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死についての思索(122)
2023/11/03
<死を建てるということ>
死すべきものたちのほとんどが自然の中で生命を終える。死を建てるものは実に稀であるが、それは確かに在っている。私は、その、在っている、の主体を、死を建てるもの、と名付けたい。死とは本来、それは樹立すべき人間の行為である。それは切断と連続の狭間で行為される一瞬である。その瞬間の連続にこそ、生命の本来の煌めきがあるのである。その煌めきの瞬間こそ、死すべきものが最も安息を感ずることのできるひとときである。その瞬間にむけて生命は止まることなくすすむ。死の瞬間は幸福の絶頂となる。