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「ちょっと待ってよ… これ… 」
彩音が震えた声でそう言った。
「はっ… 馬鹿馬鹿しい… 」
茶髪の男はそういうと、椅子から立ち上がる。
「おい、どこいくんだ、トイレか?」
先ほどの女性が声を掛けた。
「これ以上付き合ってられねーよ」
そういうと、茶髪の男は会議室から出て行ってしまった。
「… これって… 」
そんな彼を横目に、僕はもう一度空中に浮かび上がったルールを確認する。
間違いない。
これからここで、殺人事件が起こると書いている。
「… 」
誰しもが沈黙していた。頭が混乱しているというのもあるだろうが、それ以上に、やはり
現実が受け入れられないようだった。
空中に浮かび上がった文字が消え、また新たな文字が表示される。
『それではゲームを開始します』
会議室に静寂が戻る。みんな、緊張感に満ちた表情でお互いに目を合わせた。
「と… とりあえず、何が何やらわからないけど… 一旦自己紹介する?誰がなんて名前から
すらわからないようじゃ、今後なにかあったときに困るからね… 」
の制服を着用した、黒いワンピースを着た女性が恐る恐る声を上げた。
「必要ない」
けれど、一番奥に座っていた男が断る。彼は、僕たちが会議室に入ってきたとき、真っ先
に口を開いた男だった。
「どうして?」
僕は咄嗟にそういってしまった。ギロリと睨まれる。ごめんなさい。
「… こんな人数、とてもじゃないが一気に覚えきれない。それに、どうせ生活していくう
ちに、自然と覚えるさ。すまないが、俺も失礼させてもらうよ」
そういうと、彼は立ち上がり、会議室から出て行った。
確かに彼の言うことも一理ある。とてもじゃないけど、いきなりこんなに顔と名前を覚え
るなんて出来っこない。
でも、僕が引っかかったのはそこじゃない。
なんだろう… 僕は違和感を覚える。
あの男の人… どこかで会ったことあるような… 。
彼が出て行ったことで、会議室は途端に静かになったかと思うと、彼が出ていくのを皮切
りに、一人、また一人と会議室を後にした。




