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死についての思索(7)
2023年2月15日
ある世代はある死のスタイルを有するであろう。ある世代は世代感情を形成し、特に芸術においてその傾向は露呈するといえる。その時代の流行は悲壮的な象徴として表され、前時代と相対化され、批評される。ただし新しい世代というものは常に古い世代の少数派として在るといえる。新しい芽の土壌は古い土壌に確保され、その基礎を生育しているといえる。新しい世代は忘却なしには創造されぬであろう。忘却とは破壊である。事物自体の痕跡を死滅させることである。人間の歴史的文化もまた死滅せねばならぬ。死滅し、新しい通路が開かれねばならぬ。新しい世代が発生するとは新しい人間の群が発生するということである。古いものは破壊され、加工されねばならぬ。加工の連鎖が歴史的文化の連続である。単なる墓標の維持が文化の継承とはなり得ぬ。墓標は新しい肉体の内に在らねばならぬ。墓標なき肉体は創造的肉体であるとはいえぬであろう。それは単なるからくり人間である。