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文化祭準備

 ハーレム部部室。メイド服の天がテーブルに手をつき、目の前にいるシソジロウに向かって冷たい声を出した。


「注文をいいなさい」


 シソジロウはずらりと券を手に持ち、言い放つ。


「全部だ」

「この○※△#が」


 天が放送禁止用語をつぶやき、隣で制服姿で雪花の接客をしていたゆらぎは驚いたように目を丸くさせる。


「まぁ、天さん。そんなことを言ってはいけませんよ」

「とはいえ、制限あるからそんなに頼めないよ?しそっちゃん。そもそも、食券とは別に入場料が千円なんて、ありえないけどね」


 雪花の至極真っ当なツッコミに、シソジロウはやれやれと首を振る。


「俺のハーレムのご奉仕を受けたくないヤツがこの校内にいると思うか?五千円……いや、一万払ってでもこの空間にいる権利を得るために争うはずだ」

「他の人間が全員、あなたと同じだと思わないことね。単細胞の部長さん」


 今日のハーレム部の活動は、文化祭に向けての準備のため休みだった。といいながらも、結局はいつものハーレム部の活動のようになってしまうのだが。


 そんな中、裁縫に最も熱心なのは港だった。むむむ……と口をさせながら、メイド服をしげしげと眺めている。


「ここ、フリル足した方がいいかも……でも、ちょっと甘くなりすぎるかな」


 今回のメイド服はシソジロウのこだわりにより、全員分(もちろん、シソジロウはメイド服は着ない)のメイド服を本場……と言っても日本の某オタク文化聖地の職人に作らせて取り寄せたものらしい。そのため、絶妙に露出があり、スカート丈も短めとこれを着た美少女たちはなんとも魅力的な姿となっているのだ。


「あの、靴下はどうするんですか?」

「足は重要だな。この件は改めて熟考する必要があるだろう」

「いいから早く決めなさいよ、この変態」

「フリルがついた靴下も可愛いよねぇ」


 わいわいと話をするハーレム部員たち。

 そんな中、忙しい時間をぬって、文化祭の接客の練習にきていたゆらぎは、時計を見るとカバンを持つ。そして、申し訳なさそうに部員たちに謝る。

 雪花は先ほど、ゆらぎに聞いた話をしみじみとするのだった。


「交通事故だなんて、おっそろしいよねぇ。トラックが突っ込んでくるなんてさ」

「はい、本当に。助けて頂いた方にはなんとお礼を言って良いのか……」

「すごいよねぇ。どこぞのヒーローみたいで」

「今日、『月』でささやかながらお礼をさせていただくつもりなんです」

「へー、そうなんだ」


 そうして軽くおじぎをして、部室を出て行くゆらぎ。

 そんなこんな部室には四人になったのだが。


「炉々子、遅いな」

「あ、炉々子先輩なら多分……」


 炉々子は家庭科室に、文化祭に出す試作品を作っている料理部の部員たちにお菓子をねだりに行っているらしい。シソジロウはやれやれと首を振ると席を立った。


「ちょっと、迎えに行ってくる」

「はーい、行ってらっしゃい」


 シソジロウが出て行き、天はイライラとした様子で港にそこら辺にあった布を投げつけ視界をふさぐと、メイド服を脱ぎ、制服に着替えどこかへ行ってしまった。


 部室には、雪花と港。二人が残される。

 自然と話を始める二人。まずはメイド服についてだった。

 雪花も裁縫は出来るが、わりと大雑把なので港のように綺麗には出来ないそうだ。港が真剣に針を刺す姿を、雪花がじっと見つめていた。

 そんな最中だった。港の唇を眺める雪花が呟いた。


「なんか、つやつやして美味しそうだね。みなっちゃんの唇」


 そうして、ぐっと顔を近づける雪花。

 港は目を丸くしてまばたきを繰り返す。


「えっ……雪花先輩?」

「ねぇ、チューしちゃおうか」


 雪花が何を考えているのか、いともたやすく言う。港は視線を左右に揺らした後、小さく頷いたのだった。雪花が港に顔を近づけていくと、優しくキスした。キスの後で、雪花と港は顔を合わせて、照れたように微笑む。


「みんなにはナイショね」


 二人はそう約束を交わしたのだった。

 ちなみに、雪花はハーレム部員全員とキスを交わしたことがあるのだった。





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