表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/37

理路紺太と美少女3


 朝、夏の日差しがカンカンと照りつける中、紺太はマンション脇の茂みの中で潜んでいた。……すべては、ロリのためだ。汗がだらだらと滝のように流れ落ち、蚊にもう何カ所も刺されているが紺太はかたくなにその場から離れなかった。


 紺太は待っていたのだ。……時が来るのを。

 そして、時は来た。

 ……待ち人が現れたのだ。


「う~暑い~」


 マンションの出入り口から現れた小さな影。

 炉々子だった。

 瞬間、紺太は鼻息を荒くした。ようやく――ようやく現れた。


 制服姿の炉々子はクラシックなデザインのスクールバッグを背負っている。ロリにはランドセルも捨てがたいが、こういった姿もまた違うおもむきがあって素晴らしいのである。

 炉々子は私立の小学生だったのか。その新事実に胸がときめきに占拠される。

 とはいえ、炉々子の格好にはなにか違和感を覚える。半袖のワイシャツと、薄い灰色のスカートには青と赤のストライプが一本ずつ入っている。しかし……紺太はこの周辺の私立の小学生の制服はすべて把握済みだが、こんな制服は初めて見たのだった。

 そういった不自然な点はあったのだが、久々に見た炉々子の姿はそんな疑念を吹き飛ばすほどの神々しさだった。念のため、朝の四時から出待ちをしていたかいがあった。

 紺太は茂みから飛び上がると、道の前に飛び出して叫んだ。


「ろっ、ろっ、炉々子殿っ!」

「わぁ!おにいちゃん!家の前で会うなんて奇遇だねっ!」


 炉々子は純粋無垢な笑顔を向けて駆け寄ってくる。今まで炉々子に会いに行くことを禁止していた反動か、紺太は魂が浄化される様だった。


「はぁはぁ……炉々子殿ぉ……」


 だが、視点をさまよわせ荒い息をくり返す姿は不審者そのものであった。おそらく熱中症にかかっているのだろう。


「おにいちゃん、はぁはぁ言ってるよ?」

「デュフフ……炉々子殿に会えた喜びのあまり呼吸も定まらないのであります……」

「そ~なんだ!ふふ、それじゃあ、駅まで遊びながら行こうよ!」

「ろ、炉々子殿~待って欲しいであります~」


 炉々子はそういうなり、かけだしていく。紺太はおぼつかない足取りで炉々子の後をついて行くのだった。

 おにごっこにかくれんぼなどなど様々な遊びをさせられながら、駅までたどり着いた紺太。疲労こんぱいの紺太は駅の中で倒れてしまう。「え!?おにいちゃん!?」驚いたように駆け寄っていく炉々子。紺太は死にそうな顔で炉々子を向くと、小さく微笑む。


「どうやら、自分はここまでのようであります……」

「そんなこと言わないでよぉ!おにいちゃん!」

「死んでしまう前に……炉々子殿に渡したいものがあるであります」


 紺太はそういうとビニール袋から取り出した三十センチほどの箱を炉々子に渡す。炉々子は箱を開けると、目を輝かせた。


「わぁ!みりえるちゃんのお人形だ!」


 それはぷるピアのみりえるの人形だった。しかもこれは限定品であり、実家からの仕送りの中で買うには、酷く高い買い物だった。数万円はしただろうか。紺太はこれを手に入れるための間、炉々子に会いに行くことを止めていたのだ。……炉々子に貢ぐために。


「おにいちゃん!ありがとう!」


 炉々子は満面の笑みで紺太に礼を言う。ああ、その顔が見たかったのだ。紺太は薄れいく意識の中思った。


「さぁ……炉々子殿……急がなければ遅刻してしまうでありますよ」

「あっ、いっけな~い!おにいちゃん、またね!」


 そういうとスカートをひるがえして、笑顔で床に倒れ込む紺太に手を振り去って行く炉々子。紺太はそれを満足げに眺めると、目を閉じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ