる。


「わたしも!ちゅー!ちゅー!」

「あは。てっちゃんと間接キスだね」


 そうして、キスを交わす美少女たち。

 天は憎々しげに二人を眺めていた。


 中間テスト明けでハーレム部員たちは激しくハイテンションだった。


 シソジロウはそんな美少女たちの騒ぎを眺めながら、微笑んでいた。港はほんの少し、引いている様子だった。雪花とはキスを交わしたとはいえ、刺激が強すぎたようだ。

 そんな中、炉々子が笑顔で港に向かって走ってくる。


「港ちゃんともちゅー!」


 そういい、港に抱きついて目を閉じる炉々子。

 泡を食った港はシソジロウに助けを求める。


「えぇっ!?し、シソジロウ先輩……!?」

「はは、港、やれよ」


 ……そうして、港もばっちり巻き込まれたのだった。

 美少女たちによる、美しい戯れであった。


 がらりとハーレム部の部室が開く。

 そこに立っていたのは、バスケットを持ったゆらぎだった。


「おまたせしました」


 ゆらぎは、一度家に帰宅してから、バスケットをとってきたのだった。

 にこやかにバスケットを長方形のテーブルの上に置くゆらぎ。


「やったー!ゆらぎちゃんのおやつだー!」

「美味しいですよね。ゆらぎ先輩の作るお菓子」


 目を輝かせる炉々子と港。天は呆れたように、雪花は困り顔でゆらぎをながめていた。

 ゆらぎはこの半月あまり、何かにつけて手作りのお菓子を差し入れという形で持ってきていたのだった。味は美味しいのだが……それがまた問題だった。美少女たちの中には、ややお腹周りがぷにっとしてきた者もいる。

 ゆらぎは、聖母のような顔で皆に言うのだった。


「皆さん、どうぞ。遠慮せずに食べてください」


 その言葉を馬鹿正直に受け取り、お菓子に食らいついたのは炉々子と港だった。


「おいし~!」

「ほんと、ゆらぎ先輩のアップルパイは絶品ですよね!」


 幸せそうな顔でアップルパイを味わっている港。天は目を細めると呟いた。


「美味しい?」

「はい!とっても」

「そう。良かったわね、豚さん」

「え?豚……」


 港の目が点になる。雪花は苦笑しながら港の頬をつつく。


「たしかに、最近のみなっちゃん、ほっぺたがぷにっとしてきたよね~」

「他のところも成長してるんでしょうね、横に」

「あああぁああの!ボク、一応、最近は晩ご飯も少なめにしてて努力はしてるんですけど、あんまり身を結ばないというか……!あの、えっと!」


 港は慌てふためいて弁解をする。


「まずはその手に持ってるものを放しなさいよ、豚さん」


 港はガクッとなるとアップルパイを皿の上に置く。炉々子は笑顔でそのアップルパイをもらい受けるのだった。

 炉々子は太らない体質なのか、どれだけゆらぎのお菓子を食べても太らなかった。神様は不平等であると港は呟いた。

 そんな港の嘆きは置いておいて。


「今日は、クラスメイトたちにお前たちの評判を聞いてきたぞ」


 シソジロウは書類を手に言う。

 美少女たちは目を丸くするのだった。


「いつの間にそんなアンケートをとったのよ……」

「あはは、めちゃくちゃに言われてたりして」


 一番は雪花だ。雪花は親しみやすくクラスメイトたちからの人気があつかった。見た目に反して精神的にどっしりしてて頼れるなどの意見もあった。それと、美少女すぎるといった意見が過半数。

 二番目は天。ちょっと怖いけどモデルみたいで綺麗、運動も勉強も出来る完璧人間など、そんな意見が出ていた。やはり、美少女すぎるといった意見が過半数。

 三番目は炉々子であったが……。


「『小さくて可愛い』『妹みたい』『ていうか、マスコット』だそうだぞ」


 炉々子は遺憾そうに手を振り上げる。

 どうやら、意見が気に入らなかったらしい。


「なにが嫌なの?可愛いって言われてるんだからいいと思うよ」

「だって。わたしもスーパーモデルみたいになるんだもん。格好良くスポーツカーを乗り回す」


 ふてくされたように言う炉々子。

 静まりかえるその場。と、吹き出す炉々子以外。

 天は笑いすぎて出た涙をぬぐいながら言った。


「あなたは、スポーツカーというより三輪車がお似合いよ」


 皆に笑われ、天にとどめを刺された炉々子は泣きながら、その場から走り去っていった。

 シソジロウは港をうながすと、炉々子を追わせるのだった。


 シソジロウはやれやれと息をつくと、続きを発表する。


 次はゆらぎだった。ゆらぎの評判は何故か、母親からのものであった。


「『ゆらぎは手のかからない子ではあるが、昔から悩みを一人で抱え込みやすく、悩み事があるときは、お菓子を大量に作る癖がある』か。ゆらぎ、どうなんだ?悩み、あるのか?」


 シソジロウは目をきらりと光らせ、ゆらぎを見る。

 ゆらぎは曖昧に微笑むのだった。


「そうですね……三年の秋ですので、悩みもあるかも知れません」

「そうだねぇ。そんなこともあるよ、うん」


 そうして、ゆらぎは雪花に労られながら、言うのだった。


「皆さん、私がいなくなった後も、どうかお元気で」

「えー急にそんなこと言われたら、寂しいよ」

「ふふ、すみません」


 しんみりとするハーレム部内。

 ゆらぎは三年生なので、後数ヶ月で卒業する。それは仕方のないことであったが……。

 シソジロウだけは、ゆらぎの言葉の真意に気付いているのだった。


 そんな最中、炉々子は港により回収されて部室に戻ってきた。

 そして、最後に港の評判が発表され……。


「これで終わりだ」

「ふん、クラスメイトから美化されてる人がわりといたわね」

「えー?てっちゃん。人ごとみたいに言ってるけど、自分は?」


 発表が終わり、美少女たちからシソジロウに苦情やらクラスメイトの評価が聞けて良かったやらの意見が寄せられている。

 そんな中、ゆらぎは決意を込めた目でシソジロウに言う。


「後でお時間を頂いてもよろしいですか?」


 シソジロウは挑戦的に微笑むのだった。


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