理路紺太と美少女4
ピカピカと目映い白の蛍光灯。陳列された様々な商品。クーラーの涼しい風が店内を駆け巡る。
コンビニの制服を着た紺太はレジに立っていた。そして、夏の夜の生ぬるい風と共に来店した客に声をかける。
「いらっしゃいませー」
炉々子にみりえるの人形を渡した日から、紺太は夜から朝方にかけてコンビニでバイトを始めたのだった。理由は実家からの仕送り程度では、炉々子への溢れ出る気持ちをプレゼントという形で贈るための資金を得ることができなかったからである。紺太の社会復帰にきゃんでぃとピーマンは祝福をおくった。紺太が働くということはロリのおパンツ写真を撮る機会が減るということだというのに、わりとお人好しな二人だ。
とはいえ、紺太は働きだしたからといって、炉々子のことを放っておいたわけではなかった。毎日朝から昼にかけて例の児童公園へと向かっては、夏休みに入り学校が休みになった炉々子とたわむれるのだった。
そのかいあってか、炉々子は紺太のことを「紺太おにいちゃん」と名前で呼んでくれるようになっていた。紺太としては、たまらない変化であり炉々子との距離が近づいたことを喜んでいた。炉々子の好感度はめきめきと上がっているはずだ。そうなれば、この夏休み中に炉々子は自分にメロメロになるに違いなかった。メロメロになった炉々子は紺太を愛するに決まっている。
そんな考えに取り憑かれた紺太は週払いのアルバイト代をすべて、炉々子へのプレゼントへとつぎ込んだのだった。街のおもちゃ屋へと行き、ぷるピアのおもちゃをコンプリートするのではないかという勢いで買いあさる。それらはすべて炉々子へと貢がれたのだった。
この日も、例外ではなかった。夜勤明けの紺太は炉々子が児童公園へと訪れるまでの数時間、そこに設置されたベンチでしばし睡眠を取る。
そして朝になり、日差しがかんかんと暑い児童公園。この日も児童公園に遊びに来た炉々子に大きな包み紙に包まれた箱を渡す紺太。
炉々子はそれを受け取ると極上の笑顔で言った。
「わぁ!ありがとう!おにいちゃん」
紺太はその笑顔を見るだけで疲れなど吹き飛んで、頭の中が歓喜で満ちてしまうのだった。やはりロリの笑顔は格別である。
そして、炉々子はプレゼントを受け取ると、それで一通り遊ぶ。それは朝から昼まで休む暇などなくだ。遊ぶ炉々子の側にいること。それは、その場にいるだけで、ベストショットの機会が何度でも訪れるということだった。
例えば、炉々子が意味もなく跳び跳ねる。
紺太はスライディングをしながら、ローアングルで写真を撮る。
もうひとつ。炉々子が散歩にやってきたドーベルマンにまたがる。
紺太はローアングルでドーベルマンに噛まれながら写真を撮るのだった。
炉々子を撮ること……それは紺太にとって、なにを撮るよりも脳内物質が放出され興奮するひとときだった。
炉々子は紺太の理想のロリそのものなのだから当然といえる。炉々子はこの日、フルスロットルで一段とはしゃいでいたのだが、しばらく遊んでいたと思うと、ばたんと仰向けに地面に倒れ込んだのだった。
紺太は慌てて、炉々子に駆け寄っていく。
「ろ、炉々子殿っ!」
「えへへ。遊びすぎちゃった」
炉々子はそう天使のような微笑みを浮かべて言う。紺太はそんな炉々子を心配して家に帰るようすすめる。炉々子は紺太に向かって、手を広げると言った。
「紺太おにいちゃん、おんぶして送って?」
紺太は、その仕草の愛らしさにノックアウトされてしまった。ロリを愛する者の中で、このお願いに逆らうことが出来る者など、どこにいようか。
「り、り、りり、り了解でありますっ!上官殿」
紺太はそう言うと、炉々子の前に背中を見せる。炉々子はぎゅっと紺太の背中に抱きついたのだった。
ああ、これがロリのぬくもり。紺太は興奮やらなにやらでめまいがしそうになった。実際、鼻からは血がしたたっていた。だが、ここで足を止めるわけにはいかない。
「う~ん、むにゃむにゃ」
耳元では安らかな寝息が聞こえる。炉々子は自分を信頼しているのだと思うと、紺太はこの上なく光栄な気持ちになった。
天が荒れ地が割れようと、絶対に無事に炉々子を家まで送り届けてみせる。そんな決意を抱き、紺太は炉々子を背負って、炉々子の家へと向かうのだった……が。
児童公園を一歩出たところで、突如、背中の炉々子が悲鳴を上げたのだ。
「うわ~ん!やだやだやだ~!」
「ろ、炉々子殿っ!?どうしたでありますか!?」
目を丸くする紺太。炉々子は紺太の背中でわんわんと泣きわめく。そして、周囲に響き渡る大声で叫んだ。
「ひとさらい~っ!誰かたすけて~!」
「ろっ、炉々子殿ぉ!?」
まさかの炉々子による裏切りであった。紺太が慌てながらわたわたとしていると、通りを挟んである交番から保護者の通報を受けたのか警察官が紺太に向かって走ってくるところだった。
ロリを誘拐しようとしたなどと誤解を受けては、今のアルバイトの職を失うかも知れない。そうなれば、プレゼントが出来なくなり炉々子とラブラブになる計画が崩れてしまうのだ。
「ひ、ひぃいい~!」
紺太は悲鳴を上げながら、逃げ出したのだった。
◆◆◆
◆◆◆
……逃亡した紺太は数分とかからずに警察官により取り押さえられた。紺太は焼けるように熱いコンクリートに押さえつけられながら叫ぶ。
「自分は無実でありますぅうう!うぉおおお!」
「暴れるな!この!」
「ぶふぅ」
コンクリートに顔を押しつけられ、涙を流す紺太。コンクリート上は、目玉焼きが焼けそうなほどの温度である。周囲では騒ぎを聞きつけた近隣住民たちが、ひそひそと紺太を懐疑的な目で見ている。
何故だ。何故こんな目にあわなければならない――。
「この後におよんで言い逃れだなんて、とんでもない変態だわ」
「いかにもって顔してますものね~変態顔」
紺太が交番へと連行されそうになったそんな時だった。
「まって!」
警察官たちや周辺住民たちが驚いたようにそちらを向く。そこに立っていたのは炉々子だった。炉々子は周囲の人間に寝ぼけていたことと自宅まで送るように頼んでいたことを告白すると、紺太の無実を証明した。
「紺太おにいちゃんは悪くない!わたしが悪いの!おねがい、紺太おにいちゃんをタイホしないで!」
……被害者?である炉々子からの申し開きがあり、紺太は無事に警察官の拘束から解放されたのだった。紺太はわんわんと泣きながら、炉々子の小さな身体に抱きつく。
「ふふ、紺太おにいちゃんは泣き虫だなぁ」
「炉々子殿っ!このご恩は一生忘れないでありますぅ~!!」
紺太にとって、炉々子は救世主そのものだった。……たとえ、それが炉々子によって引き起こされたトラブルであっても。
こうして、紺太はこの事件を境にますます炉々子に入れ込むのだった。




