心配
昼下がりのファミレス。炉々子は二人~三人用の大きなパフェに目を輝かせながら、ぱくぱくとスプーンを使って食べていく。雪花はパフェのてっぺんに飾られていた苺をスプーンですくうと笑った。
「苺、もらーい」
「あ!苺、とってたのに!」
眉をつり上げ、頬を膨らませる炉々子。雪花がお詫びにさくらんぼを炉々子の口にいれると、炉々子は機嫌を直してパフェを食べるのに集中しだしたのだった。
こうしていると二人は仲の良い姉妹のようだ。
シソジロウは微笑ましそうに目を細める。
今日の集まりはシソジロウと炉々子と雪花の三人だけだ。他のハーレム部員たちは用事があるらしかった。そうして、集まった三人は割り勘で特大パフェを食べていた。三人でパフェを食べ終わると炉々子はコップを持って席を立った。
「ドリンクコーナー行ってくるね」
ぱたぱたと子供のように駆けていく炉々子の背中を見送り、シソジロウと雪花は顔を見あわせてふーっと息をつく。今日、ファミレスに炉々子を呼び出したのは、他でもない炉々子の近況を聞き出すためだった。
「雪花。どう思う?」
「ろろっちゃんの話に出てきた『やさしいおにいちゃん』のこと?ろろっちゃんはすっごく懐いてるみたいだけど……かなり怪しいと思う。というか、ほぼ……だよね」
雪花は苦笑しながら言葉を濁す。シソジロウは頷くと口の端を上げた。
「お前もそう思うか。炉々子の部屋の様子から、おかしいとは思っていたがな」
まさか、あのあふれかえるおもちゃの数々がすべて貢ぎ物だったとは。雪花はため息をつく。
「ろろっちゃんにも困っちゃうよねぇ。知らない人にはついて行っちゃ行けないっていつも口を酸っぱくして言ってるのに」
「まぁ、近所の公園でしか会ってないらしいしな」
「でも、明日、二人でどこかに遊びに行くんでしょ?……まずいでしょ、それは」
シソジロウは眉をひそめて、腕を組む。雪花は小さく呟く。
「あ、怒ってる」
「当然だ。俺の女に手を出したんだからな……相応の報いは受けてもらう」
雪花はシソジロウの様子に、けらけらと笑う。
「流石しそっちゃん、たのもしいね。あたしは行かなくていい?」
「もちろんだ。俺に任せておけ」
「それじゃ、一安心だね」
雪花はくすくすと笑う。
「うちの学校じゃ、もうあたしたちに手を出す人なんていないのになぁ……しそっちゃんのおかげで」
「俺のハーレムだぞ?どんな手を使ってでも守るのが当然だ」
「やりすぎちゃ駄目だよ?」
「……聞けないな」
シソジロウはそういうと、外を睨み付けた。雪花は明日のことを思うと、少し怖いような気分になるとあきれたように首を振るのだった。




