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この記憶の片隅に  作者: さんしあ
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13/22

2-9

「ルールはスマホから確認できるようになってるので、また確認しておいてください」

「わかった」


僕が頷くと、結城もコクリと頷いた。


「それと… 」


結城はそう言うと、スッと壁を指差した。その壁には、監視カメラのようなものが設置さ

れていた。


「気が付きました?あの監視カメラ、物置や会議室にも同じものがあったんです」

「そんなところまで… あの一瞬で… 」


結城はため息をついた。


「きっと、あの会議室にいた殆どの人が気づいていたと思いますよ… 」


少なくとも僕は全く気が付かなかった。


「… 不気味ですね、誰かが僕たちを見ているんでしょうか」


そういうと、また結城は僕から視線を逸らし、床を叩く作業に没頭し始めた。


「よしっ」


僕はそういうと、結城の横で四つん這いになり、一緒に床を叩き始めた。


「… 何しているんですか?」


結城は呆れた顔をして僕をみた。


「女の子に一人でこんな作業させるわけには行かないだろ。僕も手伝うよ」


その言葉を聞いて、結城は笑ったあと、作業に戻った。


「… 勝手にしたらどうですか。あと… 僕男ですよ」

「えっ!?」


僕は飛び跳ねる。結城は声も体躯も、どう見ても女性にしか見えない。


「… 見ますか?」


そういうと、結城はズボンのチャックに手を当てた。


「いや、いい!大丈夫!わかった!わかったって!」


慌てる僕を見てか、結城はクスッと笑った。その笑顔はとても可愛らしかった。


「クスッ… 創一さん面白い人ですね」

「いいから!ほらっ、作業するぞ!」


そうして僕たちは、ご飯の時間まで二人で床をコンコンと叩き続けた。

結果的に、一階に隠し扉は無さそうだった。


床を叩いていると、美味しそうな匂いが僕の鼻孔を擽る。ふと横を見ると、キッチンと書

かれた表札があった。


「… 君たち、何しているの?」

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